Time to stop waffling on that.

2012年、辰年.
今年も宜しくお願いします。
元日は天気に恵まれず、初日の出は拝めませんでした。
二日は、まだ真っ暗な4時過ぎに、地響きを産むくらいの物凄い雷。
世界の終わりかと思いました。娘も怖くなって私の寝室に逃げてきたくらい。
明るくなって来る頃に、外が雪だということが判明。
その後は、晴れたり曇ったり。
録画しておいた、『相棒』の元日スペシャルを見る。脚本は大田愛さん。
ベルギーから、ソフィアさんという女性がホームステイに来るので、その歓迎の準備でバタバタ。
数名のチームで山口入りし、日本人のコーディネータの段取りで、山間部にある廃校を使ってキャンプをしていたとのこと。雪が積もって車の往来が難しいということで、萩の成人式会場までお迎えに行くはずが、市街地まで先方が移動してくることに。
基本はフランス語とのことで、全くフランス語がダメな私も妻も不安でしたが、話してみたら英語でも大丈夫でした。語頭の /h/ 音が抜けるので、ちょっと戸惑うことがありましたが、それも個性ですかね。
娘はヨーロッパの人は初めてなので興味津々。人見知りしないのも、良いんだか、迷惑なんだか。
kajiwaraが新年の二日から営業していたので、ソフィアさんにも是非、と思い、期間限定の「かまくら」を。チョコ大国から来られる方にチョコ系のケーキは遠慮しておきました。
散歩がてら、近所の方々にご挨拶。
夕飯は、妻が料理する酒の肴からスタート。ソフィアさんも豚バラとネギを串に差し差し。これは焼き豚になるわけですね。
いよいよ解禁となった日本酒は、ソフィアさんも一緒に乾杯。
キャンプでの餅つきや、晴れ着での新年のお祝いの写真には、別の家庭でお世話になっているメンバーも写っており、それぞれのちょっとしたエピソードや、これからの予定などを楽しく歓談。
金銭的にも、時間的にも、地中海やアフリカでのバケーションが人気のあるベルギー人の彼女にとって、日本に来る、という選択肢そのものが珍しく、さらに、昨三月の地震と、原発の事故が大きな不安材料になっていたのは確かだったとのこと。そんな中、よくぞ、日本を選んでくれたと思います。有り難う。
欧州事情についても、庶民のレベルでいろいろと話しをしました。ドイツが原発の停止を宣言し、ベルギーでも世論は高まっているが、代替エネルギーの見通しが立たず、決定にはまだまだとのこと。その一方、日本では再稼働の動きがある、ということが信じられない、という彼女に、「日本には、54基の原発があり、さらには、日本政府は、トルコへの原発 (技術) の輸出も考えている」と言ったら、本当に驚いていました。
我が家にある祝島の写真などを見せ、自然との共生、維持可能 (sustainable) な暮らし方を選択するということに関して、妻の参加している活動などについても説明し、理解してもらいました。
最後は白菜と豚バラの鍋。塩麹だけで、充分な旨み。満足です。
明日は、妻とソフィアさんでパンとピザづくりだそうです。楽しみ。

正業関連では、本を読んでいました。
元日は、

  • 堀田龍一 『英語史で解きほぐす英語の誤解 納得して英語を学ぶために』 (中央大学出版会、2011年)

これは、以前よりブログで読み続けていた堀田氏の「英語史」の一般書。ブログからのスピンオフ、という感じでしょうか。ブログとの相互参照によって、理解が深まるので、本だけではなく、ブログも、ブログだけでなく、本と一緒に、というのがお薦めです。

今日は、待ちに待った、

  • ケリー・伊藤 『英語ロジカル・ライティング講座』 (研究社、2011年)

を受け取りました。
このブログをお読みいただいているohapuruさんから年末に知らせを受け、ネットで即注文していたのでした。ohapuruさんは、このブログのコメント欄が生きていた頃には幾度も鋭い指摘をしてくれ、コメント欄を凍結した今でも、耳の痛い内容も含む、忌憚のないご意見を下さる方ですので、「tmrowingさんがどう感じるのか聞きたい」という声に、私も誠実に答えようとしたものです。
ケリー・伊藤氏はこれまでにも、

  • 『使える英語へ 学校英語からの再出発』 (研究社、1995年)
  • 『書きたいことが書けるライティング術』 (研究社、1999年)

など、いわゆる学校英語・受験英語で「公式」とされている類の表現に対して批判をし、英語表現としての代案、発想や指導方法としての代案を示してきました。
が、今回は、もっと根底から、高校や予備校での「英作文」、「ライティング」指導を揺すぶるものです。英作文の素材となる「和文」、「日本語表現」は、そのほとんどが大学入試レベルの英作文で頻出のものから作られているようですが、とにかく、表現の「モト」となる、日本人的発想がバッサリ斬られまくりです。無惨と言ってもいいくらい。私も、このブログで「論理面」での不備、問題点を頻りに取り上げ、警鐘を鳴らしてきましたが、まだまだ大甘でした。
この本での、伊藤氏の批判にまずは英語教育界が耳を傾けることからスタートでしょう。
「指導の現場を預かる高校教師は、受け入れる部分は受け入れ、改善を図り、反論する部分は反論し」、などという綺麗事では済まないように感じています。出題する側の大学の英語教師が、まずこの本を読んでくれないことには、変化を期待したところで、何も始まらないでしょうから。
いま、大学受験を考えている高校生に勧めるか、と問われたら私も躊躇します。でも、もし私が今、高校生だったとしたら、間違いなく読んでいるであろう本です。そして、恐らく自分が当時したのと同じように、『大学入試問題正解』を眺めて、自分の努力が無駄にならない英語の出題をしてくれる大学を探して、志望校を絞っているでしょう。その余りの少なさに愕然としながら…。
今回は引用はしません。とにかく、「英作文」や「ライティング」に関わる英語教師は必読です。

本日の晩酌: 三千盛・純米大吟醸・にごり (岐阜県)
奥・スパークリング生・純米吟醸 (愛知県)

本日のBGM: Les Adventures de Tintin (BAND ORIGINALE DE LA SERIE ANIMEE, 1993)