Personal & Universal

日本篇に続いて、ギターが印象的な曲、海外・グローバル篇を。
ギタリストとして、Richard Thompsonは絶対に外せないところなのですが、彼は、元妻とのユニット Richard & Linda Thomsonで「デュオ篇」(いつ書けるかな?) にてランキング入りしているので、ソロアーチストとしてはこちらにはいれておりません(一部リードギターは聴けますが)。

また、The Byrdsの Turn! Turn! Turn! (1965年) は、確かに、この曲がなければフォーク・ロックというジャンルそのものがなかったかもしれないという超重要な位置づけの楽曲ですが、流石に、私もリアルタイムでは出会っていませんので、泣く泣くカットです。「後出しじゃんけん」をできるだけ戒めたいと思いますので、悪しからず。
「発表、発売後10年以上経過したもの」、ということで、OK Go の Here It Goes Again (2007年) も、Kaiser ChiefsのRuby (2007年) も 、The Last Shadow Puppetsの Standing Next to Me (2008年) も外しています。ご容赦を。

1. Good Old-Fashioned Lover Boy (Queen; 1976年)

「ロックのリードギター」というものの原体験ですかね。中学校の時に、友人と組んでいたバンドではDeep Purpleなんかやってましたけど、好きだったのはブライアン・メイのギター。例によって、隣の部屋の兄のステレオから、この「真っすぐに膨らむギター」が浸出してくるわけです。私にとってのQueenは、Bicycle raceよりも、Bohemian rhapsodyよりも、Don’t stop me now よりも 、We are the championsよりも、We will rock you よりも、この曲なんです。
https://www.youtube.com/watch?v=DejxWnnj34M


2. Of missing persons (Jackson Browne; 1980)

JBと言えば、私には、ジャクソン・ブラウンです。もう、「DNAアーチスト」という称号を与えたいくらい。高校生の時に初めて聴いてから、記憶に、体に染みついています。「歌心」です。この曲は、亡くなったLittle Feet のロウエル・ジョージのことを歌ったもの。残された者が何を大切にして自分の生を全うするか。Personal でuniversal。深いテーマです。
スチールは、彼の音楽に無くてはならない、David Lindley。近年では、この二人でのライブも多いようですが、つい先日の来日ライブはバンド編成で大好評だったとか。見に行きたかったな…。
https://www.youtube.com/watch?v=yNeCyzCVk7s


3. Lucky Day (Any Trouble; 1984年)

Clive Gregson をバンマスとする、80年代前半、ニューウエイブ期に輝いていたバンド。この曲収録のアルバム “Wrong end of the race” が彼らの最後の作品となりました。
プロデュースはブリティッシュ・トラッドを支えてきたJohn Wood と元Recordsのドラマー、Will Birch (この人のポップセンスは再評価されてしかるべきだと思います)。今、手元にクレジットがありませんが、このギターソロはリチャード・トンプソンでしょうね。
この後、リチャード・トンプソンの二回目の来日公演(PARCO劇場@渋谷)では、クライブがギターでサポート。食あたりでダウンしたリチャードに代わってステージを持たせるという思い掛けない大活躍を見せたのでした。

4. Levi Stubbs’ Tears (Billy Bragg; 1986年)

一人クラッシュと異名をとった彼ですが、彼の後の作品を聴いてもわかるように、60年代も含めて、大衆音楽に大変造詣が深いのです。この曲は彼のそんな面目躍如。Four Topsら60年代のコーラスグループやソングライティングチームへのオマージュとも言えます。私は、1975年にスプリングスティーンを知り、80年にコステロに嵌まり、85年に彼と出会えたことを素直に喜びたいと思います。1986年のアルバム “Talking with the Taxman about Poetry” に収録。PVで見るのと同じく、スタジオでも一人で弾いて一発で録っているのでしょうか?彼の音を聴くと、高貴な音は必ずしも高価な楽器から生まれるわけではない、と痛感します。
PV版
https://www.youtube.com/watch?v=I4v8VJ0LRgA
record音源
https://www.youtube.com/watch?v=wbdJ8OGYtzM


5. Don’t dream it’s over (Crowded House; 1986年)

王道にして、evergreen。胸キュン。「美メロ」ということばが一番似合う曲ではないでしょうか。フィン・ブラザーズのセンスの結晶。オープニングのカッティングで、もう物語は始まっています。何度聴いても鼻の奥がピリピリします。耳鼻咽喉科行ってきたほうがいいでしょうかね、直枝さん?
ライブ版
https://www.youtube.com/watch?v=I52eefwAKDE
弾き語り版(右にいる二人にも注目!)
https://www.youtube.com/watch?v=NSLKIKyg6MQ

