先輩同輩後輩

時間割に若干の変更。
高3ライティングでスタートして、4コマの1日。
ライティングは、同格のthat節。
ホワイトボードには、頑張って辞書を引き写したと思しき用例が並んでいるが、ところどころ写しまちがえていることが見ただけで分かってしまうので、コメント。

  • 用例を自分で生き直すことをしないで、ただ左から右へと「作業」で終わってはダメ。

苦言を呈してから、金子先生の練習問題。
『語法ノート』も抜粋。小沢準作先生から金子先生へと受け継がれたものは私の後の世代では、どこまで伝わっているのだろうか?そんなことを授業中に考えていた。

午前に繰り上がった進学クラス高1は、授業で求められる「頭の働かせ方」を徹底するために、商業科2年の生徒の書き込みがあるワークシートを「お手本」としてコピーして配布。本当に良くできる生徒で、いかに丁寧に、表面をなぞるだけでなく、自分で確認しながら書き込みをしているかを説明。「徹底」「精度を上げる」ということの意味を説いておきました。残り時間は「音読で、意味を音に乗せる」ためのあれやこれや。this wayやover thereが本当に読めているかを問うています。

昼食は食堂で、オムライスの大盛り。ケチャップにまみれてみました。

午後に移動した商業科2年は、語彙の導入と発音練習。

  • laugh

  • worry

が気になるね、やっぱり。前者の「北米音」は、

  • cat, map, mat

と同じ母音ということを指摘して、軸足づくりのヒント。英語ネイティブと全く同じ音を出すのは難しいですが、自分の出す音が英語として通用し、しかも、同じ音は同じ音として、意識すればきちんとコントロールできることを達成可能な目標としています。
仕込みのAでチェック欄が活用できるのなら、連語のBでも、自分で工夫しなさいと強調。本文の読み取り用のワークシートを配布し、記号付けを明日までの宿題に。自力で賄いきれないところがこの課での新出事項というなら、それはもうかなり英語が出来るようになっている生徒です。普通の生徒でも、悩み所、迷い所はあちこちにあるもの。自分でやるからそれが分かるんですけれどね。

最終の7限は進学クラス高2の「リーディング」。
約50分間の概論。配布しておいたブログ記事で扱われていた当時の授業で用いていたワークシートのコピーを配布し、実際にどのようなことが求められていたのかを説明。当時の生徒の書き込みがしてあるので、少しはイメージが持てたことでしょう。
「英語は英語で」というときに誤魔化してはいけないあれやこれやを伝えるために、『英語青年』での拙稿を配布。(過去ログ参照http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20110210)
最後の 14 〜 16 で提示している「授業で活用できる手法」がことごとく、これまでの授業や「学級文庫」を用いた多読指導で扱われてきたことに気づく瞬間でもあります。

さて、
先日、新課程の「英語表現」に対して、懐疑的な物言いをしたのですが、基本的なスタンスは変わっていません。「表現」を謳う以上、英語として適切であることは勿論、生徒が書くお手本となるような表現であることが求められるわけです。
次の英文を読んで下さい。

My mother is very afraid of earthquakes. She can feel the smallest tremor that nobody else seems to notice. We cannot help laughing at her when she panics. But she says that she cannot forget an earthquake which struck when she was a child. She was living by the sea and escaped the tidal wave which followed by rushing to a hilltop.
She dislikes going into crowded department stores or very tall buildings. It is true that her fear of earthquakes is abnormal, but once I read in a science report that a big one could occur at any moment. The first thing we should do is to prepare ourselves for it, and when it does occur, we should keep ourselves calm in order to prevent fires from starting. Just moving about in confusion is not only a waste of time but also dangerous.

これは、Lesson 18. Fear of Earthquakes という教科書の題材。ターゲットとなる文法事項は一読してお分かりかと思いますが、「動名詞」です。ただし、この教科書は「英語表現」のものではありません。

  • Enjoy English Writing (教育出版)

旧課程の「英語II C」の教科書です。この科目が高校で始まったのは、1982年。今から30年前です。著者代表の金子稔先生は、TMの「はしがき」よりも前に、「英作文指導についての試案」という一文を載せています。2010OC2MT079.jpg 直
その最終段落にはこうあります。

これは私の単なる「試案」にすぎません。固執するつもりもありません。もっとよい考え方、案がありましたらぜひご教示願いたいと存じます。皆様方のお知恵をお借りして日本の英語教育をもっと実りの多いものにしていきたいと念願しております。

新課程の「英語表現」という科目がどのようなものになるのか、現在見本本が出回っている来年度用の「I」だけではなく、再来年度から実施される「II」のスタートに合わせるべく検定を通過した教科書が届く、来年のこの時期を待って、初めてその全容が明らかになります。
金子先生のことばを借りれば「もっとよい考え方、案」として世に出てくるはずなのです。その「英語『表現』」が、「英語 IIC」の時代の「表現」を越えられているのか、より身近な、より豊かな表現となっているのか、吟味しなければならないことは本当に多いと思っています。

夕飯後、自治会の資料をホチキス留め。
バレーボールを見てから就寝。

本日の晩酌: 大七・生もと・純米生原酒・69%扁平精米 (福島県)
本日のBGM: The Blunderbuss (Brad Jones)