Twist & Shout

週明けの授業からは、高1、高2のみの時間割。進学クラスの高3は個別指導や課外講座なので、私の場合は課題の添削のみですかね。どれだけ「道場通い」をしてくれるでしょうか。
進学クラス高1は、ifの3タイプを経て、時制・態の口慣らしエクササイズも見通しが立ったので、多読のレベルアップ、深みを求めて、いわゆる「分詞構文」へ。明示する枠組みと例文で参考にしたのは、『生きた英語の上達法』と『奇跡の英文法』です。Oliver Twistの音源付きサイドリーダーから一場面を抜粋して、どのように使われているか確認。この後、これまでに各自で読んできたサイドリーダーから、それぞれに該当する例文を拾い集める作業が待っています。
3学期もあと1月あまりですが、今年度のうちに導入する予定なのは、「前置詞・不変化詞」の私家版ハンドブック。改訂が間に合わなければ、旧版をそのまま配布し、今後の授業で加筆修正を加えていくつもり。
高2は、進学対策の意識が強まる時期なのだろうけれども、「英語」をしっかりと学ぶことがまず第一。
模試の解説を設問ごとに丁寧に行うのではなく、どんな「英語力」を身につけるのか、という問いかけ。このクラスは他学年以上に文法に対する苦手意識が強いように感じているのだが、

  • 「4択」の文法・語法・語彙問題ばかりやっていると、英語のセンスがどんどんなくなるよ。

と釘を刺しておいた。
今回の模試でどうにも許せなかった出題が、次の空所補充の4択。

My brother proposed that we ( ) ready to leave in an hour.
ァ are ィ be ゥ was ェ will be

激怒。吠えました。生徒諸君は何にも悪くないので、本当にごめんなさい。
いくらなんでも、that節内の主語が weなんだから、ゥ のwasは全くdistractできないでしょうに。
作問に当たる者は、「4択」という形式に無理やり合わせて錯乱肢を作り、英語としてあり得ない情報を学習者に見せることの害を認識して欲しいと思う。
この問題は、日本語で意味を示し、「日本文の意味になるように…」と英訳での空所補充完成問題として、選択肢をなくせばまだマシになるかな、とは思う。それよりも問題なのは、この手の「日本語を介在させない」語法問題の方が英語力を反映するというような考え方。
坂本龍馬の西郷隆盛評ではないが、テストというものは、きちんと問いさえしてくれれば、英語力のある者はきちんと答えるものなのです。問いが未熟だから、芳しい答えを引き出せないのだという自戒を常に持っていたいと思います。
振り出しに戻って、模試の問題。この英文は、いったい誰が誰に何の目的でどんな場面で口にしている、または書き出しているのでしょうか?

  • He proposed that the motion be rejected; I seconded. 彼がその動議を否決せよと主張し、ぼくは (その動議に) 賛成した。

この記述は、『学習英語辞典』 (令文社、1962年) の抜粋 (p. 860)。formとmeaningとuseが合致していると感じられる用例でしょう。この辞書では重要度のランクは5。この意味でproposeが用いられるのは全体の約5割ということになります。Cambridge English Lexiconでも7段階のランクづけのうち3ですから、重要度は高いという裏付けはできるのですが、実際には、that節ではなく、名詞を目的語にとる例が多数を占めると思われます。
that節をとる例を学習用の辞書から拾っておきましょう。

  • I propose that we accept their offer. (Webster’s Easy English Dictionary Beginner, p.395)
  • I propose that we delay our decision until we have more information. (Cambridge Learner’s Dictionary Semi-bilingual Version, p. 623)
  • I proposed that the culprits should be fined.
  • The scientists propose that boys and girls should be injected with vaccine before puberty. (以上、BBC English Dictionary, p. 921)

COCAでの実例を眺めてみると、Spokenコーパスでthat節をとる18例のうち、12例が完了相との共起、3例が受動態となっているのは興味深い。
では、この模試での出題でこの動詞の語法を問うねらいとは?
教材にしろ、テストにしろ、「作り手」としての知識や見識だけでなく、「使い手」に対する「思い」とか「願い」とかがないといけないような気がしています。

選考会議も無事終了。

帰宅後、原稿整理。その前に、まず頭を整理。40頁をまず半分に。さらに半分に。小半ですな。
夕飯はすき焼き。
大貫妙子さんがお目当てで録画しておいた『みんなのうた』を飛ばし飛ばしで見ながら。
アンジェラ・アキさんは何か痩せすぎではないかという印象。体調が悪くなければいいのだけれど。
三芳菊は芳香過ぎて、食中酒というのが難しいと実感。
食前か食後になるだろうな。
早めに就寝で、明け方に原稿書きの予定。

本日の晩酌: 三芳菊・純米吟醸・無濾過生直汲み・福井産五百万石・60%精米 (徳島県)
本日のBGM: 満足できるかな (遠藤賢司)