stethoscope

高1の看護科は、「2013年のゴールデンウィーク」前半のスモールトークから。

  • How was the first half of the Golden Week?
  • What did you do?

と、be動詞文と一般動詞文での質問を投げかけて、基本の確認も。
ネタ、トピックは市内でサッカーの試合に先立って行われた、サポーター同士の結婚式、「スタジアム・ウェディング」の話し。
カタカナ語の発音・リズムと綴り字の復習を辞書指導と絡めて。

  • stadium wedding

強勢で、○の数を確認。-a-を名前読みしていること、-um-の部分は、前回までに扱った語の中に類例があることを伝え、 umbrellaを引き出す。
「記憶の強化には、離れていきそうな恋人の心を、ぐっと連れ戻すのと同じで、消えそうになる前に引き戻し連れ戻すことが大事。」と、喩え話を使って、復習の重要性を説く。覚えられない人は、試験の直前まで、プリントや教科書をじっと見つめていたりします。そばに居て、お互いの顔を見合わせてラブラブだと思って安心しているのはあなただけで、実は相手の心はもう、そこにはないかも知れないのですよ…。
いよいよこちらでも「四角化ドリル」の導入。頑張りましょう。

進学クラス高1は、「四角化ドリル」のその1〜その4までの復習で「日→英」を一気に。かなりお粗末。

  • テストじゃないからね。

と念を押し、英語の回路を造ることの意味を説く。教室の後ろに世界地図が貼ってあるので、いつもの、

  • 1mmのスエズ運河

の喩え。

こちら側の「日本語の海」から、向こう側の「英語の海」まで、まずは1mmで良いから、突き抜けて英語そのものを感じることです。 “sink or swim” で、大海原に飛び込める人はそれでも良いでしょう。でも、なかなかそんなことは出来ません。まずは、「海」を感じること。1mmでも突き抜けたら、そこを水が流れるたびに周りの土が掘れていき、穴・運河が大きくなっていきます。そうすれば、まず、自分の手が通るでしょう。まずは、安心・安全なこちら側にいて、向こう側へと手を伸ばし、自分の側に引き寄せるところから始めればいいのです。

といって、自分の右側に壁があるかのような、そして、その壁の向こう側へと繋がる穴の中に手を入れ伸ばすかのような仕草を実演。その自分の格好を自分自身で見て、ああ、「あの感じだな」と思ったので、

  • こういうのは、小さい男の子でも得意で、その辺の公園でもやっていませんか?「チョーいいね!」とかいって。

と『仮面ライダー ウィザード』が装備を調達したりする時の解説をしておきました。極々一部の生徒にしかわからなかったでしょうが。
その後は、『意味順』の導入。といっても、高1は範囲を決めた小テストなどはしませんので、「トリセツ」にあたる部分を丁寧に読み、「必ず、この本の書いてあるとおりにやること。自分でどんどん進むこと。分からないところは飛ばしても良いけど、あとで必ず戻ってやり直すこと。」を確認。
NHK基礎英語の連載を紹介し、田地野先生のお手紙も読み上げておきました。『4月号』のテキストも紹介済。後は、自分が動くかどうかです。
毎年気になっていることですが、こちらに来てから、「ラジオ基礎英語」を聞いてきた新入生に、ほとんど遭遇しません。現任校のレベルがそれまでだと言われれば返す言葉もありませんが、ほぼ全員が、公立中学校出身です。その一方で、ほぼ全員が中学時代に塾に行っていたというのですから驚き。
こういう事情もあって、ずっと高1の進学クラスでは『レベルアップ英文法』を教材として使ってきたのですが、それも今年は絶版。代替案をあれこれ考えた中で、阿野幸一先生のテキストに変更しています。それとて、「問題演習」がメインではありませんから、

  • 適切に用いられた「英語」が目の前にある、というとき、自分に何が出来るのか?そこから何を学べるのか?

