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寺沢拓敬さんのブログ「こにしき (言葉、日本社会、教育)」で取り上げられていたので、読んでみてビックリ。

  • 英語教師の英語力不足(山内康一)- BLOGOS(ブロゴス)

http://d.hatena.ne.jp/TerasawaT/20120307
山内氏の言葉を引く寺沢氏のブログから以下コピペ。

文部科学省から英語担当教員の英語力のデータをもらって驚きました。公立中学校の英語担当教員のうち、英検準一級あるいはTOEIC730点以上等一定の英語能力を有している人の割合が予想外に低いです。
…調査対象となっている公立中学の英語担当教員27,633人のうち、英語の外的試験を受けたことがある人が約75%しかいません。そのうちわずか36.8%の人しか一定の英語能力に達していません。
…いまの日本の中等教育(中学校と高校)の英語教育の重要課題は、英語教員の英語力不足だと思うようになりました。教員の質が低ければ、授業時間数を増やしても意味がありません。

この文科省が示したと言われる「結果」は、次の表のようなものです。
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それを受けてのさまざまな「外部試験」での助成や割引制度がこちら。
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6つあげられている内、4つだけ抜粋。

TOEIC公開テスト特別受験料

受験料 5565円 →  2000円  
ただし、お一人様1回まで。
専用のバウチャーコード発行。
個人が特定される形での外部へのデータ公開はないが、「受験結果を個人が特定されない形で調査研究資料及び統計資料として公表する場合がある」旨、了承の上受験との注意書きあり。

英検の助成制度

検定料 
1級 7500円→4000円  
準1級 6000円→3000円
2012年第1回〜2016年第3回検定までの5年間
専用のパスコードが発行される。個人が特定される形での外部へのデータ公開はないが、「受験結果を個人が特定されない形で調査研究資料及び統計資料として公表する場合がある」旨、了承の上受験との注意書きあり。

TOEFL iBTの割引制度

受験料 210米ドル→ 157.5米ドル
2012年4月1日から、上限500名のみの割引。500人に達した時点で、それ以降の割引はなし。
専用のバウチャーコード発行。
スコアは受験者データの分析・検証のためにのみ使用。個人が特定される形での公表はなし。「受験者の同意の下で、その受験結果を個人が特定されない形で調査研究資料及び統計資料として公表する場合がある」との注意書きあり。

ケンブリッジ大学ESOL英語検定の助成制度

ケンブリッジ英検
検定料 
CPE 23,950円→ 17,970円
CAE 20,950円→15,720円
FCE 18,950円→14,220円
以下省略

英語教授知識認定テスト (TKT)
検定料 各モジュールとも 8000円 → 6900円
本人・団体代表者が申し込んで、後日、教育委員会を通じて「助成制度識別コード」が送られてくるので、それから検定料の振り込み。

ということです。
「この制度を利用して受験した場合、結果のスコアの報告義務はあるのだろうか?」という疑問は、当該の英語教師も、一般市民も疑問に思うことでしょう。表向きは「個人が特定される形でのスコアや合否の公表はない」ことになっていますが、トレースできるように、専用コードを発行していることや、教育委員会を通じて申し込みが出来るようになっていることには留意しておくべきだと思います。
以前、英語教員の悉皆研修が行われたことがありました。その時に、東京都の「授業力向上課」が統括するこの研修の前後で外部試験を利用した「成果」検証をしていないことについて、過去ログで「批判的に」取り上げましたのでご参照あれ。(http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20060908)

私が、このような「英語教師の英語力が低い」という政財界からの指摘に対して思うことは一つ。

「それでは、英検1級とか、TOEICで高スコアを持っていたり、実際にビジネスの最前線で英語を使いこなしてきた方などの英語力の高い人材が『なんとしても中学校の先生になりたいっ!』と思えるような、社会的な基盤の整備、教育界の好感度アップの為の施策を実行します!」という政財界の「エライ人」がいないのです。

いつも叩くだけ。罰則規定を強化するだけ。これだけ、叩かれている教育の現場なのですから、そこに飛び込んでいこうという人材に対するリスペクトの欠片くらいは持っていて欲しいと思います。英語力アップは英語教師たるもの、常に心していますから。今回は、代議士の方が吠えていたので、こちらも吠え返してみました。ちなみに、「外部試験」で言うと、「英検は2級で、TOEICは965」という高校英語教師をひとり知っています。

さあ、この週末は、ELEC同友会のライティング部会の公開研究会。
資料を作っていていろいろと思い出すことがあった。15年以上やってきた割には、世の中の「ライティング」指導はあまり変わっていないなぁ、と思う。でも、教育とはそんなものなのだろうとも思う。

  • あれだけ練りに練った授業がなぜ上手くいかなかったのか?
  • これだけ多くの手間暇をかけて作成した教材がなぜ普及しなかったのか?
  • 他の教室、他の学校、他の国で行われ成果の出たシラバスやアプローチがなぜ機能しなかったのか?

罰則規定を増やしても何も解決しないのは自明ですね。
そうそう、今回の私が担当する「研究の振り返り」の部分は、モノクロのエフェクトなしの「パワポ」のプリントをお渡しします。シンポジウムの方では、「話し」がメインです。どんな化学反応が生まれるか、期待します。例によって、本で鞄が重いのが思いやられる…。

本日の晩酌: 巌・特別純米・本生・23BY・五百万石 60%精米 (群馬県)
本日のBGM: サンキュ. (Dreams Come True)