out on the road

昨年末の、博多&熊本に続いて、7月27日広島で「達人セミナー」講師を務めて来ました。今回も、広島市立早稲田中の胡子美由紀先生とご一緒。

参加者は、30名弱。中高の教員だけでなく、広島ということもあり、広島大学の学生、院生も多く参加していたのが印象的でした。柳瀬先生、樫葉先生の指導の賜、学生院生の意識、志の高さの現れでしょうか。九州は長崎や福岡、岡山、島根など、遠くから来られた方も。流石は "emotional tie" の「達セミ」です。私も、Y先生の姿を見たときはドキッとしましたけどね。

胡子先生は、この半年の間に、更なるパワーアップ。
私もペアワーク&グループワークに参加しながら、メモを取りましたので、その一部を紹介。

2014/07/27
10: 00-12:00
Hiroshima Tatsu-semi

Ebisu sensei

self-introduction
reporting
posture
lay-out

response/reactions given from the listeners
noise→ positive stimulus/environmental effect

listen to a song and fill in the blanks

authentic materials
integrated skills & tasks/activities

classroom-management

goal-setting
backward designing

skill-using / skill-getting
introduction / sequencing / flow / connection

task repetition
task variation

noticing followed by reinforcement activities

short-chunk

"reset"
initializing

この後も、DVD撮影したばかりの、”Talking Battle” まで、技能統合をバックワードデザインで、<何度も繰り返す間に仕切り直し、練り直し>でより良いものになっていく活動と、<即興>を楽しみつつ、「言いたかったけど言えなかったことば」を自分のものにするための更なる取り組みと、気づき、学びに溢れた2時間でした。夏休みとはいえ、研修にでる時間を捻出するのが大変な学校現場の忙しさ、しんどさがあることは重々理解していますが、胡子先生の講座は、そんな中で足を運んだ人にも、もっと話しを聞きたい、また見たい、話しを聞いてもらいたい、と思わせるに十分な内容だったと思います。

お昼を挟んでの私のコマは、「つながり感&まとまり感」に焦点を当て、その「つながり」や「まとまり」を作るものを、文未満と文以上に分けたときに、あまり教授者には意識されることのないであろう「文未満」のつながりとまとまりに少し重点を置いて話しをしてみました。昨年末だと、博多の延長線というよりは、熊本の延長線といったところでしょうか。

冒頭で、「今日お話しすることのほぼ全ては、ブログに書いてあります。ブログはタダです。でも、その場で、目の前の人からしか学べないものが確かにあります。」といったのですが、衒いでも何でもなく、普段、授業で生徒に言っていることばそのままです。

ただ、「名詞は四角化で視覚化」について、自分の授業以外でこれだけ時間を取って説明したのは初めてかも知れません。
特に「ワニ」。ことがらの処理です。高校入試レベルの素材でも、「ことがら」をことばで表すのに、制約が多く、ライターは苦心していると思うのです。
過日、上智大で開催された「高校入試」を考えるシンポジウムで、「良問」として扱われていた、「神奈川県」の出題を批判的に取り上げました。「ダブルパッセージもどき」で、二つのメールを読み設問に答える、という「仕掛け」「設定」は良いと思うのですが、日本人中学生が書くメールの方が、英語ネイティブが書くメールよりも、名詞節を多用していて、さらには、メール本文よりも、その二つに跨る内容をまとめなければならない「設問」の英文の方が、文構造が難しい、というのは問題視されないのか、訝しく思っていたのでした。
中国地区からは、岡山県の出題から「リスニング」のスクリプトを取り上げ、

この冒頭でクラクラしませんか?読解なら、行ったり来たりで手がかりを作れますけど、これは聞くだけで処理しなければならないのです。

と言いました。本音で、本気です。
当日の資料のうち、レジュメにあたるものと、お土産に配った、私のこのリスニングスクリプトのリライトのファイルはこちらからダウンロードできるようにしてあります。

広島・達セミ・レジュメ
達人セミナー 2014年7月27日_訂正版.pdf 直
岡山・リライト
岡山・リライト.pdf 直

レジュメにはパスワードはかけておりませんが、二次使用は著作権に留意し、慎重な扱いをお願いします。
「岡山・リライト」の方にはパスワードがかけてありますので、レジュメにあったメールアドレスでお問い合わせ下さい。当日参加されなかった方も、左のアンテナにある「プロフィール欄」の最後にアドレスがありますので、そちらからお問い合わせ下さい。

講座の後半では、<一文を越えた、しかしながら文に依存している>まとまりとつながり、ということで、いつものように、<現代入試問題解答例批判>。
ディクトグロスとイカソーメンについても説明を加え、イカソーメンは実際に体験してもらいました。

「風景描写・人物描写」「百科事典的説明文」など、まとまった英文を書かせる課題で、「追悼文・伝記」を利用して、「パラレル」な課題を与える、「パラレル」な課題でテストとする、という部分も、もう少し時間配分を考えて、丁寧に扱えれば良かったなと反省しています。

つながりとまとまりを感じるのに大事なことは、「そのことばの生息域」とでもいうものが、まず教師に分かっていること、という私の想いが幾らかでも伝わっていれば嬉しいです。

今回の、<達人セミナー in 広島>を見逃した、聞き逃した、という方たちに朗報です。さらには、英語教育関係者にとって、耳寄りな情報でもあります。

今年も、やります。

第7回 山口県英語教育フォーラム 講師決定!

主催: 長州英語指導研究会
日時: 2014年11月23日 (日・祝) 10:00 -17:30 (受付開始 9:30〜)
場所: 山口県労福協会館・大会議室
(〒753-0078 山口市緑町3-29。アクセスマップのpdfファイルはこちらから、http://www.welfareyg.jp/map.pdf)

講師 (登壇順):
松井孝志 (山口県鴻城高校)
田地野彰 (京都大学)
胡子美由紀 (広島市立早稲田中学校)

参加費: 無料
講師の方を囲んだ懇親会 (会費制) も予定しています。

私も第1回以来の登壇で、前座を務めます。午後は、胡子美由紀先生と、「意味順」でも有名な田地野彰先生を迎えて、第7回のフォーラム開催です。

三連休の中日ですので、まずはスケジュールの確認を。
県外、遠方からお越しの方は、宿泊先の確保をお早めにお願い致します。
JR・新山口駅、宇部山口空港から会場までは、かなりの距離がありますので、移動に時間がかかります。
懇親会に参加希望の方は、宿泊は「湯田温泉」近辺が便利です。

正式な要項は8月末から9月初旬に発表の予定です。乞うご期待。


週が明けての月曜日に、早稲田大学で開催された「第1回早稲田大学ライティング・フォーラム」に日帰りで参加してきました。講師は、あの、ポール・ケイ・マツダ先生。自分にとっての、今後、2年か5年かわかりませんが、「作文の教師」としての新たな指針を確たるものにしてくれた出会いでした。その「重い想い」に関しては、また日を改めて。

本日のBGM: Where You Lead (Carole King)