「O3 オールタイムベスト」

tmrowing2015-05-09

来週早々に中間試験なので、作問祭りのはずだったのですが、煮詰まっていたので、好きな音楽を、とiTunesからプレイリストをカチカチと。アルバムにして約1000枚、曲数で1万曲以上入っていますが、本当に聴きつづけている曲、アルバム、アーチストは結構限られてきます。
聴いた回数が一番多いのは、こちらの方。
現在、2015年の新譜『恋愛小説』が絶賛発売中の原田知世さん。
ファンは「ハラトモ様」と呼んだりもします。自分の好きさ加減を振り返り、ほとんど宗教のようだな、と思うこともあります。大学の一年後輩のI君が熱烈なファンで、その影響を多分に受けています。『青&橙』の赤坂ブリッツでのライブを見に行ったとき、直ぐ前の席に大学の後輩のM君が座っていたのにはびっくりしました。みんな大好きなんです。
そんな「ハラトモ様」の歌う楽曲のオールタイムベストを考えてみました。
「オールタイム」といいつつ、私が「アーチスト;歌手」として評価しているのは、1992年作品からなので、そこから最新作を除く作品群から時系列に沿って並べてみた次第。


1. 夢の砦(1992年;Garden収録)

アルバムの最高傑作は、”I could be free” だと思いますが、楽曲としては、この曲が「アイドル」としての過去と「アーチスト」としての現在を繋ぐ最高傑作だと思っています。アルバムは鈴木慶一氏との協同プロデュースです。このアルバムの「ライナーノーツ」とでもいうのでしょうか、慶一さんのコラムは必読だと思います。
この曲の作曲は鈴木慶一。カーネーションの直枝政太郎(当時)さんの作詞。その引き出しの豊富さ、充実ぶりを改めて実感した曲でもあります。ファルセットに移行するギリギリ手前の中高音域で、硬口蓋で擦れる彼女の声の質感は何度効いてもゾクゾクします。

2. のっぽのジャスティス・ちびのギルティ(1995; Egg Shell 収録)

鈴木慶一の世界観を消化して昇華した作品。このアルバムも協同プロデュース。歌詞のアイデアが降りてきた時点で勝ち、ということでしょう。コレ逆だったら(大)変だもの。童話というよりは神話に近いですかね。この曲のギターは、エレキもアコギも徳武さんではなく、カーネーション(当時)の鳥羽修さん。

3. 裸足のマリア (1996年;clover収録)

アルバムは、トーレ・ヨハンソンと鈴木慶一が半分ずつプロデュース。所謂「スウェーディッシュ・ポップ」の日本移入のハシリでもあります。この曲は鈴木サイドのラストでアルバムの掉尾。キーボードでカーネーション(当時)の棚谷祐一が入っています。この頃の棚谷さんはライブでも凄かったなぁ、という印象です。特筆すべきは、彼女自身の作詞・作曲だということ。
「大人達の舗道で 裸足のまま笑うの 今日も」ってとてつもないフレーズですよ。この「今日も」っていうのがここにあることで強さというか、凄みがでますよね。で、アルバム1枚聴き終わって、CDをトレイから出して、スリーブに入れるときに、ジャケットの写真を見て、その「少女」のような愛くるしさとのギャップにやられるわけです。

4. Love (1997年;I could be free収録)

文句なく最高傑作のアルバム。トーレ・ヨハンソンのプロデュース。タンバリンスタジオでの収録。
全く捨て曲がありません。そして、全曲が彼女の作詞です。
投げっぱなしジャーマンスープレックスのような大胆さ、奔放さの響き合うアルバムの中で、この曲は妙に落ち着くスポットを見つけたという感じ。
「ほんの少しだけ傾いて」
というフレーズがツボです。
エンディングのささやくようなナレーション。後の「オンドク」へと繋がる気配が漂っています。

5. 青空と白い花(1998年;Blue Orange)

