♪言葉はゆれて in the wind♪

中間考査もあと1日。私の担当するコマだと1科目まで辿り着きました。
当然、6種類の作問は全て終え、あとは答案が出てくるのを待つのみ。一人一人の学習内容の定着はもっと待たないとダメだけど…。
今日は高1オーラルのライブリスニングでの読み上げも無事終了。今回はリハーサルも入念に行ったので、結構良い感じで声が出たと思います。
採点天国の前に、明日は1年生の行事である「萩往還Walk」が待ち受けています。私は2限の高2ライティングの試験監督を自分でやってから立哨地点まで車で移動の予定。暑くなるだろうなぁ。放課後に、前日打ち合わせを終え、選手を連れ急いで湖へ。今週初の本業です。
生憎の強風 (注意報?) でしたが、この湖で漕げなければ、日本全国もう漕げる水域はほとんどないくらいの良い水域なので、SR22とSR24のalternate。カタマランのベタ付けで容赦なく16km。前回の乗艇から4日休んだことになるので、技術の精度が振り出しに戻りました。中国連盟合宿の時の緩みのない加速レベルにまだ戻っていない感じ。強烈にダメ出しをして終了。

生業の英語教育関連では学習英文法が今シーズンの個人テーマなのですが、その「学習英文法」をテーマとした9月の「慶應シンポ」の陣容が正式に決まりました。私はコメンテータとしての参加です。

恒例になりました慶應義塾大学英語教育/言語教育シンポジウムですが、ことしは9月10日土曜日に慶應義塾大学日吉キャンパスで開催することになりました。テーマは学習英文法です。昨年のテーマは英文解釈でしたので、ごく自然な流れのテーマです。なぜいま学習英文法を議論しなくてはならないのかという根源的な問題意識の整理から始まって、これからの英語学習/教育にとって必要な学習英文法の姿の探求まで、理論的・実証的に考えたいと思います。
演者:
江利川春雄(和歌山大学)
大津由紀雄(慶應義塾大学)
斎藤兆史(東京大学)
田地野彰(京都大学)
鳥飼玖美子(立教大学)
山岡大基(広島大学附属福山中・高等学校)
討論者:
久保野雅史(神奈川大学)
松井孝志(山口県鴻城高等学校)
討論参加型司会者:
柳瀬陽介(広島大学)

私自身今から、楽しみで仕方がありません。
大津研ブログによれば、「例年とおりのことですが、終了予定時間は7時ごろを予定しています(開始時間は未定です)ので、参加希望者は十分に時間を空けておいてください。事前申込制であることも例年どおりですが、申し込みの手順などについては大津研究室のブログなどでお知らせいたします。」とのことですので、まずは、予定を空けておいて頂いて、申し込みなど詳しくは、大津研ブログ (http://oyukio.blogspot.com/2011/05/910.html) の情報をチェックして下さい。
さて、
このブログの検索ワードで「ディクトグロス」でやって来る人がたくさんいます。「英語授業工房」さんのブログから飛んでくる割合が多いでしょうか。
「聴き取り」「聴解」に関して、twitterで少しつぶやいたので、「聴解」の学習や指導に関して補足。
私のつぶやきに対して「聴解は総合力」などというコメントがありましたが、これは今風の考え方ですね。私が問題にしているのは、

  • では、そういったお膳立てをしてもらったのに、内容理解の設問に正答できない人は何を改善すればいいのか?

という部分。その、お膳立てしてもらっても悲しくなるくらい何もできない、というところからスタートしない限り、結局、聴き取りの力はそれ以上大きくはならないと考えています。
pre-listening活動とかスキーマの活性とかストラテジーの指導とか、一時期、日本の英語教育でも盛り上がりましたね。私自身、「オーラルコミュニケーション A」「オーラルコミュニケーションB」の時代に検定教科書を書いていましたし、全英連がまだテストを実施していた頃に、テスト部の委員をしていましたから、このような「お膳立て」満載のタスクもどきやテストも作ってきました。しかし、今思うと、遠回りだったな、と。例えば、「クラスを分割し、グループ毎に5W1Hを割り当てて、選択的に聴き取らせ、その情報を寄せ集めて全体像を再現する活動」とか、今なら絶対にやらないと思います。
「選択的リスニング」とか「断片情報の統合による統一主題の推測」というような、top-down (他に良い用語が見あたらないので、便宜上使います) の処理を教師側でお膳立てをしておいて、学習者はそのtop-downの処理だけすればいい設問に答えられたとしても、それって、cheatingしているだけでしょ?問題とすべきなのは、

  • 聴き取るべき情報を、教師や教材・テスト作成者ではなく学習者自身がいつ選択できるようになるのか?

という点での「聴き取り」の力の養成でしょう。bottom-upの処理を鍛えることで、どの程度、top-down処理にも対応できるか、ということを問うことこそが大切だと思います。言い古されたことですが、top-topの上滑り、bottom-bottomの地を這うだけ、ではダメなのは勿論です。
私自身は、「対面リピート」と「イカソーメン」そして、「ディクトグロスもどき」で、授業の中では処理と保持を徹底トレーニングすることで、どのように「総合力」が伸びているのかは外部テストで確認してもらう、といったスタンスですね。
批判ばかりしていても埒があきませんので、教材も紹介。このbottom-upのトレーニングとしての良質の教材には、

  • 長沼君主、河原清志 『L&R デュアル英語トレーニング』 (コスモピア、2004年)

があります。現任校では進学クラスの高3で副教材としています。こういう良質の教材こそ、初級編と上級編といった続刊が望まれます。

本日のBGM: あなただけ I love you (須藤薫)