一週間の詩

久々の更新。丸々一週間空いたのも最近では一寸なかったかなと思いますが、本を読んでいました。

  • 石原吉郎 『望郷と海』 (みすず書房、2012年)

は、引き続き、少しずつ、少しずつ。
一気呵成に読めない本、というか、そうしてはいけない本というものがあると思うのです。

TGIFはFTIMでGHTGなどを。
動画が見つからなかったので、2009年のライブ音源で。

http://www.youtube.com/watch?v=-pOf2N_n4N0

かつて「各駅停車」という名のバンドというか、ユニットがあって、主観的な形容を許してもらえば、「良質の青春群像」を届けてくれていたのでした。リーダーというかボーカルは五十嵐祐輔さん。こういう感じの楽曲を「各駅停車」で聞きたかったんですよね、とないものねだり。その五十嵐さんも今は、家業の春日部張り子の張り子氏として活躍中とか。山田稔明さんの「呟き」で登場されていたと思う。

寒い体育館での終業式も終わり、2学期は終了。
あとは年末4日間の冬季課外講座を残すのみ。個別試験で「ライティング」が要求される人を除いて、高3のライティングの授業は基本的にもうないので、後は、このブログの過去ログを読み返して、重点をおさらいして下さい。
例えば、授業でも語法についてはその都度指摘して来ましたが、「同意表現」に関して、decide とmake a decisionの差異などを詳しく扱う時間があまり取れませんでした。こちらの過去ログのコメント欄をよく読めば、類例を整理するヒントが見つかると思います。

http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/comment?date=20050716#c

このブログは基本が「授業日誌としてのナラティブ」ですから、主として高1から高3まで、日々の授業で扱ってきた大事な事柄が、あちらこちらに見つかるはずです。私が読み返して、自分で授業をしていたからこそ後で読み返して気がつくことが多々あるのですから、授業を受けていたからこそ気がつくこともまた多いはずだと信じています。

先月の福岡県私学教育振興会主催の研修会のアンケートが届きました。
満足度というかお役立ち指数は、5段階で平均4.33でした。受講された皆さん、有り難うございます。

今週気になったこのブログの検索ワード。
いや、いつもの嫌がらせの検索じゃなくて、ホントに調べているんだと思います。

  • 「朱牟田夏雄」+「実力」。

嗚呼、時の流れよ。無知も、その後の行動次第では無恥ではなくなるものです。絶版の『翻訳の常識』は無理でも、『英文をいかに読むか』はまだ現役で流通していますから、まずは読んでみることではないでしょうか。読み通したら分かります。あ、でも「読み通せたら」かな?
この第二編は「演習」編となっています。
最初の作家はClarence Day。この過去ログでもこの作家を引いています (http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20120715 …) が 、「読む」演習のために、誰のどこを引いてくるかが力量の違いでしょう。脱帽です。そもそも、これを読んでいるから、私も自分のブログでDayを引いている訳です。
『英文をいかに読むか』の元になっているのは、50年代当時の週刊英字紙、Student Timesの連載なんですよ。あと、English Companionとか、『高校英語研究』とか。(1950年代終わり頃の、『高校英語研究』は、2年前のELEC協議会の夏の研修会で貸し出しをしてみたのだけれど、興味を示してくれたのは、私よりも経験豊富で目利き腕利きのM先生だけでした。)
当時の向学心溢れる高校生は、こういうのを読んでいたのですね。で、今は粗製濫造、玉は稀、石転がる時代。
先程の「演習」編。Dayの一節の解説がいいじゃないですか。

  • これは終の方の固有名詞だけ変えて、解釈問題としてでなくかつてかつて東大に出題された。ここではむろん解釈問題として 扱ってみよう。

というスタンスが、「設問になっていないところは本当に読めていますか?」と問いかけてくるかのようです。だからこそ私は今でも手元に置いているのです。
高校生や受験生の読解力が落ちたと嘆く英語教師は多いようですが、「設問を先に読み、該当箇所を素早く探して正誤判定」とか「段落の最初と最後を繋いで素 早く著者の主張を鷲掴み」などの粗雑な読みをやめさせて「ここ、ちゃんと読めましたか?」と膝突き合わせで一緒に読んであげて欲しいと思います。

新刊となった、松村昌紀『タスクを活用した英語授業のデザイン』 (大修館書店、2012年) 読了。
これまでの先行研究を手際よくまとめたコンパクトな一冊と言えるでしょうか。私が『学習英文法を見直したい』でも使っている『森の比喩』 (装丁の色とデザインもそのつもりで再読して頂ければ幸せます) と、ライティング実践で繰り返し主張している「言いたかったけれど、上手く言えなかった表現とどのように出会わせるのか、そして、その出会った表現はいつ、自分のものになるのか」ということに対して、何か突破口が得られるかな、とは思ったのですが、そこは無いものねだりでした。終盤の、引用というか例示の中で、ニコンなど日本のカメラメーカーとか、アップル社を引き合いに出しているところと、あとがきで内田樹の『街場の教育論』の引用が出てきたところとが、今ひとつきちんと繋がっていないように思えた。
若い先生方は是非、

Michael Swan. 2012. Thinking about Language Teaching: Selected Articles 1982-2011, Oxford

Thinking About Language Teaching: Selected Articles 1982-2011 (Oxford Applied Linguistics)

