四捨五入、取捨選択、出処進退

現任校は三期制なので、今日は1学期の終業式。一つの節目です。
朝、珍しく職場に私宛の電話があり、何だろう?と思って出ると、「審査員」の依頼。
日程の確認をして、教頭に行事や会議の確認をして、承諾の旨、返事をさせてもらいました。
宜しくお願い致します。
英語科会で、来年度の教科書採択最終決定。
頭の痛い時間でした。
「英語表現」は開講せず、「学校設定科目」で対応するので、採択はなし。
もし「英語表現 I」で開講していたとすれば、

  • 『Polestar』 (数研出版)
  • 『Departure』 (大修館書店)

の2冊の内、どちらかを選んでいたと思います。10点満点で点数をつけるなら、前者は9点、後者は7点といった感じです。この2冊以外では、「英語表現 II」で、現行の「ライティング」における、『Planet Blue』のレベルを超えるどころか、届くことさえ難しいだろうと危惧されますから6点に満たないと言わざるを得ません。
『Polestar』は英語表現、という観点では満足。新課程の趣旨にもっとも正面から答えたものではないかと思います。ただ、かなり作り込まれたタスクなので、全てを授業でこなすには時間が足りないかな、という印象。Express Yourselfで与えられている、「1パラグラフ」の英文で、一文一文が、きちんと繋がっていて、パラグラフに纏まっています。これは、p. 57の語彙での受け継ぎで紡がれた『キャプテン翼』の説明、p. 87の「都会より田舎」での最終文の効き目、などなど、どの課を取り上げてもあてはまるので驚きです。「自己表現」を促す「話題」として与えられた英文いうことよりも、このクオリティの繋がって纏まった英語表現が1冊を通して示されていることにこそ、着目するべきでしょう。
『Departure』は、bottom-upの活動がちょっと文法シラバス寄りなのが、気になりました。ただ、まとまった英文を書けるようになる発達段階、テクストタイプのバラエティも考慮したタスクが50語から100語へと段階的に進んでいきますから、このあと、「英語表現 II」で本格的なライティング指導に繋がることを十分予感させてくれます。
みなさん、この科目の教科書をどのようにして決められたのでしょうか?こと、「英語表現」に関して言えば、「英語表現 II」のことまで考えて選んだ方が良いと思うのですけれど…。


進学クラス以外のコースは習熟度のバラツキが大きいので、選択も大変です。
「コミュニケーション英語 I」 の教科書は、実際に選んだら使いますから、帯と襷の間にくるようなものが欲しかったのですが、これが難儀しました。
上中下と大きく三レベルくらいに分類できた現行課程とはかなりの様変わり、というのが新課程の教科書の難易度の実感です。新課程では、とりわけ、英語を苦手とする生徒が履修することを想定した、やさしめ、よりもさらにやさしい、中学校の復習を十分行うことが建前の、「コミュニケーション英語基礎」という科目を、お上が気を使ってわざわざ作って下さったのですが、いざ、フタを開けてみたら、その科目の教科書を作って下さる奇特な出版社は一社という現実が待っていました。選びようがないじゃありませんか。結局、「コミ英 I」という科目の教科書の中に、「いや、これ簡単そうに見えるけれど、『コミ英基礎』じゃないですから、言ってみれば我が社のは『コミ英 0.5』」、「いえいえ、ウチのはそれで言うなら、『コミ英 0.7』ですよ」、というようなものが同居することになった印象を受けました。確かに、「四捨五入」すれば「1」ですからね。
合議の上、3課程で2種類の教科書を採択。

私は進学クラスの候補を選び、会議に諮る責任者でした。
こちらはどちらかといえば、「帯」で絞ればいいので、まだ楽だと思っていたのですが、実際、悩みに悩みました。
今回、全ての教科書の全ての本文を読めた訳ではないのですが、かなり気合いを入れて読んでみて、中堅レベルと目される教科書に、可能性を感じました。ただ、題材の選び方、レッスンの配置・配列には熟慮のほどが窺えるのに、英語表現そのものに難があるもの、また、オープニングのレッスンが凄く良い英語で書かれていて、期待して読み進めると、後半でのバラツキが気になるなどの理由で、結局最終候補からは外れることに。
恐らく進学校向けの教科書で、新課程を踏まえたタスクづくりで、確かに英語もきちんと書かれてはいるのだろうけれど、現行課程の『リーディング』の教科書として高2でやるなら、上手い作りで楽に進められるのになぁ、というものがあり、自分で候補にあげていながら躊躇していたのですが、

  • 新課程になっても、一学期は中学校の復習をみっちりやるので、どのみち、二学期にならないと検定教科書に入らないのだから…。

ということで、清水の舞台から飛び降りるくらいの決断で、この超ウルトラスーパー難しい教科書に決定。帯は帯でも、かなり長い帯になりました。TMが届くのは新年度でしょうから、これから8ヵ月かけて全文をやさしめの英語に書き換えて準備したいと思います。
本当に、新課程の進む先に豊かな実りはあるのでしょうか?
8月のELECではそんなことも話してみたいと思います。
本業の、国体中国ブロック予選の準備をしていたら、ストップウオッチの電池が切れていることに気づいて電池交換で商店街まで。ついでにといっては失礼ですが、Scotland Martに寄り道。オーナー夫妻と暫し歓談。SPICEのDOSA展の舞台裏、楽屋話もお聞きして楽しい一時。

  • 新しいフィールドに突き抜けた感じがしました。

と感想をお伝えして、夏物のウールのパンツとヘンリーネックのT-シャツを購入して帰宅。
夜になって、奈良からお酒が届く。今回は割れずに一安心。
夕飯は天麩羅蕎麦で軽めに。
晩酌は忘れずに。

本日の晩酌: 春鹿・青乃鬼斬・山廃純米・生原酒 (奈良県)
本日のBGM: Let’s go where the grass is greener (Blossom Dearie)