”Of course, I’m one of them.”

進学クラス高3ライティングは「グラフの描写・説明」、「人物・事物の描写説明」。
基本はGTEC Writing Trainingのテキストで、そこに投げ込みで補足。
今週は、笹井常三先生の著作から学ぶ。

  • 『英文ライティングハンドブック』 (研究社、1989年)
  • 『英語のスタイルブック』 (研究社、1999年)

主に、数量表現、増減など比較・比例、割合とその変化または不変を扱いました。定着は今後の取り組み次第。
ある程度書けるようになると、今まで気にしていなかったことが気になるもの。そんなときに参照できる「ライティングのためのハンドブック」を持っているに越したことはないでしょう。個人的によく使っていたのは、

  • 小谷卓也 『エンジニアにも役立つ わかりやすい英文の書き方』 (日本能率協会マネジメントセンター、1992年)

でしたが、今では、こういう日本語を母語とする「たたき上げ」の達人・鉄人による書籍は流行らないのでしょうか、書店でも見かけることが少なくなりました。
それに取って代わっているのは、たとえば、

  • メディア総合研究所語学教育センター 『ネイティブが教える 英語表現辞典』 (メディア総合研究所、2004年)
  • メアリ・K・マスカキル 『NASAに学ぶ英語論文・レポートの書き方』 (片岡英樹 訳・解説、共立出版、2012年)

などの「翻訳輸入もの」のレファレンスで、それらの中間にあたるといえるのが、

  • Anthony T. Tu 『科学用語実用ハンドブック』 (化学同人、2008年)

のような「東アジア」出身で、英語を極めた人の手によるハンドブックと言えるでしょうか。

商業科2年は、いわゆる「接触節」を含む関係代名詞のおさらいのために、「文と文を作るものの識別」で、高1で使用したワークシートを両面印刷して配布。

進学クラス1年は、自学自習多読の導入。今日は、Book Reviewの用紙を配布し、学級文庫の書籍に「当たりを付ける」ことを要求。こういう、お膳立て無しに、「森」に入るのが一番苦手のようです。
進学クラス高2は、私が岐阜国体で長期戦線離脱しますので、いよいよ「表現ノート」の導入です。

  • 前任校 (公立、私立含む) の生徒の実際のノート数冊
  • 良くできた生徒のノートからコピーした「グロサリー」「サマリー」「コメント」のコピー

を見せて、完成したものから、プロセスを推測。
『朝日ウイークリー』などの「ネタ元」も教室へ。
「パラグラフ」に関して、「物語」と「説明」については、いわゆる “reading skills” を扱う際に一定の解説はしています。

ハンドアウトはこちら↓
reading skills 4_2.pdf 直
reading skills 4_3.pdf 直

このハンドアウトをただ読んでいるだけでは「へえー」で終わりでしょう。この背景または前提として、「学級文庫」の存在が大きな意味を持っています。話題だけでなく、テクストタイプや構成・展開などバラエティに富んだスタイルの英語表現を実際に手に取り目にすることが可能な環境だからこそ、「なるほど」の先へと進むことが可能になると思っています。
ということで、既にこのクラスは「読むこと」と「書くこと」が混在した、技能連関・技能統合の授業となっていたことに改めて気がつきます。「表現ノート」の作製で、自分の興味関心のあるテーマ、トピックに特化した「英語」を読み、内容を掘り下げ、語彙を精査し、要約し、コメントを書く、という一連の作業によって、「1mmのスエズ運河」の建設が進み、その工事の途中で様々な「気づき」が生まれるはずです。ただ、生徒には繰り返し説いていることですが、

  • 「気づき」は、必要条件であって、十分条件ではない。

ということ。実地での裏打ちがないと、自分のものにはなりません。empowermentという言葉に寄りかかるのはあまり好きではないのですが、

  • ああ、何か、こう、これが自分のことばとしての英語なんだ。

という「突き抜けた感じ」を、限られた話題で良いから、掴んで欲しいのです。

  • この話題でなら、英語が自分のことばとして使える。

という自分が「そのことばを生きる」とでもいう領域へ進む踏切台として、「表現ノート」が機能してくれることを願っています。


休み時間に準備室の同僚が、山下達郎のベスト盤とジャンク・フジヤマの新しいシングルについて愉しそうに語らっていました。達郎からジャンクまでの「系譜」を楽しめるのは良い音楽の趣味だと思いますし、そんな話が出来る職場に感謝したいと思います。

私自身の英文修業の新たな一冊は、

  • Paul Zollo. 2003. Songwriters On Songwriting, DaCapo

ミュージシャンの中でも、Songwriters にスポットを当てた「インタビュー」集。4訂版で入手です。
旧版までに収録されていたのは、

  • Pete Seger, Mose Allison, Bob Dylan, Paul Simon, Brian Wilson, Gerry Goffin, Carol King, Lamont Dozier, Jimmy Webb, P. F. Sloan, Donovan, Burt Bacharach/Hal David, Harry Nilsson, Randy Newman, Van Dyke Parks

などなど。これでまだ半分くらいですから、錚々たる顔ぶれです。
新規追加されたsongwritersで私が知っているのは、

  • Alanis Morissette, Lenny Kravitz, Steely Dan’s Donald Fagen and Walter Becker, Lou Reed, John Fogerty, John Hiatt, Roger McGuinn, Mark Knopfler

この本の1997年版は、邦訳が出ています。

  • ポール・ゾロ 『インスピレーション』 (訳 丸山京子、アミューズブックス、2001年)

こちらは、日本でも馴染みのある20名のみの抜粋でした。今回の4訂版の翻訳はたぶんないでしょうね。インタビューの前には、songwriterについての解説や、著者の思い入れなどが語られています。
  a “songwriter’s songwriter” のひとりを紹介する序文がこちら。

“When you hear a piece of music that you really like,” says Jules Shear, “it hits a place that nothing else ever hits. That’s the reason I got into music, to get back to that thing.” It’s the thing that makes the songs he writes so special, whether performed by him or the legion of singers who have recorded them. It’s the same thing that causes his fans to become fanatic about him. They’re never complaisant in their devotion for Jules: they record and collect rare performance tapes, compile archives of articles about him, gather and swap new recordings of his songs by other artists, and happily gush for hours, when allowed, about the glory of his greatness. (p. 581)

系譜の譜は楽譜の譜、漢字で書けば「言偏」が不可欠な要素なのです。

本日のBGM: Nothing is new (Jules Shear)