着地

正業中心の一週間。
普通科3年再入門講座は、「小結の助動詞」で、いわゆる「受け身」の基礎基本。byで動作主を示さないものを先に扱い、その後、主語にスポットライトを当て、情報を追加するという展開で用例を提示。コーパスからダイレクトに抽出した活き活きとした例文は時として導入には使いにくいもの。教室での指導経験知が生きる場面でもある。もっとも、これまでの指導が定着していなければ、新たな取り組みは実を結べないのだけれど。
商業科1年は、四角化ドリルの続き。普通科の2年生が1学期にやっていたことを、1年の2学期でやっていることになる。「修飾」という概念を広く捉えるには、一色マサ子『修飾 (上)・英語の語法 表現篇 第9巻』 (研究社、1968年) あたりまで一度遡って、地道にこれまでの日本の英語教室での指導を自前で辿り直す必要があるように感じている。名詞句の中の「中心となる名詞」という捉え方ができないと、代名詞に置き換える処理が頭の中で即座にできないまま、読みも聴き取りも消化不十分で答えだけを棒暗記する学習者を生み出してしまうので何とかしたいと思っている。
進学クラス3年の「ライティング」は中間考査の出題のうち、「年賀状」に関しては、『パラグラフライティング指導入門』 (大修館書店) の記述を示して、理解を徹底した。残りの、グラフを説明する問題では、比例や漸増の表現にミスが目立ったので、一部をとりあげて解説し、文法事項は使える知識として整理するよう指導。
高2の「ライティング」では、定義・説明の続き。

  • 保健室、保健所、階段、非常階段、廊下、渡り廊下、エスカレーター、エレベーター、動く歩道、出入り口、非常口

などなどを『グラセン和英』で調べて、その後、アイデアジェネレーションの手法を活用して、英語での定義へと進む。定義で関係代名詞にしろ関係副詞にしろ、選択するのは容易。でも、その後の「文」をどう書くかでほとんどの高校生は四苦八苦しているのが現状。テストに出る出ないではなく、英語ができるかできないかを気にして欲しいと思います。
高校での英語学習において、基礎語いをいかに充実させるか、という点では、『現代英語教育』 (研究社) の1997年6月号の記事「英語教師のための表現収集術」から、英英辞典の定義をどのように活用するかという部分を力説。筑波大の磐崎弘貞先生が説いていた一連の手法を使いこなせるようになることは、英語教師は勿論、一般の学習者にとっても有益。試験に隷属せずに学習を継続できるのであれば、それに越したことはない。
学級文庫の辞書類が今、シャトルランに備えて高1の教室に移動してしまっているので、準備室にある私の英英辞典類を数冊、高2の教室に運んで紹介し終了。マクミランの辞書は「比喩」の項目があるので、「英語発想」を吸収するためにも、高2もそろそろ覗いてみるのに良い頃ではないかと。
高1は、充実の週末。横綱の助動詞の過去形は心的態度を表すマーカーである、ということを、いろいろと。Swan & Walter の “The Good Grammar Book” (過去ログ参照→http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20060726; http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20061231) からいくつか重要事項を抜粋。やっぱり、このテキストは初学者・入門期用に良くできているな、と実感。オリジナルのハンドアウトを週末の課題に。
高1も、今週は磐崎先生の記事を紹介し、さらに飛田茂雄先生の『いま生きている英語―大辞典でも収めきれない情報』 (中公新書、1997年) から、「語彙をもっと豊かに」という部分を抜粋。年代を見てわかるように、これらは14年前からずっと教室での指導で使っているもの。『表現ノート』の指導を始めた頃と重なります。
サイドリーダーの「読みの課題 Book Review」も出てきたので、ここからが多読課題の面白いところ。さらに少人数クラスなので、同じ本を皆が読めば、そこからさらなる化学反応も可能。苦労を楽しんで下さい。
明日から、東京出張。
ELEC同友会英語教育学会の研究大会へ。
国体も終わり、選抜の中国ブロックにも進んでいないので、今年はライティング研究部会の分科会にいます。よろしくお願いします。
月曜日の朝一の便で帰ってきて、そのまま授業の予定です。

フィギュアのグランプリシリーズはカナダ大会。男子はパトリック・チャンと高橋大輔の直接対決。シーズン序盤とはいえプログラムをどの程度消化できているかが気になるところです。
女子は米国代表、長洲未来選手が登場。今年も振り付けはローリー・ニコルなのかしら?
個人的にはアメリカ大会に出場したロシアのマカロワ選手と比較して見たかったのだけれど、次回の中国大会での共演を楽しみにします。肝心のロシア大会にはマカロワ選手は出ないのだね、残念。皆、ファイナルまで残れるかなぁ…。

本日の晩酌: 久礼・純米吟醸・無濾過・槽口直汲 (高知県)
本日のBGM: Back on my feet again (Randy Newman)