「昨日より、もっと遠くへ行こうか」

高1、土曜日課外終了。今年、あと残された課外講座は、年末のみ。
来週は月、火まで授業ができるので、なんとか高校1年レベルの英語を感じ取ることができるでしょう。
まずは -ed/en形の識別で、前置修飾と後置修飾の名詞句の確認から。

  • an artist born in Australia
  • a violin made in Italy
  • a tool with a metal head and a wooden handle used for driving in nails
  • a machine used for taking photos, making films, or producing television pictures

この最後の例で、音読のリズムがもたつきました。特に、“producing television pictures” を適切なリズムで読めるまで相当に時間をかけて指導。
私の授業で定番の用例、

  • A watched pot never boils.

では、このwatchが-ingになったら、それこそ気味が悪くて落ち着いて沸騰するのを待っていられないでしょ?とコメント。

  • I usually have a boiled egg at breakfast.

では、生徒は先日、「食」についての講演を聞いたばかりなので、「単品ダイエット」の危険性を指摘。
続いて、生徒は普通、使役動詞と一緒に分類することを考えていない、likeの文型。

  • Would you like your egg half-boiled?

で、お決まりの知覚動詞と使役動詞。音読で強勢の位置を徹底。メインのとじカッコがつく動詞のところで、匂いを感じなさい、という指導です。

  • I heard my name called at the station.
  • Did you see the old man knocked down at a zebra crossing?
  • I will have my shoes mended.

この辺りまでは、順調ですが、-ed/en形の定着が問われるのが、

  • I must get my hair cut.
  • Where do you have your hair set?

活用で、見た目が同じ形のもので、-ed/en形、受け身のイメージがしっかり持てることを求めます。

  • Can you make yourself understood in English?
  • Could you keep the windows closed?

ここまでの用例をじっくり観察して、メインのとじカッコをつける動詞の「におい」が記憶できたら、

  • The door to that room was kept closed.

で、文そのものが受け身になっているために、環境としては、<-ed/en形+-ed/en形>と二つ並んで見えるものを。

単文から、少し踏み出して、

  • Keep your doors locked at all times when you are in the car.

となった時に、副詞節の主従関係が耳だけでわかるかどうか。英語の語順で意味の処理ができるよう何度も音読です。
否定のun-のついた-ed/en形で一捻りしたものも追加。

  • You should know better. You should leave that unsaid.
  • Don’t leave your baggage unattended.

この最後の例文は、“unattended” のところで、ちょっと「?」という顔をしていたので、「attendの受け身は、2学期早々 (過去ログ参照→http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20110908) に、ホワイトボードに用例収拾の旅に出ていたはず。eachとかeveryがよく分からない、というので、授業でやったね?」とノートを確認させて、

  • Each child must be attended by a parent.

を復習し、戻ってくる。
解説と観察と音読が済んだところで、類例・発展例の補充。ディクテーション。

  • How often do you have your hair cut?

では、その答え方を補足。Once a month. 程頻繁に床屋に行かないから、それよりも間隔が空くなぁという人が、Once a year. ってこともあまりないので、結局は期間・範囲を表すinを使わざるを得ないわけですが、

  • 「一月半」が上手く言えない時どうするか?

で、結構悩んでいました。キリの良い単位に膨らまして「3ヵ月に2回」とか、「45日に一回」とする逃げ道を与え、さらには、「前回、いつ行ったか。で、次回いつ行くつもりか」を言えれば、何もしないよりは答える誠意が伝わるね、そのためには絶対に、過去形と予定を表すbe going toは自由自在に使えないとダメでしょ?中学レベルの英語が身についているというのはそういうこと、という話しで、「-ed/en形の識別」の本題へ復帰。

  • Where can I get my photograph taken?
  • He got his driving license reissued.

では、-ed/enの語尾が良く聞こえないけれど、文法が分かっていたら大丈夫、と励ます。
そろそろまとめで、

  • We found the top of the mountain covered with a thin layer of snow.

