Struggling on the shoulders of ...

忘れていたわけではありませんが、全英連の前に2学期の中間試験があります。
只今、絶賛作問祭り開催中。
いつもは3学年6種類を作っているのですが、今回の中間は5種類。ようやく3つ作り終えました。

授業はiPadでの写真や動画など、記録を小まめにとっているので、その確認もしつつ、出題には万全を期しています。

高3の聴解・読解では、『浦島本』をこんな風に使っています。
聴き取りによるタイトル選びの概要把握から始まり、キーワード書き取り。T/Fの文は、Fの情報の修正を経て、空所のディクテーション。その後、全文(天地を逆に印刷して、ひっくり返さないと照合できないようにしてあります)の読解と音読。
ワークシートは両面印刷で折りたたみ、紙ホチキスを活用し、情報を制限したうえで、ひっくり返したり、開いたりして次の活動へと移行するなかで、概要把握から細部の表現形式の理解の確認まで行きつ戻りつすることで完結するもの。ICTに頼らずともできることをしています。




どんなことを授業中に重視し、共有したか、板書も適宜記録しています。
高2は恒例の副詞節シリーズ。学級文庫の辞書を横断的に調べて白板に「あるある」例文をまとめる作業。先輩の残してくれた「マッチングによる対面リピート用紙タワー型」を見ての例文補充もしています。先輩に感謝です。




高1は「意味順」で、二つ目の「だれ・なに」スロット(←ナカグロが肝ですね)の柔軟性を高める月間。
「モノとコトの境界線は曖昧」を実感してもらっています。あとは、とじかっこ(時制と助動詞を自在に操れる)の有用性、利便性の実感。この二枚の写真は雄弁・饒舌ですね。


作問祭りの隙間を縫うように、自分自身の「学び」も続けています。
今読んでいるのは、こちら。

  • 竹鼻圭子 『しなやかな組織としてのことば』(英宝社、2009年)


刊行時にタイムリーで読めなかったのは残念ですが、今こうして読めているので結果オーライです。
巷の『英語本』では、とかく「前置詞のイメージ」で好き勝手がまかり通るという印象なので、内外の文献を精査している本書で少し頭の整理を。参考文献にはベネットもあればダマシオもありで、研究者って凄いな、というのが偽らざる感想です。

全英連では田地野彰先生に指導助言をお願いしていますが、学習英文法の「ゆるやかな」体系としての『意味順』については自分なりに考えを深め、実践を続けてきました。その「網目」に「しなやかな組織としてのことば」というタイトルが、キーワード検索のように引っかかってきたことによって、今回のあらたな「学び」につながっています。

もう一冊読んでいるのは、随分と古い本。

  • 安井稔 『新しい聞き手の文法』(研究社、1978年)

書き手、話し手の頭に浮かぶ「意味」を形にしていくOSが「意味順」だとすれば、それを受ける「読み手、聞き手の側はどのように頭を働かせて、その形から「意味」を紡ぎ出しているのか、という自分の学び、実践の足跡を確認する作業でもあります。

「はしがき」のこのことばとの再会に襟を正しています。

本書における思考の、いわば、原点をなしているのは、上でも触れるところがあったように、外国語としての英語学習という初心の追求であるといってよいのではないかと思う。こういう問題を、変形文法を中心とする現代の言語学知識を背景に追求していくと、どんな景色のものになるか、どういう部分は、どのように耕されているのかということを、自分の足で少し確かめてみたいという趣のものである。

自分の足跡が既に、巨人の広い肩の上にあることに気づく、祭りの中休み。

本日のBGM: 20世紀鋼鉄の男 (Moonriders)