More moved than thrilled?

tmrowing2014-06-12

梅雨は、早、3号が明けた。3号というと、私の世代は「フランソワーズ」ですね。pupaなら、知世ちゃん。
正業は着々と。
進学クラス高1は、番付表の「小結」まで導入終了。これで、横綱、大関、関脇との<合体ロボ攻撃>にも対応可能。早速、SWAN のBEUの問題集の方を使って、絵を元に大関か、大関と関脇の合体かを判断して1文を言う練習問題。この練習問題の一番が、女子テニス選手が優勝カップを抱く絵となっていたので、先日の全仏優勝のマリア・シャラポアがロッカールームらしき部屋で優勝カップを抱きながら微笑む写真を見せておきました。結局、<動詞の実感>が希薄だと上手く行かないんですよね。一切書かせずに口頭でやって、出直し組には、教室後ろのホワイトボードに英文リストを貼って「シャトルラン」をやっています。この<出直す君へのヒント>に、free substitution drills の表を使うという手もありますね。明日やってみよう。この練習問題を快適にこなして行くには、動詞の活用に習熟していることが前提なので、不規則変化する動詞の類型表を配布して発音とリズムで覚えてしまいましょう、という1コマ。

begin-began-begunという活用は、-ed/en形が全く別物だから、 「ああ、この begunという語には決してとじカッコが付かないのだな」ということを教えてくれる、とっても親切な語なんですよ。

と、不規則変化というものに対する姿勢、捉え方を修正。『アナ雪』のお陰で、freezeも順調。

それに対して、<規則変化>と呼ばれているものは、過去形と-ed/en形が同じだから、「この –edは、過去形なのか、-ed/en形なのか、分からな〜い!」ということが出てきます。

という話しをして、『エースクラウン英和』の規則変化動詞のマトリクスのさらに元原稿を提示。

規則動詞の発音と綴り字改訂版.pdf 直

このマトリクスは中学段階で丁寧に扱っておいて欲しい項目です。

不規則変化する動詞で英語が苦手な生徒が悩むのは、

  • hideは、ed/en形が hiddenとdが二つ並ぶ (「重ねる」という言い方は決して使いません)
  • riseは、ed/en形が risenとsが一つ。

というようなところです。類例をまとめて、群集心理に訴えかけるだけでは解決しません。地道に「それぞれ、それなり、そのうち」です。

もともとの明日の予定は、鋏でチョキチョキして、別の大きな紙に貼って、その前後に一文ずつ付け加える<3コマ>英作文へ発展というもの。この前後の文脈付け加えの時に、大きく悩まず<意味順>が使えるかを見ようというのが私の目論見。どうなりますか。

進学クラス高2は、『コーパス口頭英作文』を最後のユニットまで。<中学レベル>と言われる、この教材でも、音声化での問題を沢山抱えている生徒がいます。/f/, /p/, n/, /w/ そろそろ意識できるようになっていないとまずいですよ。「正しい発音を気にしているからできない」のではなく、「自分が出している音、そして自分の調音点に対しての興味関心が低すぎる」ことが多くの原因です。その状態で、CDを何度聞いてもあまりご利益はありません。
舌先がどこに当たっているか、の前に、何かに触っているかいないかを明確に意識することです。歌手やピアニストで、「裸足」で歌ったり演奏したりする人もいるくらいなのですから。

高2の看護科は、「犬 vs. 猫」の仕込み。『フレーズ連結英作文』と並行して、口頭練習。教科書と副教材を高2から変えて、やっと高校生らしくなってきました。自分の英語は、それに見合った「高校生」らしいものになってきていますか?CEFRに当て嵌めるのも大事ですけれど、それよりもまず、自分の「生き物センサー」発動ですよ。『フレーズ連結…』の方は、一日も早く音源をダウンロードして、フレーズでのbuild up 練習をやって下さい。

高3は、「ナラティブ」も小休止。課外講座で、所謂「マーク模試」の解説。
現任校の生徒は、記述式とマークだと記述式の方が有意に成績がいいのですね。何が問われているかが分かるためには、英語として不適切な「選択肢」を見る必要がないからだと思っています。
模試の成績に一喜一憂するな、という進学指導の前の段階で、「センター試験の劣化コピー」としか言いようのない、悩ましい出題への対処を考えなければならないことも多いのです。
依頼の文で、時の副詞節中での動詞の時制を問うものがあったのですが、右頁の別の問いでは、全く同じ機能を持つ文が空所なしで使われていて、そこを見たときに、先程の空所に入るべき動詞の活用形に気づいてしまうだろうし、もし、気が付かないとすれば、こちらの問題の意味が分からないということになるわけで…。授業の解説では、問題用紙に←→と線を引いて結び「○○なの?死ぬの?」と書いておきなさい、と酷評。

<ディスカッションもどき>も設定に無理がありすぎ。
何の権限があって、何を条件に「議論」しているのか?という部分を丁寧に作るべきでしょう。せっかく、「ナラティブ」作文の授業で、「物語文法」のsettingを丁寧にやっているのに、これでは、設問の吟味以前の「問題文」の問題です。「あちゃー」というような杜撰な「持論の垂れ流し」に付き合う方の身にもなって下さい。模試の過去問を使って、模試対策をしている学校もあるように聞きますが、それをやるくらいなら、本番のセンター試験の過去問から、英語として適切なものを用いた方が余程マシだろうと思います。必要なのは「英語力」を高めることでしょうから。
今回、唯一、アイテムライターに感心したのが、ブログを読み比べる問題。
出来事に大層ご立腹の様子で、それをブログに書いているのですが、その書き方が、少し持って回った言い方になっていて、「炎上」しないような配慮をするSNS時代ならではだなぁと思わされました。
ちょうど高1で、受け身の –ed/en形由来の形容詞による感情表現を扱っていたところだったので、高3のクラスでも例文リストを配布。

感情表現の ed_en形由来の形容詞.pdf 直

  • (be) moved
  • (be) thrilled

の語感・上位概念を確認しておきました。前者をsad と、後者をhappy とすぐには結び付けられないようです。
このリストの例文のほとんどは、今年改訂版が出たばかりの、

  • Collins COBUILD Primary Learner’s Dictionary

Collins Cobuild Primary Learner's Dictionary

Collins Cobuild Primary Learner's Dictionary

から拾っているのですが、A1-B1までのCEFRに対応、というだけではなく、語義の扱い、コーパスから抽出されたと思しき用例の選択が初学者向けとして的確、適切だな、と感じています。日本の学習者や指導者も、このレベルの辞書の「良さ」をもっと認識して欲しいと願うばかりです。同僚で数学と国語の先生は、私が紹介した後、暫し自分で読み、頁を繰り、その後、直ぐに密林で注文していました。お子さんに、ということのようです。
私のやっているSNSでも紹介したり、オススメしたりしていたら、現時点での、密林「子ども」ジャンルで語学関係3冠!在庫なし状態。「絶版先生」の薦めるランキング1位、というのも珍しいことでしょう。中高の先生で私以外にもこの辞書を使われている方がいましたら、情報交換などできればと思います。
今週は、同僚から頂いた、Fantasy On Iceの映像を繰り返し見ています。銘酒で名演技。小市民の小幸福。

本日のBGM: 裸足のマリア (原田知世)