で目的語にくる名詞句が長くなっても語順通りに処理できるように。ここでもやはりfindの肝を掴むことが大切。「身近な環境で『山』そのものを発見することはないね。」と念を押す。
最後は、後置修飾での名詞句のまとまりと目的格補語の-ed/enの識別。

  • We saw the trees covered with fresh snow lit up brightly.

このように基本のパターンを「経験する」ことがメインです。音読での「生き直し」以外、何の活動もありません。次の段階では、せいぜい定番の「対面リピート」が待っているくらいでしょう。が、このような例文を仕込んでおくことで、「あれっ?」と思った時に、仕切り直しができれば、第一段階は終了だと思っています。戻れる確かな足場づくり、とでも言えばいいでしょうか。
「運用力」はどうするのか?私も気にしてはいます。3学期の「オーラルコミュニケーション」では、「全国縦断リスニングテストの旅」の素材や、教科書からCambridge English Lexiconを基準として核となる語彙を取り上げ、実際の使用場面のスキットづくりに入ります。日向清人先生の『知られざる…』シリーズを参考にするつもりです。クラスには習熟度の突出した生徒や、帰国子女、留学経験者はいませんし、ALTや英語ネイティブの専任講師もいませんから、私の出番です。
休憩を挟んで、いよいよ「英語I」の教科書へ。
高1の2学期の終わりでBook Iの第1課です。とにかく、「語彙」と「音声」の徹底。「語順は意味順」と、「四角化」「とじカッコと番付表」の徹底しかやっていません。(2011特E1_L1#1.pdf 直)
セクションIではAで日→英での語の仕込み、Bでコロケーションの仕込みです。生徒には、「まず、日本語の言語環境を改善・充実させてくれ。そうしたら、自分にとって確かな言葉でフックがあるのだから、その日本語のフックに英語を引っかけていけ。」と言ってあります。音声指導は徹底しますが、オーラルイントロダクションもリスニングコンプリヘンションもありません。おまけに、英問英答も、サマリーも、リテリングもありません。端から見たら、この授業では何をやっているのだと思うでしょうね?
その仕込みを経て、セクションIIでは、自力で記号化です。
ひたすら私の範読を聴いて、名詞は四角化で視覚化、ワニの口、A of B でBのA、前置詞は名詞の前に置く言葉、動詞は時制が決まればとじかっこ、番付表の付き人との形合わせ、接続詞のつなぐもの、ペアや並列のナンバリング、足跡…。
そこが上手くいかない時は、前のセクションに戻って、語句の仕込みを再確認。自力作業が終われば、ワークシートの裏面を見て、セクションIIIの「フレーズ訳」を頼りに、自分の記号化が正しかったかを確認、修正。
そこが済んだら、記号や読み方のヒントのある、セクションIIで音読。Read & Look upへの橋渡しで、このワークシートを二つ折りして、セクションIIでヒント付きでフレーズごとに音読とRead & Look upした後、頁をめくると、そこにはセクションIVでまっさらな英文が、今度は、フレーズごとではなく、文単位で印刷されているので、そこを見て音読。それができたら文単位でRead & Look up。そこまでできるようになったら、「対面リピート」です。
ワークシートの最後は、「語彙の整理」と拡充と題して、「名詞」のみを取り上げて、英英辞典的定義を与えておき、本文中からその語を探すというもの。ここでは、名詞しかやりません。形容詞を英語で定義しても今ひとつ実感が持てないということも多分にありますが、「名詞句の限定表現に強くなること」、が英語の文法力で大きなウエイトを占めるというのが、このクラスの指導の根底にあります。
自分が担任をしていたクラスが3年前に通過した時は、この課は高1の1学期の中間試験の範囲でした。当時は、半年ほど指導して数名突出して伸びた生徒もいましたが、低空飛行を続けている生徒も多かったように思います。今年度は、その時よりも確実にクラス全体の英語力の底上げがされています。私個人は、模試の偏差値などでは測れない類の英語力の伸びを感じていますが、生徒や保護者はそういうわけにも行かないので、やはり英検とか模試とかで「可視化」することも望まれるのでしょうね。私の授業では、「設問に答える」ということをほとんどしていませんので、模試で点数が取れないのも無理はないかな、と思います。年が明けるとセンター試験や、英検、模擬試験などが続けてありますから、そんな「丸腰」状態でどのくらいできるのか、チャレンジしてみるのもいいのではないでしょうか。焦って先取りを急いだり、先取りを誇ったり、先取りできていることに安心したりして、自分の使うことばがことばとして機能していないのではダメです。今は、心配しなくても大丈夫。そのうち、必ず結果はついてきますから。

