something to grow with

tmrowing2014-07-22

一週間のご無沙汰でした。tmrowingです。
FBで、名前の文字に当て嵌まる形容詞で、その人を語る、というようなものがあったので、試してみました。この向きに書くと、Acrosticですね。

t = tough
m = modest
r = reliable
o = original
w = witty
i = intuitive
n = nice
g = good

友人からは、最後の niceとgoodが「投げやりな感じ」との的確なコメントが。
最後に ”NG” はまずいと思ったんでしょう。行き当たりばったりな感じが私に合っているような‥。
そういえば、大学時代、ボート部の後輩S君に、「先輩は、そういう、行き当たりばったり、出たとこ勝負、五里霧中、暗中模索、明日は明日の風が吹く、みたいな生き方を何歳くらいまで続けるつもりなんですか?」と真顔で訊かれたことがありましたね。「明日は明日の…」というのは、現在使用中のこのtmrowingという名前に継承(?)された感じです。

本業では、国体の中国ブロック予選。
少年種目は本戦出場権獲得ならず。
成年種目は、女子1Xが1位で通過、男子4+が2位で通過となりました。
4+は2枠。1回戦が3位で、もう後がない2回戦は、岡山の猛追を辛くも逃げ切り、総合得点で鳥取と同点。タイム差で2位となりました。岐阜大会、東京大会と本戦出場を逃していただけに、最後まで諦めなかったクルーを讃えたいと思います。今回の4+クルーは、所謂「ふるさと選手」の助けを借りず、地元選手だけでの編成。大学入学後にこの競技を始めた学生も2名乗っていますから、伸びしろもまだまだある筈。本戦まで、更なる艇速アップ、加速をお願いします。
今年のブロック予選は、持ち回りの順番で島根県開催の筈だったのですが、渇水で湖の水位が上がらず、レース水域が確保できそうもない、ということで、前の週の理事会で、急遽鳥取県の米子、錦海に変更になりました。車で、更に1時間以上離れたコースとなります。湖から海へ、慣れないコースで、浪風を想定したセッティングには苦労します。私は、山口市内から車で先乗り。コースの様子、他チームの動きなどを観察。10時過ぎにはかなり波立っていました。山口チーム本隊は、トラックとバスに艇を積み、6時間掛けて11時に会場入り。積み下ろしの後、リギング開始。
11時過ぎから、風が強まり、リギング途中で、大会運営側から、「本日これ以降の乗艇は中止」というお達し。そのままレースに臨むわけにはいかないので、翌日の日曜日、レース当日の早朝に練習時間を設定してくれるようにお願いしていました。
理事長を含めた大会本部での協議の結果、朝6時半から、コースを練習のために開放、7時半にはレースのためにコース閉鎖、という対応になりました。波浪により広島の一部クルーと、山口全クルーが乗艇不可だったのですから、コース開放時の練習は、この2県の当該クルーだけでいいと思うのですが、そうはならなかったのが何とも釈然としません。土曜日午前中にリギングと乗艇を済ませたところは、更なるチューニングが可能となったわけです。移動距離という物理的制約を考慮に入れてほしいものです。高校生は18日の金曜日が終業式で、その後、午後から艇の積み込みをします。学校に普通に登校して、そのまま会場入りし前泊対応できるほど、予算に恵まれてはいませんし、準備も難しいのです。現実問題として、6時間近く移動に費やす地域への配慮があってしかるべきだろうと思います。昨年は山口県で開催したこの大会、山口県では、公式練習は十分に配慮して開催したはずです。結局、開催地に近い県はリギングの調整にも時間が取れ、練習もさらに十分できる、という「準備」や「対応」は今後の検討課題になるかと思われます。
レース当日の朝食は「お弁当」ということだったのですが、時間通りホテルには届かず、ホテルから業者には連絡がつかず、ということで、20分以上待った後、県の事務局から業者に連絡してもらい、会場に直接運んでもらうこととして、レースに向かいました。時間帯が遅めの種目は、朝5時に朝食を取る予定だったのですが、それもできず、買ってあった補食のゼリーやバナナで対応。私は今回、主として、成年の1Xについていましたが、結局朝食は無し、レース直後にバナナを1本食べただけでした。流石に、帰路を前にゼリーを一つ補給しましたが、この年齢だと肉体的なダメージも色濃く残りました。ふるさと選手を3人、空港まで送ってから、帰路を急ぎ日が暮れる頃には自宅に戻れました。
長崎も海のコース。今回の経験を活かせるよう、頭も心も切り替えようと思います。

さて、
世界情勢が不安定な中、こんなニュースが目に入りました。正業の英語教育関連です。

中高生版TOEFL開始…実践的英語テスト続々 : (YOMIURI ONLINE)
http://www.yomiuri.co.jp/national/20140720-OYT1T50080.html?from=tw
※リンク先は有効期限があると思われますので、リンク切れの際はご容赦を。

