the bonds that tie

ニュースから少し離れて、今日は朝から湖へ。
水面は鏡のような絶好のコンディション。全力を尽くすべし。
アップ4km、スタ練2kmに続いて、スタ付き750mレースペースを8発。
今日は昨日と違って、片道ずつ。ターンで約5分のレスト。
ラストの8発目の250mのラップでまあまあ許容範囲のスピードが出せたのでよしとしよう。
ダウンはスクエアで1km。今日は合計約16km。
揚艇後長めにジョグでクールダウンしてからストレッチ。O先生の指導を守って、ダウンをしっかり行うことで弾力のある筋肉のコンディションを維持。
選手を送り届け、昼過ぎに帰宅。

昨日の昼間に備忘録代わりにまとめていた、助動詞についてのメモを記しておく。気休めにもならないだろうが、何かしていないと落ち着かないのだ。

可能性 (possibility) を表す助動詞canの使用制限に関して。助動詞の用法に関しては、

今井邦彦 『英語の使い方』 (大修館書店)
3.3.2 may/mightとcan/could (pp.61-62)

がコンパクトにまとまっていて分かりやすい。一部を引く。

(56)
a. The area may be flooded after the typhoon. (台風の後なのでその地域はいま洪水になっているかもしれない)
b. The area can be flooded after a typhoon. (その地域は台風の後洪水に見舞われることがあり得る)
このような差があるため、現実的な可能性を述べる文にはcanは用い得ない。次の2例でaが不適切でbのように言わなければならないのはそのためである。
(57)
a. Will you answer the door? #It can be your mother.
b. Will you answer the door? It may be your mother.
(玄関に出てくれる? 君のお母さんかもしれないから)

(58)
a. *He can have been there on that night.
b. He may have been there on that night.
(その晩彼はあそこにいたかもしれない)
(中略)
過去形mightとcouldはそれぞれの現在形よりも弱い可能性を示すと言われるが、より正確には可能性を「より遠慮がちに」述べると言うべきであろう。つぎのa, bの差を和訳を通じて吟味してほしい。
(61)
a. You may be mistaken.
(間違っているんじゃありませんか?)
b. You might be mistaken.
(貴方が間違えているという可能性だって無きにしもあらずでしょう?)
このため、現実的可能性と一般的可能性の差は過去形からは消失し、(57b)、(58b) のmayはmight, couldのいずれによっても言い換えることができる。

ここで、今井が現実的可能性といっているのはepistemic な用法、一般的可能性といっているのがrootな用法と考えればよい。

この肯定平叙文でのcanの用法のより詳細な考察は、

  • 柏野健次 『意味論から見た語法』 (研究社出版、1993年)

での、「可能性を表すcanの意味論」 (pp. 193-208) に見られる。

従来、可能性を表すcanは「散発的」という意味を表す場合以外は、肯定平叙文では用いられないとされてきた。しかし、ときに、「散発的」でないcanが肯定平叙文でepistemic senseのmayとほぼ同じ意味で用いられるという事実があることをまず指摘した。そして先行研究を調べた上で、「散発的」なcanはroot senseを表すこと、「散発的」でなく、epistemic senseを表すcanは、肯定平叙文ではその容認性に差が見られることを確認した。 (中略)
最後に、canが肯定平叙文で、specific possibilityを表す場合、未来の可能性だけを表すことができるのはなぜかを解明しようとした。そして、そのために、可能性を表すcanの中核的意味を求め、それを「潜在能力」と規定した。「潜在能力」は、未来志向であるから、canは未来の可能性だけを表すことができるのであった。 (pp. 205-206)

可能性のmay/ might / couldに関しての補足。以前私が授業で使った資料から転載。

1. 話し手が「命題」の実現性に積極的に関わり合いを持ちたくないことを表すときに、mayまたはmightを選択する。この場合のmayは で言い換えられる可能性 (possibility) を表す。may / might は 常に “or not” と表裏一体の可能性を表している。
命題から話者が距離を取るけれど、主観的であるという点でcanとは異なる。
話しことばでは might > may 書き言葉では might < may という頻度の目安。

  • Take your umbrella---you might need it.
  • I’ve got a meeting this evening, so I might be a little late home tonight.
  • We operate what might be described as a gigantic tutorial system.

この「可能性」の意味のmay / mightの用法は、couldに限りなく似ているが、couldは蓋然性 (probability) に近い意味であり、と書き換えられると主張する学者もいる。couldは「可能性がゼロではない」ことを話者が示したいときに用いられるので、その否定は「可能性がゼロ」となり、“could or could not” とは言えないことから、否定の文脈でcouldをmightの代用で使うことはできないことに注意する。

  • The war could end within a month.
  • I couldn’t be any happier.

2. 話し手が発話に含まれる命題の実現性に対して、自分自身の確信を弱めているわけではない、という印象を聞き手に与えたいときに、may wellと副詞のwellを付加する。<疑似客観化>と言われるように、話者自身が命題との距離を取ることを止めるけれど、客観的な印象を与えたいときの表現形である。

  • What you say may well be true.
  • You could try the drugstore, but it may well be closed by now.
  • In fact, it may well be that by the time these children have their children, the majority of girls will be maturing at ten.

3. これに対して、might wellは話し手が命題の実現性に関して、may wellよりももっと自信を表明したいときに使われることがある。mightという過去形を選択することで、命題に話者自身がさらに近づいて、主観を色濃く出す表現形である。可能性というよりも蓋然性 (probability) を表すと考えられ、couldを用いた、could wellとほぼ同義とみなすことができる。

  • The overall result of this study might well be that the housewife has a smaller range of choice.
  • Ours could well be the last generation for which moviegoing has a sense of magic.

4. may as wellは「必ずしも満足してはいないが、他によりよい選択肢がないので、〜するより仕方がない」と言うときに用いられる。well を用いることで主観性を弱める。

  • You may as well know that I’m a strict instructor.
  • It’s too late to go to the movies so we may as well watch TV.

might as well はmay as wellと同じ意味を表すことが多いが、「話者自身としては確信のある助言であるが、必ずしもthe bestではないことを自覚した上で、控えめに提示する」ときに用いられる。

  • I’ll come with you if you like. I might as well.
  • I think we might as well buy this one. We’re not going to find anything cheaper.
  • Since nobody else wants the job, we might as well let him have it.
  • If there is no agreement we might as well all pack up and go home.
  • There is no train for an hour, so we might as well take the bus.
  • You might just as well leave now.
  • Might as well come straight to the point, then, eh?
  • Religion is like a school tie tied around a pair of white flannels---if it is tight, it is uncomfortable, and if it is loose, you might as well have none at all.
  • I’ve decided I really must learn how to read again, if I don’t, I might as well give the whole thing away, go and take a job down a sewer.
  • You might as well have no son, for all the comfort you are to meet.
  • For all the good there is in you, you might as well be the Devil.

2004年のスマトラ島沖地震などの際に授業用資料で作ったグロサリーをアップしておく。英語のニュースの読解・聴解や英語での情報発信など何かの役に立てて下されば幸いです。
Disaster_Glossary.pdf 直

本日のBGM: What holds the world together (American Music Club)