A Field of Bloom

学会参加で静岡に行ってきました。
春の陽気。
亘理陽一先生の人脈で、三人の賢者が静岡に集結。
「ライティング」という際どいキーワード

奥住桂先生講演。
「4コママンガで英作文のススメ」

奥住実践と研究成果は、2012年秋の山口県英語教育フォーラム、さらには、2012年春のelec同友会ライティング研究部会でのシンポジウムで分かっていたつもりだったけれども、改めて気づくことも多いのです。

  • タスク「的」なライティング活動

の「的」の部分が、教室の学びの「的を射ていること」が大きな意味を持つのですね。His aim is true!

質疑で一点確認したのは、

授業
宿題
テスト
という三角形でタスクの繰り返しを「設計」するときには、タスク (の難易度) はこの順番で移行・発展するのか?

というもの。 (anfieldroad先生のブログに、ダイアグラムがありますので、是非。http://d.hatena.ne.jp/anfieldroad/20140330)

教室では教師からのアシストや他の生徒との共同・協同ができるが、宿題では、教師の援助が減り、テストでは完全に自力となる。
という具合に自力、独力へと移行するのにtask complexity が上がっていくのか?

という部分を訊ねました。

これには、「授業で何を狙いとするのかによって、授業で3をやって宿題では1を課す、というようなこともやっています」、という回答。納得。

浦野研先生講演。
実は、講演・発表を直接お聞きするのは初めて。
研究者として、教師としてのリアリティを感じることができました。
詳しくは浦野先生のホームグラウンドで (http://www.urano-ken.com/blog/2014/03/28/celes-shizuoka-2014/)

Task Based Language Teachingの枠組み、ガイドラインから「外れない」ことの矜恃で、私に響いたことを、私の要約で。

  • ESPに対するEGPというものは実は無い。実体はない。ジッタリンジン。

ここでの私のメモには、

  • E(m)GP

とあります。
せいぜいが、ESPでの特定の目的に比して、more general またはless specific なものでしょう。utilitarian goalであるからには、specific use しかないでしょうから。

奥住実践と照らし合わせて、一番しっくりきたのは

pedagogic task の設計で、Task Repetition をどのようにしかけるか

という部分。

Exact Repetition
Procedural Repetition

を考えるとき、前者が易しく (優しく?) 後者が難しい、というわけではないということを改めて認識できたのが収穫。

PPP的な指導でのproductionで終わらせずに、そのPに仕掛けを作って、タスクを課す際に、procedural でcomplexityのレベルを上げる。

うまくできないところ、ミスの出るところを見極めて、フィードバックを与えて、その上で書き直しをさせる時の課題が、Exact Repetition となる。

という流れ、仕掛けが秀逸。

ラスト30分は、”憂いの” の面目躍如。

  • 「できろ!」

っていい働きかけだな、と思いました。

  • 大事なことは、「タスクにあらざれば英語授業にあらず」ではない。

という部分は、慎重に処理することが求められるだろうと思いました。PPPの3つ目のPにさえ届かない、または、届いたと錯覚している「表現活動」が余りにも多いですから。

私のメモには、

  • Learn the language skills by doing them (something that leads to true fluency).

とありました。

「高すぎる理想・目標」に対する警鐘というよりは、糾弾・排斥の声が私も含めて、多くの「英語教師」、「教材作成者」「テスト作成者」の耳に届き、胸に響くことを願います。

冒頭での「テスト」で気になっていたのが、教わっていないけれどもできる「例文の容認度判定」。
人名を失念しましたが、

  • A said B shaved him.
  • A said B shaved himself.

で、後者が容認されないということだったのですが、このhimself が目的語ではなく、in person という意味の「副詞」で、もう引退したと思っていた伝説のBarber (実際は爺なのでしょうけど)がやってくれたんだよ、というレポートという可能性はないかな?ということでした。
たとえば、

  • A said B, not his son, shaved.

というような意味の場合に、目的語の欠落と見るか、先行文脈で既知の情報の「省略」とみるか、という可能性はないか聞いておけば良かったな、と。

前田啓朗 先生
もっと「荒ぶる」かと思ったのですが、淡々とコメントを加えておりました。流石は、bow。
実は、bowが一番のテクニシャンで一番最初にゴールを切るのですよね。適材適所テクニシャン、てな具合でしょうか。

奥住実践・研究での4群比較で、ギザギザ、凸凹になっている部分は、本来求めているものとは異なる何かが紛れ込んでるということでしょう。
誰かが引き取って「追試」をする価値がある。

という部分、若い人たちがやってくれると信じています。
前田先生は、ブログやツイッターなどのSNSを使っていないということでしたので、やはり、リアルな発表、セッションに自分で出向いて、直接お話を聞くことが大事ですね。

前田先生が加わっての、クロストークセッションの終わりにフロアからの発言が認められたので、「フィギュアスケートの採点」に絡めて、持論も少し。

今回参加されていた、S先生は浦野先生の元同僚で古い付き合いとのこと。個人的に面識はなかったのですが、その教材には随分お世話になってきたので感激の初対面。ライティング談義に一足早く花も満開。
浦野先生、ご紹介有り難うございました。

懇親会の模様は、参加者それぞれの記憶の中で花開いていることでしょう。
ちょうど、2次会の席で、世界選手権の女子フリーの最終Gでしたので、ICENETWORKのストリーミングで浅田選手のところから後だけ見てました。最近、本業も正業もぱっとしない中、FBでもフィギュアネタが多いので、私のことを「ただのフィギュア好きのオヤジ」と思っている方も多いかも知れません。そんなことはありません。「相当に詳しいフィギュア好きのオヤジ」ですから。
そんな世界選手権の振り返りは、また日を改めて。

本日のBGM: The most beautiful world in the world (Harry Nilsson)

※ 2014年4月2日追記: 「容認度の判定」で、浦野先生の「呟き」により、疑問は解消しました。私の書いたような解釈には無理があるだろうとのことで納得です。