ジャケットの最高傑作はこのアルバム『青&橙』。エロスを感じます。
楽曲としては、アルバム2曲目のこちらを推します。恋愛における喪失感をこれだけ爽やかな空気感で歌い上げた作品を他に知りません。前作に引き続き全曲彼女自身の作詞、この曲はJenka作曲です。トーレつながりでしょうね。(みなさん、Jenkaのアルバム今でも聴いてますか?名作ですよ。)
演奏も秀逸です。
「今日は 青い 空に会いに行こう」「君と 出会う 前の青空に」の大きさと朗らかさも素晴らしいのですが、何と言っても、
「こぼれ落ちてく 涙 みたい」
での声の質感、音色なんですよ。その前の行の「こぼれ落ちてく」を繰り返しているところに、作詞の技巧が洗練されてきた、というか「感性」に「技術」が追いついてきたことが伺えます。

6. you & me (1999年;A Day of My Life収録)

記念すべきセルフプロデュース作品。
ギター(星川薫)による伴奏のみなので、「歌」が際立ちます。この曲のボーカルでは、息継ぎ(ブレス)まで美しく響いています。未聴の方も、コレを聴いたら恋に落ちますよ。
“It’s just because.”

7. 空と糸---talking on air--- (2002年;先行シングル;2002年;My Pieces収録)

鈴木慶一色全開のフォークロック。某携帯会社のCMソングでもありました。ギターは徳武さんと星川さん。ベースは六川正彦さん。キーボードは棚谷祐一さん。チェロに四谷卯大さん。プログラム&操作は山岡広司さん。シングル盤ジャケットの撮影場所は、千葉県九十九里にある牧場(?)サンシャインステープルス。でも「お馬さん」は出てきません。

8. ノスタルジア (2007年;music & me 収録)

このアルバムから、伊藤ゴロー氏のプロデュース。アルバムを貫く透明感、清涼感を支えるマスタリングエンジニアは音響ハウスの中里正男氏。まさに、”timeless quality” です。
この曲は、もともとは Moose Hill のアルバムで彼女が歌ったもの。伊藤ゴロー作曲、Tarkov (樽湖夫)作詞。
歌詞カードを見ると、全てカタカナであることがわかります。言葉遣いの影響もあり、どこかの国の民謡を翻訳したようにも聞こえるし、童謡・唱歌のようにも聞こえますが、「絵」のはっきりと見える曲です。
この曲のタイトルは「ノスタルジア」ですが、次の世代の日本の女性ボーカリストが、今後何十年も歌い継いでいってくれると嬉しいな、と本気で思っています。

9. FINE (2009年;eyja 収録)

アルバムは前作に続いて伊藤ゴロー氏のプロデュース。アイスランドでのレコーディング。裏(中?)ジャケの写真にお馬さんが出てきます。アートディレクションにエド・ツワキ氏。この曲のビデオの監督も彼。彼女自身の作詞、伊藤ゴロー作曲。言葉の選び方に力みや衒いがありません。

10. 走る人 (2014年;noon moon収録)

引き続き伊藤ゴロー氏のプロデュース。DOSAを身につけていることで、私の周囲では多大な反響を呼んだジャケットです。このアルバムでアーチストとしての評価が一段と高まったように思います。
イントロを聴いて中村一義の『黒男』かと一瞬思いましたが、この曲は何といっても彼女の「声」を聴く曲でしょう。一番の「うおお」のところなど、単語やフレーズとして「意味」がない「声の響き」だけでも「効かせる」ことのできる曲だと思います。

ボーナストラック:Laika (2008年;floating pupa 収録)

この1曲は、高橋幸宏さんのバンド pupaのアルバムから。博多のライブで見た3号のキュートなスカート姿は今でも目に浮かびます。英語詞は天辰京子さんかな?
映画『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』を初公開時に見た世代で、ご自身も犬を飼っている人にとって、これは歌っていると落涙必至だと思います。

本日のBGM: 上記11曲。