6. Sitting in the park (Gangway; 1986-1988年)

デンマークからの刺客、いや死角。私が知ったのは、1988年に出たアルバム “ … again” の方だったと思います。「デンマーク」は全くノーマークだったので、度肝を抜かれました。足下を見れば、日本にだってロック、ポップスの王道を受け継ぐ人たちが一杯いるわけですから、世界のどこにでも同じようにDNAを持った人たちがいてもおかしくないわけです。では、彼らのDNAを受け継ぐ者は?
https://www.youtube.com/watch?v=Neg9kjMmIjU

7. Evangeline (Matthew Sweet; 1991年)

「ギターポップ」といったら、これだっちゃ!
Tuesday Weldの写真でもおなじみのジャケットが「甘く切ない」感じをマシマシという、ギターポップの名盤 “Girlfriend” 収録。プロデュースは、マシューと、Fred Maher。リードギターは、リチャード・ロイド。私が、90年代に最も頻繁に聴いた洋楽は、この『彼女』と、ビューティフル・サウスではないかと思いますが、リマスター版の音像が素晴らしいので、「オリジナル持っているから」といわずにリマスターでも聴いて下さい。
因に、私はアニメの『エバンゲリオン』はリアルタイムでは全く見ておりませんので、アニメとこの曲のテーマ性については何も語れません。
https://www.youtube.com/watch?v=y7ax7QlHoG4

8. The Trap Door (Jules Shear; 1992年)

MTV Unplugged のホストとしてのキャリアも今は皆忘れてしまったことでしょう。バングルスやシンディー・ローパーに提供した曲が多くの人の記憶に残っていてくれればファンとしては本望です。
左利きで唯一無比のオープンチューニングから繰り出される極上の音。
アルバム “Great Puzzle” のオープニングを飾る曲がこの歌詞です。でも、初めて聴いてからもう20年。歳を重ねる毎に、彼のことばが染みてきます。私も含めて、「ズルをしてまで人を出し抜こうと思わない」人たちに捧げます。ソロパートを弾いているのは、Richard Stekol、ベースはTony Levinです。
https://www.youtube.com/watch?v=yaSsnqMhLXg


9. In the evening of her day (Stephen Duffy; 1996年)

元デュラン・デュランという形容は不要でしょう。Lilac Time と並行して良質のポップスを届け続けてくれています。Duffy と名乗ったギターポップのソロアルバムを引っさげての渋谷クアトロ来日公演の記憶はまだまだ鮮やかです。この曲はもともと、カナダの歌姫Diane Tellが1996年に発表したアルバム、Désir Plaisir Soupirへの提供曲。その後、1998年のシングルB面に相当するカップリング曲になり、チャートとはとことん無縁のまま今日に至ります。この曲を聴くと本当に毎回のように涙が出ます。そんなこんなでもう15年経ちました。王道、美メロ路線でいえば、スペシャルズのフロントマンTerry Hallのアルバム Laugh (1997年) で共作している、Sonny and his sister という曲は「今、バーズですか?」というくらいスイートな佳作ですので、機会があれば聴いてみて下さい。
https://www.youtube.com/watch?v=gwe-laLRFpc

10. Electric Guitars (prefab sprout; 1997年)

美メロといえば、この人を忘れてはなりますまい。「青春の巨匠」といってもいいでしょう。人生の光と陰を知り尽くした彼の紡ぎ出す音楽で救われた人は多いと思います。Songwriters’ songwriter、パディー・マクアルーンによる、正に「名は体を表わす」1曲。Andromeda Heights 収録。
この河を遡っていった上流には、きっとジミー・ウエッブやバート・バカラックがいるような気がします。
https://www.youtube.com/watch?v=z-KIHpU2Ly8

ということで、10曲で20世紀が終了してしましました。
続きはどうしようかな?

本日のBGM: Observatory (Acoustic Version; Glenn Tilbrook; 2001年)

スクイーズのソングライティングチームとして珠玉の名曲を紡いできたGlennが初のソロアルバム、The Incomplete Glenn Tilbrook を発表したのが2001年。そのボーナスCDというには完成度の高すぎるもう一つのCD、Acoustic Incomplete に収録。美メロとギターの名演に唸ります。
https://youtu.be/0zhrRf6iE4U?t=3m19s