”Don’t let this thing happen to you.”

中間テストの返却、見直しもそろそろ一段落。ただ、その「段落」のつながりとまとまりを確かめるのは結構骨が折れるものです。
看護科高1クラスでは、「間違った問題の自分の答えを赤ペンで直してもダメですよ」という話し。

  • なぜ、あの日あのとき (= テストの時) に、あなたは、敢えてその間違った答えを選び、記入したのか?

という部分を意識することなしに、原因となった「自分の頭の働かせ方の問題点」は改善されませんから。大問ごとの「正答率」を取り上げ、平均点の持つ意味 (裏返せば、「意味の無さ加減」とも言えます) を伝え、なぜ、この問いには答えられて、同じ項目を別な角度から問われたこちらの問題には答えられなかったのか、などという 「出来具合」を自己評価することの重要性、そして、問題を解くことよりも重要な「身につける」まで、「ひたむきに」目の前の英語に取り組む姿勢を説きました。
進学クラス高1も同様。

  • できなかった問題は、解き方を覚えたい。
  • 間違ったところは、覚えなおしたい。
  • できるようになった問題は忘れないようにしたい。
  • 次は良い点が取れるように頑張りたい。

などなど、「テスト」に縛られて、「学び」がshrinkしている人が多々見られます。問題を解くことよりも優先すべき学びを見つけることが今の最大の課題でしょう。今日の日誌で何人かに返した言葉は、

  • 「身につける」ということの意味をよく考えること。身についていれば、忘れる心配をしなくていいということです。

進学クラス高2の「リーディング」「ライティング」では、少人数の利点を活かして、「設問」ごとに、「誤答」分析。玉置浩二さんのモノマネをしながら、

  • なぜ、敢えてその間違った答えを選択したのか?
  • なぜ、誤った目的地に辿り着くルートを選択したのか?

を確かめていきます。読解であれば、ほとんどの場合は、細部の読み落としです。端折って、全体を貫く統一した主題を「自分勝手に」作ってしまうと、なかなか修正が利かないのです。深刻なのは、「作文」の方。文整序で段落を完成させる類の出題では、「談話標識」のような、つなぎ語よりも、文と文の繋がり、結束性を司る「語彙項目」「指示語・限定詞」の習熟が不徹底であることが多くの原因です。でも、その大元である「話形」「テクストタイプ」というものが、日本語を使ってでも「実感」できていない場合には、「語彙項目」だけを取り上げて解説しても、なかなか染みて行かないように感じています。

  • なぜ、高1の「学級文庫」には、あの類の本があれだけ揃えてあったのか?

振り返るチャンスでもあります。

今年度は、ここ数年使ってきた教材が「絶版」ということで、いくつか代替案を講じ、新たな教材を使っています。『ぜったい音読』など、中学校レベルのやり直し教材がもしなくなったら?という「まさか」の事態に備えるべく、その代わりとなり得る教材を探しています。
今、読み始めているのは、『文単』。「英検」の3級、準2級の過去問素材を活用した音声CD付き教材。

  • 『テーマ別 文で覚える単熟語』 (旺文社)

一見、某社の『速読英単語』のような、長文中で語彙を学んでいく教材と同じだと思うかもしれませんが、英検3級レベルの本では、

対話や掲示文、アナウンスや手紙・e-メール、一人称主語での narrativeなどの物語文、伝記・人物、逸話・できごと、行事や場所の歴史・特徴、物事に関する説明文

などがテーマ別というよりは、テクストタイプとか、話形ごとにまとめられています。
準2級レベルの方は、「文章」が主体で、「トピック・話題」をもとにした「テーマ別」というタイトルに相応しい分類で、最後に「リスニング (対話文) 」「リスニング (パッセージ)」という構成になっています。
文章といっても、英検の準2級までのパッセージですから、それほど長いものはありません。高2、高3のライティングで、モデルパラグラフとしても使えるような気がしています。まだ細かく読み込んではいないので、現時点での評価は言えませんが、また日を改めて記事にできれば、と思います。

