something between the ears

全英連・山口大会の終了から一週間。
腹筋が裂けるのではないかと思うくらい酷かった咳も、抗生剤とせき止めのおかげで治まってきました。ようやく胃腸の調子も回復し、平常運転に戻りつつあります。
いくつか「お座敷」の声もかかっていますが、英語教育に関して言えば、私のやってきたことは流行とは無縁の実作ですから、気長にお付き合いください。あと、英語本や英語教育関連書籍で出版前の原稿をお送りいただき、意見を求められることもありますが、私が言えることは、その殆どが既にこのブログに書いてあることですから、あまり多くを期待しないで下さいね。

で、その実作。
高1は、「全国縦断公立高校入試リスニングテスト制覇の旅」の福島県。リライトの英文を元に、ディクトグロス。さらにはシャトルラン。高1レベルへと一段階難しくなった語句などの手当てとして、「英英辞書的定義」とのマッチング。

高3は、入試過去問素材の「読解」で、これまでの私の教材研究用手書きノートの写しを参考にして、授業中に自分で書きだしてみる課題。

  • 名詞は四角化で視覚化
  • ワニの口
  • 助動詞の番付表

など、これまでの授業で身についたものを総動員することが求められます。もっとも、生徒には1学期に既に、これを渡して、初見の英文を読むときのチェックポイントは明示しています。

[file:tmrowing:2016高3読解のガイドライン.pdf]

今回の素材文は私の手書きノートの写しでご確認を。





「ライティング」系の課題は、argumentative passage へと進んでいますので、センター試験の「ディスカッションもどき」の過去問を使っての、「議論」の定番となる「話型(話形)」と「表現」の確認。「解法」にはあまり深入りしませんが、巷の学参や問題集、さらには模擬試験の解説でよく見られる「本文には言及なし」「本文ではそのようなことは言っていない」という部分には注意させています。では、なぜ英語が苦手な生徒は、その設問で誤答してしまうのか?どこを読み誤るから、読み飛ばすから、読めていないのにごまかすから、その設問で錯乱肢の方を選んでしまうのか、ということを少なくとも教師は考えておいた方がいいのではないかと思っています。
授業では、ワークシートに本文を印刷します(スキャン&OCRのおかげです)が、選択肢は印刷せず、空所のままにしておきます。

課題1. まず「お題」を読む。「ゴール」と、登場人物と、それぞれの立場は?
課題2. 空所に入れるのに最も適当な内容を、日本語で考える。
課題3. 英語表現の言い換え、要約、具体例に気をつけて選択肢を見る。

というような手順です。

手始めの課題として、近年、最も難しかったのでは?と思える、2008年の追試問題から。案の定、生徒は手こずりました。
でも、丁寧に解説した後で、2009年の追試をやったら、瞬殺。同じ「センター試験」の同じ大問なのにね。


高2は、条件節の3タイプの導入を済ませ、次の課題へ。

  • the way things work

「定義のミカタ」の姉妹版というか、従姉妹版、といったところでしょうか。英語ネイティブの子供用から大人用まで、学級文庫の書籍を横断して、「いいとことどり」で英文を拵えるグループ課題です。これをレポートとか、論文とか、何かの発表原稿で使えば「剽窃」となるのでしょうが、教室内で、「英語の表現」に習熟するため、「お子ちゃま」レベルの英語から成長・成熟させるために使っています。

今回の「お題」は “the way ears work” 耳が聞こえる仕組みの説明です。
ドラフトがこちら。白板の上にコピーが貼ってある本から、足し算引き算掛け算割り算して作成しています。おおよそ、左から右へと、言葉の発達段階も上がっていきますので、どこに自分(たち)の足場を作っておくかは結構大事です。

FBを踏まえた書き直しがこちら。

グループで一番習熟度の低い生徒でも、読んで、聞いて理解できる英語でまとめるように指示しています。
このあとは、音読から対面リピートまで、一連の活動が待っていますが、英語を身につける上で本当に大事なのは、学級文庫を活用し、グループでなら、「ここまでできる」というのがわかったわけですから、「自力で」何をするのか、ということです。高3の授業傍用の「表現ノート」につながるかどうかは、ここからの主体的な取り組みにかかっていると言えます。

入試を考えた学習内容の先取りなどしなくても、きちんとやるべきことをやっていれば英語力は高まるものです。椅子取りゲームのように我先に、と争うより、共に学び合う「仲間」をリスペクトしつつ、「それぞれ」「それなり」「そのうち」を心がけて欲しいと切に願います。

本日はこの辺で。

本日のBGM: Musical Chairs (METAFIVE)