「調子に乗っていた時期もあると思います」

全英連・山口大会も日一日と迫ってきました。

授業は上手くいかない日もあれば、順調に進まない日もありですが、「それぞれ・それなり」です。ただ、発表の日時は決まっていますから、「そのうち」ではなく、「ここまでうち」とでもいうものをお見せすることになると思います。

11月11日(金)、12日(土)に山口市で開催される、全英連・山口大会。
11日は中嶋洋一先生の記念講演と、山口県の小中高の授業発表が山口市民会館で行われます。
懇親会は11日の18:30よりセントコア山口にて行われます。

私、松井は12日の第19分科会を担当します。

  • 書くことによる英語の運動性能の養成 〜「語」や「句」のかたまりと、「文」と「文」のつながり、そして談話としての「まとまり」の観点から 〜

会場は山口学芸大学。
分科会の参加は事前登録が必要です。
参加希望・検討されている方はwebの申込みページで概要をご確認の上お申し込み下さい。
https://conv.toptour.co.jp/2016/yamaguchienglish2016/bunka.html

私の分科会は、諸般の事情で、「体育館」での開催となる模様です。実行委員会事務局によればイス席のみで、机やテーブルがないとのことですので、会場移動も含めて、参加される皆さんにはご不便をお掛けするやもしれませんが、発表形態・資料様式を検討し、できるだけ実りのあるものにしたいと思います。


さて、
私自身の全英連への参加は、私がまだ東京で働いていた頃の、2006年、工藤洋路先生の分科会発表の記録者としてサポートをしていた東京大会が最後でした。この時の指導助言者は根岸雅史先生。

私自身の発表となると、その更に前、2003年東京大会で分科会を担当しました。この時の指導助言者(モデレータ)は大井恭子先生、記録者は長沼君主先生でした。
既に13年前のことです。

今回の山口大会で私が発表する、というのも奇妙な巡り合わせですが、私の発表では、この13年前の発表で示したようなことは殆ど喋らないだろうと思います。この延長線上にあるような内容を期待されていた方には申し訳ありませんが、干支も一回り前、小学校に入学した児童が高校を卒業してしまう位の時間が過ぎていますから。

その間に、いろいろなことがありました。

今回の私の発表は、言ってみれば、
『学習英文法を見直したい』

学習英文法を見直したい

学習英文法を見直したい

  • 作者: 大津由紀雄,亘理陽一,安井稔,江利川春雄,斎藤兆史,松井孝志,鳥飼玖美子,日向清人,久保野雅史,末岡敏明,岡田伸夫,柳瀬陽介,田地野彰,山岡大基,高見健一,真野泰,福地肇,馬場彰,大名力
  • 出版社/メーカー: 研究社
  • 発売日: 2012/07/21
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拙稿、第7章での自らの問いに対する回答で、『意味順』というOSをどのように取り入れ、そのプラットフォームからどのように乗り降りして来たか、というようなものになろうかと思います。
『学習英文法を見直したい』で、私は次のように問いかけていました。

私の考える「新しい学習英文法」に求められる条件をあらためて考えます。
「一文主義からの脱却」で、「抜け出してどこへ?」という出口は2つあると思います。


・語・句など文を構成する際に「要素」とみなされているものを「主体」と捉えて考え直し、ヨコ糸 (= 個々の表現形式) 紡ぎのために適切に扱うこと。


・一文に過度の情報を詰め込まずに、文と文の繋がり、文と文のまとまりといった「談話レベル」の視点を押さえ、タテ糸 (= 談話・論理) 紡ぎの必要性を感じさせるよう配慮すること。


「コンテクスト」とか「文脈」とは言い古された言葉ですが、「文」が処理できない者には、文脈の把握は難しく、その前後の文の意味や状況設定、人物設定、その文の連なりでの発話の意図などを「日本語」や「理解の極めて容易な英語」で与えられることでかろうじて「脈」を採ることが可能になります。その意味で、初学者から言語運用を求めることによって、否応なく「談話」の「文脈」の中に身を置き、「文」を作るための「ヨコ糸」である形式にフォーカスを当てるという取り組みは、可能性を感じさせてくれますが、指導に当たっては周到な配慮が必要となるでしょう。
次の「局地戦」へと進む場合も、「森という完成された体系」を俯瞰する「鳥の目」からではなく、森の中の木々を一つひとつ学ぶ中で、より見通しの利く「虫の目」を育てていくことで森の中での行動範囲が広がり、自分の足場が均され、安心感や自信が増す、というのが学校現場での指導での落としどころではないかと感じています。

私ならでは、私の生徒たちならではの「落としどころ」と言ってもいいかもしれません。

今回のタイトルは、

書くことによる英語の運動性能の養成
〜「語」や「句」のかたまりと、「文」と「文」のつながり、そして談話としての「まとまり」の観点から〜

というものです。敢えて、「パラグラフライティング」ということばは使っていません。

いまだに、「和文英訳とパラグラフライティンの二者択一で悩む」とか「大学入試対策としての英作文指導ではパラグラフ・ライティングは必要ない」とか口にする人は、殆どいないとは思うのですが、そう言う人たちは、13年前に時を遡って、当時の発表資料を読んでから、拙著でもある『パラグラフ・ライティング指導入門』(大修館書店、2008年)をお読みになることをオススメします。でも、この『…入門』でさえ、既に刊行から7年以上が経っていますから。

今回、2003年当時の資料の公開に当たって、フォントを改めた他、最後の連絡先を新しいものと差し替えましたが、それ以外は全て2003年当時のままです。当然のことながら、参考文献などはその当時入手できるものしか書いていませんので、期せずして(?)絶版ということもあろうかと思いますが、ご了承願います。

2003年 全英連東京大会発表資料
Evaluating Teaching Writing (2003)
2003年 全英連東京大会 第15分科会資料(松井).pdf 直

無料でダウンロードできますし、パスワードもかけませんので、ご自由にお読み下さい。

「グローバル化」の急速に進む日本の英語教育現場において、この13年前の実践知はもう、過去のものとなっているのだろうと思います。

ただ、引用の場合には、「アレンジした」とか「カスタマイズした」とか言わずにきちんと「出典」を示して下さい。また、二次使用に際しては、商用の如何を問わず節度あるメールでご相談いただければと思います。


それでは、山口でお会いしましょう。

本日のBGM: 道 (宇多田ヒカル)