が問われていることには変わりはありません。「問題を解く」ことが英語の勉強だった生徒にとっては、大きな試練でしょうね。悩み所で悩み、迷い所では迷って下さい。
明日は、連休前の最後のコマ。今年度の使用教材の「トリセツ」です。

高2は、午後だけで二コマ。本来は、「リーディング」と「ライティング」なのですが、両方まとめて、いまだ「定義文」をやっています。「直読直解」のための基礎訓練として、「英文の繋がりと纏まり」を掴む基礎訓練として、時間を掛けて扱っています。
以前取り上げた、fruitの定義ですが、Random Houseから、1977年に出ている、子供向けの『百科事典』、

  • Charlie Brown’s Second Super Book of Questions and Answers about the earth and space … from plants to planets!

での説明には、このような文章が載っています。

What is a fruit?
We usually think of a fruit as a sweet and juicy food. But plant scientists think of fruits in another way. To them a fruit is the seed or seeds of any plant together with the fleshy parts around them. For example, string beans, eggplants, and tomatoes all have seeds inside them. So to a plant scientist they are fruits, although most of us would call them vegetables. Apples, oranges, cherries, and bananas are fruits both to us and to the plant scientists.

What do plant scientists mean by the word “vegetables”? They never use the word. They talk about roots, stems, and leaves---but not about vegetables.

「話題」と「主題」を掴むのに、この手のQ&As式の百科事典は格好の教材です。ただし、それができるのは、「定義」や「説明」で使われる英語の特徴がわかっているからでもあります。「英語は英語で」とバナーを掲げる類の授業では、よく、

  • 定義文を与えておき、その定義が当てはまる語を答えるために、英文を読んだり聞いたりする。

という Word Hunt;Word Search的な活動が行われていると思いますが、そこからもう一歩踏み込んで、辞書の「定義文」の特徴、事典の「説明文」の特徴を把握し、自分でも作ってみる、書いてみるというところまで扱っておきたいと思っています。そうですね、鹿児島のA先生が授業でやっているように。

先週の授業では、

  • crack

という語を取り上げ、学級文庫にある各種英英辞典の定義、用例を「ホワイトボード」に書き出しておくこと、という「宿題」を与えておきました。連休前半が明けて確認しましたが、2年生はまだまだ「学級文庫」が使いこなせていません。宝の持ち腐れですね。
例えば、crackという語を動詞として捉えた場合は、

  • 何がどうなることをcrackする、と言っているのか?
  • 何をどうすることをcrackする、と言っているのか?

という定義で使われている表現・語句に着目するのはもちろん、名詞として捉えた場合には、soundとか noiseについて言及するわけだから、

  • 何が、どのような時に発する音なのか?
  • 何が (何を) breakする時に発する音なのか?
  • a crack of something のsomethingにはどんな名詞が来るのか?
  • a crack of something breaking のsomethingにはどんな名詞が来て、それは日本語の「擬音語」だとどのような音に当たるか?

という「あなたは、その言葉を生きていますか?」が問われている課題なのです。
BBC Dictionaryでは

  • A crack is also a sharp sound like the sound of something suddenly breaking.

という定義に続いて、

  • He heard a crack of bones breaking.

という用例をあげています。生徒に、「ここで骨の折れる音は?」と訊ねると、

  • 「ボキッ!」

との答え。「では、こっちの音も『ボキッ!』って言ってる?」と、最も年少者用の英英辞典の用例、

  • a crack of thunder

を示して、「雷」の音との摺り合わせ。

  • あなたはこれまでの人生経験で、雷が『ボキッ!』と鳴るのを聞いたことがありますか?

と仕切り直し。
Chambers Universal Learners’では、動詞の crackに

  • to (cause to ) make a sudden sharp sound, like a nut splitting: My knees cracked when I knelt down.