高2の生徒が、「保健室」「非常階段」シリーズの英英定義課題で質問に来たので、「ネイチャーガイド」でお付き合い。関係副詞と関係代名詞の目的格での「足跡」がまだ定着していない模様。どこまで戻って確認すればいいのか?その前の「お題」で自分で書いていて、できている部分が、別な課題で間違えているのは何故か?「お題」の与えられている順番をよく考えること、先に行って、「ああ、そうか!」と気づいて、少し戻って修正してみると、さらに「だから…」と、そのお題自体の突破口が見えるように作ってありますから。
週明けには、場所から一歩進んで、「結婚式」「お色直し」とか「お葬式」「お焼香」、「七五三」など冠婚葬祭系の言葉や、「紅葉狩り」などの定義に行きたいのだけれど、時間とのにらめっこだな。ああ、「にらめっこ」の定義でもいいかも。

過日、福山の山岡大基先生が、http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20111013のエントリーで書いた私の指導過程を読まれて、

「番付表」という「局地戦」(?)の学習を足がかりに、「英文法」あるいは「英語」という盤面全体でどのように陣地取りを進めるか、つまり、tmrowing先生が英語の指導全体に対して描かれている「シラバス」が少しだけ、垣間見えたような気がしました。

と言ってくれたのだが、私にも普段から鳥の目で全部見えているわけではありません。が、全体がどうなっているのか、ここからだと自陣がどうなっていくのが安全か、という見通しを常に描き「直し」ながらジャングルを進んでいるのだと思います。結局は、生徒とのやりとりの中で、次の一手からのオプションが見えてくるように思います。
体操の金メダリスト森末選手は、他の選手の演技を外から見て、その選手に「見えている」景色が自分にも「見える」と言っていました。現在の世界チャンピオンの、内村選手も似たようなことをインタビューで答えていたように思います。目指すのはその感覚・知覚ですかね。

帰宅途中で、SPICEにオーナーらしき背の高い男性の影が見えたので立ち寄る。
暫しオーナーと雑談。先日、Scotland Martでシャツを買った時の写真がブログにアップされていた (http://scotlandmart.jp/20111102/14908) のだが、その写真を見て、同世代の男性が、ホワイトデニムを購入されたのだとか。お役に立てて何より。こうしてみるとちょうど一月くらい前だったのだな。
妻に似合いそうな、ウールのニットものを物色していて、最初はmizuiroのロングカーディガンを手にとったのだが、色違いのカーディガンの間にある、ニットのストールに惹かれてそっちを購入。一見、パッチワークかな?と思ったら、全部機械編みだそうで、柄のアシンメトリーな感じとか、私の好みにもぴったりだったので。冬の縁側で日中本を読む時に膝掛けで使っても良い感じ。

  • 男性でこれに食いつく人ははじめて。

と妙なほめられ方でした。
Scotland Martとこのお店と、良い感じで個性が出てきているなぁ、と感じて帰ってきました。
遅めの夕飯は天麩羅蕎麦と烏賊の一夜干し。山廃で合わせて1合ほど。

「教授」の授業は予約録画で就寝。
明日は、期末考査作問天国です。

本日のBGM: 地図にない道 (綿内克幸 with 綿内組)