加藤京子先生がよく「英語の秘密」とおっしゃっていましたが、英語の「息づかい」とか「肌触り」が実感できているか、「この辺りにはこんな英語が棲んでいそうだな」という「勘」が働くか、ということは、語彙のサイズとか、文法の4択テストで正答を得ることなどよりも、もっと重要なことであるように思うのです。教材とは直接関係がありませんし、英語学習での即効性などはあまりないと思いますが、次の二つの「書評」を摺り合わせてもらうと、何かが見えてくるのではないかと思います。
『書評空間・阿部公彦の書評ブログ』

前者では、大ベストセラーを取り上げておいて、

しかし、同時に大きな疑問も浮かぶ。こんなによくできた解説が書かれロングセラーにもなっているのに、なぜ日本人の英語は一向に上達しないのか。

と問う阿部氏の姿勢と視点と立脚点を想像してみたい。
後者では、白井恭弘さんの著作に言及しつつも、阿部氏がどのように英語ということばを掴まえ、その言葉を生きているのかが見えるような気がする。例えば、

それは言葉を身につけるために必要なのが、言葉の運動性能を知ることだからである。言葉の乗り心地を知りたい。言葉がしっくりくる感じを体験したい。だから、語られている言葉の紆余曲折ぶりでも、渋滞ぶりでも、ストンと落ちる感じでも何でもいい、動いている言葉に触れるのである。ただ、そこには是非、知的要素もからめたい。でないと、言葉の運動を自分のこととして体験することはできない。

という部分。「英語の秘密」に触れた、と感じる一瞬ではないだろうか。

最終の7限は進学クラス高3の授業。
高3は2科目に跨り、「診断テスト」100題と、その解説で取り上げた補充の用例が試験範囲ですから、みなさん高得点です。しかも、一部、選択問題があります。文字通り、

  • この中から、できるものを選んで答えなさい。

という選択問題です。これって、生徒側からすれば、確実に「点数」が取れるので簡単なテスト問題に映るでしょう。ただ、

  • 自分がどの問題をなぜ避けたのか?
  • クラスで誰も選ばなかった問題はどれか?

ということを確かめれば、各個人、クラス全体ともに「今そこにある課題」や「学ぶべき項目」が浮かび上がるのです。そこを突っつきます。今日の返却時には、各自の解答用紙を机に拡げたまま、「旅」に出て、他の生徒はどの問題を選び、どの問題を選ばなかったか、誰も選んでいない問題はどれか?ということを確かめてもらいました。1年生くらいだと、解答用紙の上端とか、右端や左端の「角」を折って、「点数」が見えないようにしたりする人が見られますが、流石にクラス替えのない、少人数クラスの3年生になると堂々としたものです。そりゃそうですよね、点数をいくら隠したところで、当然、赤で○がついていたり、修正すべき個所に印が付いていたり、とそれぞれの出来具合は一目瞭然ですから。
さあ、いよいよ中間明けからは『即戦力がつく英文ライティング』に入ります。楽しみです。

今日の空き時間には、某社の営業担当者と初顔合わせ。教科書採択の季節ですよね。

  • ○○県の△△先生から、紹介されたので…。

ということで、わざわざ足を運んで下さいました。当然の如く、私の前に示されるのは、

  • 英語表現

の教科書です。

  • 本校では、「英語表現」を開講せず、学校設定科目で対応しています。

と伝えた上で、科目の趣旨、各社の教科書を読み比べた上での感想・評価などなど、こちらも誠意を持って対応。人のつながり、というのは使い方でプラスにもマイナスにも働きます。私も、今回、私の信頼している英語の先生ということで何人かお名前をあげさせて頂きました。採択に結びつくかどうかは脇に置いておいて、

  • より良い英語で、より良い教材を。

という部分で、必ず何かしらかのフィードバックをしてもらえると思ったからです。忙しい時期に、面倒なことをしてくれたな、とおっしゃる方もいるかと思いますが、次にお会いする時にでも、埋め合わせをさせていただければと思います。

放課後は学年会議で練習は全く見られず帰宅。

夕飯は、体調が優れない妻が調理するのに一番負担の少ないもの、という選択肢から、温かいおろし蕎麦になりました。
家での食事は、ほぼ全て妻任せなので、自分でも何とかしないとなぁ、と反省。
日常の豊かさは大変な労力によって支えられているんですね。

本日のBGM: Take my advice (Sly & The Family Stone)