梅雨入りしたはずなのに、というような空模様で出校。
車中ではフジファブリック。
『陽炎』の出だしのベースラインで、涙腺が緩む。
いつだって、若手には期待しているんですよ。
看護科1年は、「助動詞の番付表」導入。
全国紙と地元紙と新聞を2つ教室に持ち込み、先場所の千秋楽の写真を提示。
「白鵬」の名前が出たのでちょっと安堵。
これから1年間、この「番付表」には何回お世話になることでしょうか?
残った時間で、「四角化ドリル・その5」の復習。Read & Look up から Flip & Writeへ。タイマーで時間管理しつつも、取り組みを観察です。
高3の「リーディング」は、先日のブログで指摘した啓林館の教科書本文と原典の英文とを比較し、段落の結束性の話し。
- 「英語になっている」とはどういうことか。
この英文の、一文一文には、確かに「いわゆる文法的な」誤りはないのかもしれません。でも、「英語のパラグラフ」にはなっていません。大学入試の自由英作文の解答例などでよく見られる類の、「英文もどき」ですね。私も、「ディクトグロスもどき」など、「もどき」を薦めることがありますが、その場合であっても、「英語になっている」ことは前提ですから。著者か編集部のコメントが聞きたいものです。
その後、私自身が高校生の時に読んでいた、倉谷直臣氏の著作を紹介。
この「読解」教材には、今流行の「設問」が一切ありません。
- ちゃんと読めていますか?
- ここは素通りして大丈夫?
- それで分かったと言えるのかな?
などと、いうやりとりがなされるだけです。それで十分では?
英文の「つながり」と「まとまり」に関しては、相当しつこくこのブログでも書いてきましたが、本当にその重要性が英語教師に理解され、浸透し、共有されていて、英語教室でも適切に指導されているでしょうか?
次のリンク先の書籍が、1点を除き、みな絶版になっていることを考えて欲しいと思います。
「パラグラフを考えるために (ここに紹介した書籍が広く読まれていないということの意味)」
http://www.amazon.co.jp/lm/R3S7PCH1W5TIGK/ref=cm_pdp_lm_title_2
進学クラス高1は、「目的語感覚」と「自動詞・他動詞」。
ドリルとして、日→英での想起リハーサル、Read & Look up、Flip & Writeを繰り返し。
その中から、
- run after a cat on the roof
は、なぜ (?) 「屋根の上で、猫を追いかける」という読み・解釈にはならないのか、
- feed a bird in the cage
は、なぜ (?) 「カゴの中で、鳥に餌をあげる」という読み・解釈にはならないのか、を考える時間。
- 普通じゃないから。
が答えですね。「最ももっともらしい意味を整合させる」ことで、私たちは表現をし、理解をしているのです。
もし「野鳥園」とか「動物園」で、鳥やダチョウを飼っている、飼育している様な場面をイメージすれば、当然、「カゴの中で餌をあげる」こともあるでしょうし、動物園で、
- feed a lion in the cage
であれば、「カゴの中」ではなく、「檻の中」というイメージになるでしょう。
最後は定番の、waterとweed。
まずは、
- water
を動詞で使うとどういう意味か?と問い、
- …を水る
とでもいう動詞を想定した時に、我々は「『何を』水る」のか?
- water + 名詞
で次に来る名詞にはどんなものが考えられるか?と考えた後で、辞書引き作業。
- 花、植物や花壇
の他には、
- 牛や馬などの動物
が考えられます。では、waterの後ろに名詞が来ない場合、つまり、
- …が水る
という場合には、どんな名詞が主語になるのか?
- お前、…が水っているぞ!
とか、
- …が水りまくりだ。
とか、
- 最近、…が水りがち。
などといった場面をイメージしてみる課題を与えました。
辞書を引けば答えを見つけることは簡単。
- 目が涙で潤む
- 涎が出る
という訳語で理解するのではなく、「身体知」として、 “water” の実感を持つことを重視しています。
- weed
の方は、「雑草」という意味を確認した上で、辞書を閉じ、動詞の意味を想定。
- ?雑草を生やす
- ?雑草が伸びる
などの回答を通過した末、辞書で確認。
- 雑草を取る、草むしりをする
なぜ、waterを動詞で使う時は「与え」たのに、weedを動詞で使うと「取り除く」のか?「意味の整合性」ということを考えてもらいました。ご都合主義とか恣意的といえばそれまでですが、「ことば」は人間が使うものであり、人間はその「ことば」を生きているのですから、「意味」というのは、そんなものでしょう。自動詞と他動詞の定義で「もっともらしい」ことはいくらでも言えるでしょうが、実例を生きるトライをして、その言葉の実感、持ち味、肌触り、運動性能を確認し、さらに生き直すということの方が、余程重要だと思っています。基礎からの学び直しが、チマチマした、せこい演習作業に終わらないことを願っています。
長い会議を経て、帰宅。
遅い夕餉、充実の食卓。
晩酌も盤石。
マニア垂涎の銘酒。
妻と娘の笑顔を見て就寝。
小市民。
本日のBGM: Water Color (大瀧詠一)