Thinking About Language Teaching: Selected Articles 1982-2011 (Oxford Applied Linguistics)

も併せて読んでみて下さい。英語教育の重鎮が、Pragmaticsや、CLT、そしてSLAなどの関連諸領域の発達・進化をどう見てきて、そして今、どのように振り返り、当時の彼自身の考えを再検討・再評価・自己批判しているか、面白いですよ。

金曜日からは、フィギュアスケート全日本選手権も開幕。
男子はSPで大きく貯金を蓄えて羽生選手が初優勝。高橋大輔選手が2位。SPので遅れを挽回して、などという形容が陳腐に思える、充ち満ちたものが迸り、弾けるほどのフリーの演技でした。そして表彰台の最後の壇には無良選手。世界選手権の代表も獲得です。
今回は某局の独占中継ですから、女子では、ジュニアの台頭、躍進にスポットライトを当て、「青田買い」「先物取引」ではないけれども、煽るような取り上げ方もチラホラ。昨年は庄司選手の事前インタビューで、中高の先輩でもある自局のアナウンサーを使っていませんでしたっけ?
FBでも書きましたが、個人的に、この日のハイライトは2つ。
一つは、長久保コーチの門下生、本郷理華選手。手足が長いのはプロポーションの良さですが、「のびやか」な使い方で、美しい「滑り」の期待できる選手です。
もう一つは、西野友毬選手のSPの曲目。

  • 黄金のワルツ

かつて太田由希奈選手が得意だった曲。涙が出そうでした。

日曜日は、友に会いに博多まで。
雪が心配でしたが、なんとかなりました。
もともとは、1月の鹿児島のガリレオの日程と、大津先生の中締め講義とが重なっていて、鹿児島に行けないので、その前に達人セミナーで発表する有嶋宏一先生と会って、積もる話しを、と思って動いたのですが、せっかくですから、午前のプログラムの道面和枝先生の講座から受講。
PPPとひとくくりにするのは簡単ですが、「意味」に焦点を当て、設定を少しずつ変えて、負荷を上げながら、繰り返し繰り返し「形式」に馴染ませる、という中学校段階の授業モデルとして秀逸な内容でした。「視写」を重視する、というのは国語教育から英語教育へと取り込まれていて、私のスタンスと近いものが感じられたので、お昼の席で、道面先生といろいろと情報交換。有り難うございました。

参加者の実数は少なかったのですが、割合では博多に限らず達セミ自体が初参加という方が多く、昼の部で同じ鍋をつつき、笑いに笑った一時を経て、午後は一層うちとけた空間となりました。
プレゼンや参加者とのインタラクションの英語の的確さは勿論ですが、歌有り、笑い有り、笑い有り、と有嶋先生らしさが、あちこちに溢れる発表でした。最後の活動では、

  • イカソーメン

を。有嶋先生も私を前にしてちょっとやりにくそうでしたが、私にしてもなんだか不思議な感じがしました。
「会いに行って良かった」と素直にそう思います。谷口先生とは、私がまだ東京にいた頃、FTCの打ち上げでご一緒して以来だから、本当に久しぶりにお会いしました。「(孫もいて) もう爺ですから」という口ぶりとは裏腹の、相変わらずのバイタリティー。
夜の部は、谷口・有嶋・松井にK社のSさんという男4人で駅中 (駅地下?) で。達セミ、ガリレオ、フォーラム、とそれぞれ、歴史や規模、立場は異なれども、英語教育で人の集まり、繋がりを作る場、発信する場を作る者としての「意気」のようなものを感じられたのは良かったです。
広島へと旅発つお二人を見送り、私は一人ホテルへ。
女子フリーの演技。
村上選手は会心の出来。表情は勿論、輪郭線が生き生きしていました。分かりやすい選手です。
反対に明らかに自分の演技に満足していなかったのは浅田選手。ルッツやフリップではなく、ループでのパンクでした。3+を間に合わせることも大事ですが、リズムとか流れも含めて、世界選手権までに、ジャンプの精度を磨くことが必要になってくるのでしょう。
女子最終グループに入っただけでなく、最終滑走となったのは、本郷理華選手。曲目はちょっとハンデかな、とも思いましたが、情感溢れる素晴らしい演技でした。世界ジュニアの代表には選ばれましたから、この演目もさらに磨いて自分のモノにして欲しいと願っています。私がフォローしているある方は、こんな「呟き」をしていました。頷きます。

一夜明けて、博多は雪交じりの天気。
天神にスケートリンクがあるということなので、覗きに行ったのですが、余りに小さく、しかも小さな子どもの手を引いてフェンス際をゆっくりと滑る (進む) 人が多かったので、危険を感じ、撤退してきました。ちょっと残念。洋服や靴などを物色して、撤収。
一軒、面白いなぁと思っていた店の場所を確認できたので良かったことにしましょう。何も買わずに、長々と話しだけして済みませんでした。(だって、店内で流れる音楽がポーグスだったりするから…。)
靴修理のお願いでまた「寄港」すると思いますので、買い物はその時にでも。

駅ビルでカステラと陣太鼓を買って新幹線で帰山。
のぞみだとあっという間。
明日からの課外講座は90分1コマですから、高い集中力で乗り切って下さい。
いえ、私は大丈夫ですから。

本日のBGM: Perfection As A Hipster (God Help The Girl featuring Neil Hannon)