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金曜日は、進学クラスのみの授業。
高1、高3、高2、高1の4コマ。
高1は、名詞の前置修飾で用いられる –ing形の整理整頓。
いわゆる現在分詞が形容詞として用いられるものと、動名詞を形容詞として用いるものと。現在分詞では、自動詞の感覚と他動詞の感覚が大切だが、まだまだ経験不足。安井先生の受け売りで、a smoking person とan eating manも。徒に分類主義に走るのではなく、「あれ?」と思った時に仕切り直しができる余裕を持て、と説く。
その後、-ingを目的語にとる動詞句の例文で、形あわせとワニの口を確認し、口慣らし。左から右へと読み進めていって、この-ingがその前後の名詞と結びつくのか、それともワニの口なのか、を識別することはそろそろできてきたように思うが、どこまでが動名詞の固まりなのか、を掴むには、結局、その-ingに形あわせをした動詞の語法・語順、つまりは動詞の意味と機能とに習熟する必要がある。
ということで、不本意ではあったが、

  • 松本茂 『ネイティブの子どもなら誰でも知っている英単語』 (七寶出版、2002年)

を紹介。これは、TIME for kidsの記事を集めて音源と共に纏めたもの。基本的な動詞を自分で使いこなせているか、ということを自問自答しながら読むように助言。

高3のライティングは、依然としてargumentation。
市販教材で、成人年齢関連を扱っているものがあったので、その解答例を紹介。結論部分で、余計なものを引き合いに出して自滅する例として取り上げたのだが、この模範解答の英語を米人が書いているらしく、少々凹む。
高2のライティングは、後置修飾の仕上げで、関係詞の効き目。

  • カナダからの手紙 a letter from Canada
  • 大衆にも評論家にもウケの良いミュージシャン a musician popular with both the public and the critics
  • 恩師から贈られた万年筆 a fountain pen given by my mentor
  • ほ乳類に属する化石 fossils belonging to mammals
  • 月曜日までに終わらせる宿題 homework to finish by Monday
  • 困った時に頼れる友人 friends to turn to in times of trouble

などはみな関係代名詞を用いずとも表現できるもの。では、関係詞の効き目は?という展開。
今年度から、高2と高3でライティングの講座を持っているのだが、発達段階というものをよく考える。その前の高1段階でどのように仕込んでおくか、伏線を張っておくかと思案することも多い。
「学年マイナス2」位の目安で、自分がその教材の英語を使いこなせるか、つまり口からスラスラ出てきて、自分で書けるか、という「英作文眼」の話しをよくしている。
早晩、「技能統合」で、「ライティング」に特化した講座は指導要領から消えてしまうのだが、「書けていない」「英語になっていない」という時に、アイデアジェネレーション、テーマ関連の語彙指導、論理展開と段落構成、文としての正確さ、表現選択の適切さ、全体としてのひと揃い感・まとまり、など「ライティング」そのものの、ガイダンス、モデル提示、フィードバック、評価が適切に行える教師は、今現在でどのくらいいるのだろうか?では、「英語表現」などという曖昧模糊とした科目で高校時代「書くこと」を学んだ生徒は、英語のライティングというものをどこで身につけるのだろうか?そして、その中から、英語教師を志す者がいたとして、その彼らはどのようにライティング指導ができるようになっていくのか?

私自身が高校生から大学生のころ、1980年代前半でさえ、英語母語話者のライティングの習熟に関して、「北米では大学入学時に、college Englishとかfreshman courseなどの講座でアカデミックライティングを扱い、それまでのいい加減な英語を徹底的に直される」とよく聞かされたものです。母語として、中学・高校にあたる期間の学校教育を受けているにもかかわらず、そうなのであれば、日本の環境では、ほとんど不可能に思えてしまいます。
だからこそ、母語話者と同じやり方で4技能を扱っていては間に合わないのであり、母語話者の発達段階を模していてはダメなのだと思うのです。

たとえば、「名詞は四角化で視覚化」は、今では私の授業の入門期や再入門講座での定番だが、もともとは、まとまったライティングを指導する際に、いつまでダメ出しを続けても、指示語、代名詞の受け継ぎができない、一般名詞を使いこなせない、というジレンマから出てきたものでもある。
現在授業で使っているわけではないが、
日向清人先生の呟きで紹介されていた、Carter, Hughes & McCarthyの

  • Exploring Grammar in Context, Cambridge University Press

で、Unit 13 のit, this, thatのエクササイズを精査している。これは非常にいい。類書にはなかなか見られない、このコンセプトのエクササイズの日本の高校生版を作ろうと思っている。 この本は、上級を目指す英語学習者向けのものだが、話し言葉での名詞・代名詞のやりとりの絶対量が不足している日本の学習者は、早い段階で補強をしなければ使いこなせるところまで到達できないと感じている。
では、書き言葉の習熟は?
新しい指導要領は「コミュニケーション」というバナーを掲げるところには熱心だが、こんなところにも、見切り発車を多分に含んでいると言えるだろう。
anfieldroadさんが、近々、研究会で高校入試のライティングを取り上げるそうです。
首都圏近郊の方は是非。→ http://d.hatena.ne.jp/anfieldroad/20111115/p1

午後になって、古い友人が東京からはるばる学校に。今回は営業を兼ねての訪問だが、有り難いことです。フォーラムにも参加してくれるとのこと。深謝。

遙々と言えば、今夜は大阪でGlen Phillipsのライブがあるのであった。東さん大喜び&大童なんだろうなぁ。

さあ、明日は地元で「第4回 山口県英語教育フォーラム」です。東日本大震災復興支援のチャリティーも兼ねていますので、まだ決めかねている方も、雨足の弱まる午後からだけでも参加してみて下さい。
http://cho-shu-elt-2011.g.hatena.ne.jp/tmrowing/20110927 

本日のBGM: Writing Notes (Jen Trynin)