「続々」とか無責任なこと言ってないで、外部試験や卒業認定などで受験を求められる高校生の受験料負担を真剣に議論して下さい!「大学入試センター」試験の受検料は1教科に直せば6千円ですよ。
「コンピューター利用で4技能を測定」って聞こえはいいけれど、受験会場は全国に今現在何箇所あるのでしょうか?これから試験会場を作るとしたら、そこで使用する予定機器は新規購入となるでしょう。経済効果は如何ばかり? さらに、年複数回受験や、高校2年次から受験可能になった場合の収益の見込みは?盛業?その一方で、一回1万円弱の試験を年複数回、都市圏まで交通費をかけてまで受験に行く高校生の負担はどのくらいになるのでしょうか?いったい、「誰得」の制度改革なのでしょう?

英検は今年度から受験料を大幅値上げしました。昨年度の「高校生全体」の準2級以上の受験者総数は約52万5千人。センター試験受験者とほぼ同じ数になります。ただし、受験料は約1.5倍。年 2回受けてくれれば、それが3倍に。美味しい話には裏があるもの。英検+上智大で開発実施予定のTEAPの開発費用がいくらかかろうと、いったん外部試験認定されればその収益は莫大なものになりそうです。今抱えている悩みなど「万事解決」ということになるでしょう。そのために、全国各地で「PR」イベントが盛んに行われています。

私はずーっと言い続けているのですが、既に定評のあるTOEFLやIELTSとの得点換算を、新たに開発されたテストの側が勝手に宣言するのではなく、例えば、TEAPで何点とれたらTOEFL の何点と同じです、ということをTOEFLの実施母体であるETSの側に認めさせて初めて「説得力」があるのだと思いますよ。

英検準1級合格で高校入試満点扱いも同じこと。「英検準1級合格者の高校入試の英語を満点に」なんていう「入試改革」を断行しようという自治体があったように記憶していますが、本当にそういう換算ができるのなら、「高校入試の英語で満点をとった受験生」全員に英検準1級の合格証を発行するよう、英検協会と協定を結ぶべき。専門家の言を待たずとも、試験が異なれば違うものを測定しているのは自明ですから。
「中高生版TOEFL」と言われる新たな外部試験ですが、結局は新規参入できる旨味のあるマーケットとなっているわけですよ。試験を受けなければならない「縛り」のある中高生を食い物にしているようなものです。個々の大学入試やセンター試験の「外」にある試験には、「英検」の他に、「数検」もあるのだけれど、英語と同じ「狂騒曲」が起こらないのは、日本人の「英語コンプレックス」が作用しているのかね?「英語コンプレックス」につけ込まれているような嫌な感じがつきまといます。

このブログの過去のエントリーで何度も言及してきた ”Can-do statements” ですが、トップダウンで、各自治体の教育委員会から、拠点校での開発が進められているのが現状だと思います。拠点校や協力校で出来上がったその後、「その他大勢」の高校はどうする予定なのでしょうか?また、「その他大勢」の高校にはどうして欲しいのでしょうか?どうにもよくわからない方向で事態は進んでいるようです。

一昨年の秋に開催した「第5回山口県英語教育フォーラム」では、can-do statementsの開発では日本の最先端の研究者と言えるであろう、長沼君主先生をお招きして、

  • Can-do 、その前に…

という講演をしていただきました。本来の理念趣旨と異なる、「can-doリスト作成」の一人歩きを危惧してのことでした。その危惧は大きくなりこそすれ、消えることなく、2年が過ぎようとしています。
「能力文記述による指標」を「評価尺度」として用いることは現実的にも意味があろうとは思いますが、それが「到達目標」となってしまうのは、本末転倒。

CEFRの上澄みを掬って、綺麗で美味しい部分だけを移入流用しようとしても上手くは行かないように思います。その源流のThreshold Levelに遡れば、欧州での40年近い歴史があるのですから、その紆余曲折を含んだ取り組みにこそ学ぶべきでしょう。

本日のエントリー冒頭の写真は、その学ぶべき2冊。(写真 2014-07-22 10 59 50.jpg 直)

Insights from Common European Frameworkの翻訳書、『ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)から学ぶ英語教育』(2013年、研究社) は、原著の刊行 (2004年) から9年後。それでも、このように誠実で落ち着いた翻訳が世に出ているのですから、中高現場の英語教師にも是非、読んで欲しいと思います。
Threshold Level も1975年版や1990年版ではなく、この写真の1976年版 “… For Schools” をこそ、読み返し、機能表現の分類や言語材料の精査だけでは何故うまく行かなかったのか、そして、CEFRでは、どの方向に踏み出したのかを、考えてみる必要があるでしょう。とりわけ、上記翻訳書の「アイルランド初等学校における事例研究」 (pp.138-156) で執筆しているDavid Little の声にはよく耳を澄ませて欲しいと思うのです。

本日のBGM:  From Little Things Big Things Grow (Clare Bowditch)