”And go round and round and round”

実作はいつも通り。
自分に出来ることを粛々と。
と思ってはいても、学校全体の動きに合わせて、「短縮授業」。
進学クラス高1は、前時までに扱ったスクリプトのread and look upでウォーム・アップ。
音読を聴いていて音の崩れが気になる生徒がいたので、全員で練習のし直し。
ワイヤレススピーカーで辞書アプリの音声を次々と流して、リピートさせ、その後、

  • 今、自分でリピートした語を書き出して。

と指示して、確認。今日扱ったのは以下の17語。

  • learn, early, girl, shirt, turn, world, word, work, curtain, certain, person, purpose, service, burst, heard, nurse, urban

全て、同じ母音を含む語です。文字から音を導く際には、「フォニクス」で説くルールは有効ですが、その逆の、音から文字へと移行する際には、苦労がつきまといます。地道に地道に。
アプリでは (電子辞書でもできる) 「履歴」の機能を使えば、私のように「思いつき」で次から次に単語を選んでも、後でもっともらしく振り返る活動ができます。「ICTって凄いっ!」、なんて言う前に、もっと「計画的に」授業を組み立てるべし。教師の人力でやっている授業なら、この17語に共通する「母音」のみを取り出してモデルを示したり反復練習させたりができるのですから。
その後の僅かな残り時間で、英語教育先進県である、「福井県」の問題を一気に片づける。
地元だけでなく、全国各地で、この出題内容・形式のリスニング問題に解答が出来るだけでなく、この英語がきちんと聴ける中学3年生が増えるといいなあ…。って、夢想しているだけではダメなので、今、高1の3学期に精度を高めるべくやっているんですけどね。
高2の進学クラスの授業は、『表現ノート』の返却とダメ出し。
まずは、グロサリーで求められている、テーマ関連語彙を、

  • 語彙的連結
  • 文法的連結
  • 英語ならではの発想

という3つの観点からまとめて、

  • 自分が、そのネタで英語で話しをしたり、書く時に、その頁を見て「そうそう、これが言いたかったんだ」と、思い起こさせてくれるようなグロサリーとなっているか?

を問う。読解の意味調べで終わっては意味がないのです。それでは、縦の物を横にするどころか、辞書や資料にある「横のもの」を、自分のノートという、隣の「ヨコのもの」に移しただけなのですから。いつまで経っても「自分のもの」にはなりません。
サマリーもしかり。
自分で使いこなせそうもない英語を「横」→「ヨコ」移動ではダメ。物語文の要約のお手本は学級文庫に沢山あるはずです。だって、商業科の授業で示したクイズの元本 (First Book of Cultural Literacy)はこの教室の学級文庫にあるんだから。
一番強調したのは、

  • テストのための勉強から脱却しなさい。テスト依存、テスト中毒とでもいうような英語学習と決別すること。

「表現ノート」は、英語というもう一つの自分のことばを作るための活動ですから。
まあ、来年度の高3「ライティング」のコマは、

  • 日向清人 『即戦力がつく英文ライティング』 (DHC、2013年)

がテキストなので、英語で書く、という点では久々に充実した授業となりそうな予感・期待はあります。
今回の新刊は、日向先生からお声を掛けて頂いて、下書きの段階で原稿全てに目を通させていただきました。これまで私が高校生に「ライティング」を教えていて、生徒が共通して誤りやすい項目、なかなか指導が浸透せず悩みが尽きない項目に関して、適切な解説を加えるだけでなく、文と文の繋がり、そして文章としての纏まり、というライティングの生命線に関して、「痒いところを掻く」以前の、「ここが痒いはずなんですけど…」という部分に出来る限り光を当てて頂けるように、僅かではありますが協力させていただきました。
「アカデミックライティング」の優れた教材は日本にもありますが、一般人が目指す「ライティング」に関しては、これまでの市販教材にないエポックな教材だと思います。
ここ数年使っていた教材が、ことごとく絶版となる状況で、本当に英語の力がつく教材、いつも言っている、

  • より良い英語で、より良い教材

を手に入れるための、「自分にできること」、の一つです。

「呟き」の方で、「英作文」の教材を写真で連投していましたが、英語の学参マニアの人たちも、英文解釈・読解や英文法に関しては、その評価をメジャーからマイナーまで喧しく持論を展開しますが、こと「英作文」に関しては、「教材」そのものをあまりご存じない方が多いように思っています。これまでに、良い教材が世に出てきました、しかしながらそれらが適切に扱われることのないまま絶版になっています。これは「時代」のせいなどではなく、単に「教える者」と「教わる者」の意識の問題なのではないかと思っています。
こと「読み」「書き」においては native readersもnative writersも存在しません。学び教わることで身につけるものだと思います。
さらに「書くこと」特有の、悩みどころ迷いどころに関して、今風の英語教育理論はあまり役に立ちません。
定型とも言える基本例文はいつ身につくのか?あるテクストタイプに特有の文法事項はいつ身につくのか?生徒の作品を添削しても、次回以降同じ誤りをしないための効果は薄いとするなら、なぜ、研究者の方たちは日々発表する英語論文のチェックをわざわざ英語ネイティブにお願いしているのか?などなど。
昨年夏のELECでは、これまで日本で発行された「英作文教材」のいくつかを概観する資料を作り、実物も含めお見せしていました。著作権の件もありますので、二次配布には気をつけて頂くということで、以下の資料をダウンロードしてご覧下さい。ファイル容量の関係で、資料の前半のみを公開致します。

注意: pdfで約75MB程度の重さがありますので、スマートフォンやタブレットなどでのダウンロードにはくれぐれもお気をつけ下さい。
ELEC2012夏期研修会_松井資料1.pdf 直

本日のBGM: Circle Games (山本精一)