という、「あるある」実例を載せてくれています。この用例を示す際に、♪グルグルグルグルグルコサミン♪ とCMソングを歌ってあげました。それでようやく、"a crack of fingers" が「指パッチン」ではないことに気づいたようです。
同じChambers 社の、Intermediate Students版では、動詞のcrackの項に、

  • if you crack an egg or a nut, you break it open

という定義を載せています。
日本語の世界で自分が生きてきた中で育まれた「実感」と、英語の実態・実像との摺り合わせが必要不可欠です。
私がAAO派に言いたいのは、こういうことなのですよ。
同じようなことは、今の3年生が、高1、高2の時の授業でやっていましたね。

http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20110706
http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20130226

その後、「道具・器具」を扱い、絵を描かせながら、

  • 素材、形状・形態、部品、用途

という大まかな「定義」の目安を確認。特に、2文に分けた、2文目の書き方に注目させました。
例えば、

  • A hand tool with a sharp blade that sticks out from the bottom. It is used for smoothing wood and making it flat. One used in America is all made of metal.
  • A steel tool having many tiny ridges on one or two sides. It is used to cut, smooth, or grind down a hard substance.

では、一方は、for +動名詞、もう一方は、to+原形を用いています。
次の定義文での、thatは関係副詞として用いられているので、その点を解説しました。

  • A wheel with a groove around it that a rope or chain can be pulled over. It is used to lift heavy weights.

本日最後は、”lever” の定義。当然、先日の「レバー・ファイル」のエピソードを披露しておきました。
来週の連休明けで「定義文」の総仕上げの予定です。

高3の「診断テスト」はいよいよ佳境。80番まで、問診票に記入してもらう段階が終わりました。

  • ここって、自分で気づいていないかも知れないけれど、痒くないですか?

というような観点というか知覚点も含まれています。
関係詞として扱われる、「名詞のないところに名詞のかたまりを作るwhat」に関しては、かなりしつこく扱っています。

61. 人の言うことなど気にしないで正しいと信じることをしなさい。
Don’t worry about what other people say, and do what you believe is right.
※ 38. の復習+応用。
※前半の「人の言うこと」、後半の「(自分が)正しいと信ずること」の対比・パラレリズムを意識すること。
関係代名詞 what の節構造に習熟すること。
(i) what is right         事実
(ii) what is thought to be right   評価
(iii) what seems to be right 印象
(iv) what you think is right 判断・信念
4例を比較すれば自明だろうが、最後の例での you think は受験英語で言われるような<挿入>では決してないので注意すること。

You should do what you believe is right instead of caring what other people think.
※「〜しないで」は直訳の利かない表現。意味をよく考える必要がある。
※ instead of は rather than と同様、二者択一に用いる。つまり一方を選び、一方は却下するわけであるから、選択肢は相反するものとなる。これに対してwithout を使った場合には、必ずしも相反するものである必要はなく、with の付帯状況と対比される内容、つまり with or without で考える選択肢だと考えればよい。
※上記の例で、もしwithout を用いると、「他人の言うことを聞いてなおかつ自分の思ったことをする」という選択肢が存在するという前提での表現となるが、これは現実には考えにくい内容。以下の例が英語として不適切なのと同様。
(X) You should do what you think is right with caring what other people think.

72. 私たちは生活必需品の多くを外国に依存していることに気づかずに暮らしている。
We live without noticing that we depend on foreign countries for many necessaries.
※< depend on A for B > 「Aに依存してBを求める」。具体的な動作・行動であればBは不定詞となる。
※「生活必需品」は necessaries of life または necessities of life [for living]

※もし、この決まった言い方が思いつかなければ、名詞のないところに名詞を作るwhat で節を工夫。
We live without realizing that we depend on other countries for much of what we need in our everyday lives.

※「〜の多く」は必ず克服すべき項目。「四角化ドリル」まで戻ってでも、基本とその活用を徹底すること。many/much-more-mostから丁寧に実例を整理。
many (限定のない) 複数名詞
much (限定のない) 不可算名詞
most (限定のない)複数名詞・不可算名詞
most of 限定のある複数名詞・不可算名詞

連休明けには、100題の問診も終わり、いよいよ『即戦力のつく英文ライティング』の導入予定。ワクワクしています。
ただ、教えるこちら側が、「まずここに目をつけられるようになって欲しいな」という項目を入れることに夢中になっていると、肝心の「触診」や「聴診」で、教わる側の「異変」、その「兆候」を見逃しかねませんから、注意が必要です。「聴診器」を使いこなす、ベテランのお医者さんのようになりたいものです。


本日のBGM: ラブ タンバリン (岡村靖幸)