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今日も雨。
授業は2コマのみ。
進学クラスは、副詞節関連の総復習音読シリーズの後で、

  • では、この文そのものは、どういう文脈で用いられるのか?例えば、どういう文を受けて発せられるのか?疑問文を考えるとしたら、どんな疑問文になるか考えなさい。

と問うて、2文を取り出し考えてもらう。
こちらの目論見としては、今後「教師が発問するのではなく、生徒に問いを作らせる」というところへ向かう伏線でもあるのだが、そんなことは当然言わない。ただ、

  • こういう意識が、「その英文を自分で生き直す」「閉じたことばに命を吹き込む」ということに繋がる。

とは言っています。
こちらとしては通過しやすいと思って問いを立てたのだが、いきなり難儀したのが、

  • Boil the macaroni in salted water until it is tender.

という文。untilの従属節のまとまりは、例えば、”for about twelve minutes” などと置き換えられる「副詞節」であるという実感 (用語の理解ではなく) があれば、”How long …?” までは出てくるのだろうが、次に、用いる疑問文での操作、助動詞の選択は、

  • “…do I boil …” ではまずいのだろうなぁ…。

とは思うようだが、その疑問文の「意味」や「働き」、お互いのやりとりの目的が実感できないと難しいようだ。ここで、「レシピは一般的に、instructionのテクスト、ディスコースなのだから、質疑応答を設定するのは不自然」とか、「やりとりの多くはチャンクの受け渡しや、相手の出したチャンクを引き取って、こちらが補完するものなので、一人の話者が1文を完結させる、というタスクは不自然」という、もっともらしい理屈付けは考えない。これは、教室という不自然な言語交渉の場で行われる「授業」なのだから。

一方の商業科は、1レッスンの前半の7文の音読。
一人一文、七人一組。誰かが間違えたり、つっかえたり、聞こえなかったりしたら一人目まで戻ってやり直し。40人を超えるクラスサイズですが、意図的に2回やらせる生徒もいるので、相当に時間がかかります。2分間の個人練習の後、スタート。途中でダメだしの連続。他の生徒のミスでやり直しがでるとふてくされる生徒はよくいるけれど、自分のミスでやり直しになりふてくされる生徒もいる。当然どちらも喝。「7人一組」なのに、自分の番が回ってきた時のことを考えて、それまでに読んでいる文を聞いていないと、流れができず、リズムも揃わないので、音に意味が上手く乗らない。たとえ、その一組7人以外の30人以上の生徒たちが聞いていなくても、自分以外の6人は聞いている、という意識があれば、自分の読む声は行き場所を見つけるのだと思っています。
以前の勤務校だと、歌を取り扱った授業で、歌詞を一人一文ずつとか一行ずつ音読させていたけれど、肝は同じこと。問題があるとすれば、「そうまでして、音読する価値のある文なのか?」という点。そういう意味では、この教科書は落第点ですね。
残り時間10分のところで音読は終了。ワークシートの裏面の、フレーズ順送り訳を使って、日→英での復元をやって本日終了。

高英研の部会が勤務校で行われていたので、放課後に主任から状況を聞く。いろいろ問題は多い。全英連大会もライティングの分科会で良いのなら、私がやりますけど、「今風」にはならないですよ。指導助言者を大学の先生とする慣行も、そろそろ見直した方が良いように感じます。

このところ、英語教育関連での書籍ばかり紹介していたので、目の保養を。

  • 『フィギュアスケート 美のテクニック』 (新書館、2011年)

樋口豊氏の監修。モデルは太田由希奈さんです。
基本技術の解説を丁寧に行っていますので、普段、TV放映などでの「用語」に戸惑っている人も、少し実際の技術が分かってきて、ステップやジャンプを見る目が変わってくるのではないかと思います。
来る世界選手権に向け、是非!
出版社の特設サイトでは、ジャンプ6種類の動画も公開されていて、太田さんのスケーティングの一端を見ることができます。
http://www.shinshokan.co.jp/figure/binotechnique/
この競技を愛する者としては、この本にはDVDをつけて欲しかった。今からでも遅くないと思いますので宜しくお願いします。

表紙です。

世界一美しいと私が思うスパイラルの一瞬。

1コマ目、この股関節での捉えが美しい!
本日のBGM: You and clouds will still be beautiful (XTC)