今を変える人

採点、そして成績処理の終わったご褒美も兼ねて昨日は夏河豚と日本酒三昧の宴。
東京から、長沼君主先生が来山するタイミングに合わせて一献傾けてきました。なんでも、県教委のプロジェクトで、県独自のCan-do statementsを製作することになったらしく、その講師として県の拠点校に招かれたのだとか。
現在、「5つの提言」にもあるように、文科省が音頭を取って、全国で「Can-do祭り」のような様相を呈しているところですが、Can-do先進事例で数々の実績を持つ長沼先生はいろんなところに呼ばれて大忙しの模様。ELEC同友会のライティング研究部会でも副部長を引き受けてもらっていますが、それ以前から、長沼先生はもちろん、私もまだ若かったころからの付き合いなので、先輩後輩関係なく、英語教育談義、日本酒談義と気の置けない呑みとなりました。いやー、旨かったです。魚も酒も。長沼先生有り難うございました。
11月3日の「山口県英語教育フォーラム」では、「Can-do」にとどまらない、刺激的な話しをしていただけると思います。乞うご期待。

良い酒で良い呑みだと本当に次の日も気分がいいもので、短縮授業にもめげず7時限目まで4コマをやりきりました。
高3のライティングは、picture storyの続きを書く課題と、結末に繋がるように書く課題のフィードバック。GWTでのフィードバックで使われていたものと同じ観点で指摘しています。大事なのは、そこから、自分の学びに繋げることが出来るか。今、「診断テスト」の100題に自信を持って解答できるか、『コーパス口頭英作文』の70パターンは自由自在か。教材それぞれで、自分の取り組む課題をさらに小分けにして「負荷を下げて」乗り切っているうちは本当の力がつきません。大事なのは「統合」ですから。
商業科2年は、提出物の返却と、レッスン最後の「テーマ関連語彙」の補充。

  • natural heritage sites
  • cultural heritage sites
  • environmental problems
  • protect wildlife
  • take conservation measures
  • remain intact
  • endangered species [animals / plants]

発音の難しい、”species” は最初の -e- は名前読み。-ci- は/s/ の音ではなくて、-sh- と同じ音。次の文字が、e, i, yの時は /s/ の音という原理原則からいったら変なんだけど、この語の場合は「『シュッシュポッポ』のシュ」の音なので覚えるしかない。私も自分で苦労して、「意味が『種』なのだからシュッシュポッポ!」と覚えました。

と何の英語史的、形態論的、音声学的根拠もない話し。
いくら語源から説明したところで、

  • special
  • specific

はやはり個別に覚えた方が早いと思うのですよ。

  • action
  • tension

などの-sh-の音を持つ語が守備範囲にたくさんあれば、少しはやりやすいかな、とも思いますが、

  • vicious

なんていう単語がスラスラ読み書きできるくらいなら苦労しない訳で、せいぜい、

  • ocean

くらいの基本語で、原理原則のストレッチをしておくことくらいでしょうか。

進学クラス高2は、要約の書き直しを再提出してもらって、新たなネーミングの辞書引き活動。

  • 『横のもの→縦のもの→自分のもの』

辞書を引いて、ホワイトボードに集めてみて、それを眺めることで、

  • 一緒に使われる語の共通点
  • 形の上での共通点
  • 場面・目的での共通点

などを考え、自分の中に取り込み、同じパターンで自分で新たな例文を作れるか、を目指します。
今日のターゲットは、persuadeとtalk。
表面は、

  • persuade +人+ to原形
  • persuade +人+ not to 原形
  • persuade +人+ into –ing
  • persuade +人+ out of +名詞

のそれぞれのパターンを取る例文を書き出すのだが、私からは、

persuadeはね、縦の比率がだいたい、上から6〜7対4〜3くらい、横の比率も左から6〜7対4〜3で線で区切っておいて。

と、綺麗に4等分はせず。
“talk” の方は、

  • talk+人+ into +名詞
  • talk+人+ out of +名詞
  • talk+人+ into –ing
  • talk+人+ out of –ing

の4パターンそれぞれの例文があるかどうかを調べてもらうことにしてスタート!
途中で私もテーブルの上に辞書を拡げて、

  • あれ、ここにこんなにわかりやすい格好の例文があるのに、まだ誰も書いていないなぁ…。
  • ん?ここって例文存在しないの?私が調べようかな?

などと茶々を入れながら終了。
P1000411.jpg 直
P1000412.jpg 直
全員でホワイトボードをぐるっと回って、それぞれの型で並びに並んだ例文、あまり並ばなかった例文を眺めてもらってから私のコメント。

理論上は、<to 原形>と <not to 原形>、<intoとout of>で意味が反対・逆なら、どちらも同じような頻度、重要度で使われるように思うかも知れないけれど、ことばは生き物だから、実際にはバラツキが出るもの。パターンによる分類は確かに便利だけれど、網羅的に覚えようなんて思っちゃダメ。まず「肝」を押さえることから。persuadeの場合まず押さえなきゃいけないのは?そう、<to原形>だね。「talkを使っても同じことが言えるんだから、要らないのでは?」と思うかも知れないけれど、ほら、この『政村本』の用例を見るとよくわかるね。「ペリー提督」が開港を説得、というような歴史的外交的な文脈ではやはりformalな語を選択するもの。talkではinformalな場面で活躍できるし、persuadeはformalな場面で活躍できる。それぞれが生きる場面、持ち場っていうのがちゃんとある。では、その逆の<not to原形>は辞書の用例でも手薄だったけど、それを使わなくても困らないのだろうか?「思いとどまらせる」っていう場面は出てこない?そんなことはない。 <talk+人+out of –ing>の用例が実際、こんなにあるから、こっちを使えば済むならそれでいいけれど…そう、formalな場面では?ことばを選ばないとね。こういう時に英語では “dissuade” っていう、まさにformalな場面を司る語が存在します。

といって、黒板に「型」を板書。
今日のまとめとして、

  • 語法に関してはこのようなパターンによる分類は確かに便利。『グラセン和英』の巻末にもあるくらい。けれども、パターン化して安心してはダメ。「意味」「形」そして「使い方」を「自分のもの」にするには、いつも言っているけれど、「例文を生き直す」ことから。

と説いて終了。
さあ、明日は「クラスマッチ」。でも、たぶん大雨。
授業の準備をしておきましょう。
帰宅途中の車内で聞いた曲が、中村一義の匂いがして、注耳。

  • うわぁ、センス良いな、この人。劣化コピーになってないよ。

と思ったら、10年ぶりのアルバムが今日発売とのこと。うん、進化してますよ。

帰宅後、録画してあった「公開討論会」を妻と見る。
告示前なので、選挙活動になってはいけないため、いろいろ制約がある中、一人でも多くの人に声とことばが届いたことを願っています。

最後は、夕べの宴の主役たちの写真を。




本日のBGM: ウソを暴け!(中村一義)