春の嵐

今日は始業式。新年度開始です。
朝から凄い風。
体育館で着任式に始まる一連のセレモニー。
大掃除を経て、明日の入学式の打ち合わせ。来年度の国体を控えて、2年間担任から離れることとなりましたので、今年は学年外。所属は特別進学コースの進路指導とのこと。入学式は受付業務です。
仮入学の時のように寒くないといいのだけれど、予報では遅霜だとか。覚悟。
今年度授業の持ち時間は18時間。昨年度は、この18コマに加えてLHRもあったので、それに比べれば見かけ上は負担軽減。年度を跨っての貸し借りはこの職場の慣行では無しの模様。
内訳は、進学クラスで週14時間。
高1の「オーラルコミュニケーションI」
高2の「英語II」と「ライティング」、
高3の「英語II」と「リーディング」
普通科の2年生のいわゆる「文法再入門講座G」も2クラス4時間持ちますので、担当科目は6種類です。教務手帳のページが足りないので、少人数クラスは、同じクラスの上下2段を別科目で使う苦肉の策。そのうち、教務手帳もiPhoneなどの機器にとって代わられる日が来るのでしょうか。
今年度初めて採択のいいずな書店の読解系テキストは解答がバラ納品対応でした。10部に満たない発注でも、しっかりと各ユニット毎にバラで納品してくれるのだと感心。感謝。
TM目当てで採択した「ライティング」が注文の手違いで届かず。あと10日くらいかかるそうです。がっくり…。
さて、
倫太郎さんのブログで触れられていた、第4文型、いわゆるSVOOの文型についてずっと考えていた。全く解決はしていないが、備忘録。
文型、という項目で何か調べるなら今一番詳しいのは、安藤貞雄先生の『英語の文型 文型がわかれば、英語がわかる』 (開拓社、2008年) でしょう。ということで、休み時間に繙いていたら、参照文献にCGEL。家に帰ってから、CGELを調べてみると、pp. 1215- 1220で詳しく扱われています。教科書の執筆者などもこれを典拠にしているのではないか、と推測されます。が、この文法書は1985年刊。安藤先生は、このaskの文型をSVOOとすることには疑義を挟んでいて、流石だと思います。
CGELがpp.1218-1219で「テスト」としてあげている6つの観点は、項目にムラがありすぎて、お世辞にも説得力のあるものには思えません。(安藤はそのうち、4つを「証拠」として採用しているようです。)
例えば、

  • We asked the students to attend a lecture.

このaskの意味で、that節をとる場合は、

  • We asked that the students attend a lecture.

のように、askの後に人を目的語にはとらないのが普通なのではないかと思います。
そう考えると、SVOOというよりは、SVOCととらえた方がいいのではないかという極めて素朴な私の疑問から、調べものスタートです。
1985年以降の信頼の置ける英和辞典での文型の扱いは?ということで、まず最初に引いたのが、

  • 『ロイヤル英和辞典』 (旺文社、1990年)

この辞書の文型の記述の仕方、扱い方は独特ではあったが、精緻なものでもあった。ここでは、askのこの文型は、IIIまたはIV、つまり、人+不定詞をとる場合には、第4文型とみなしている。用例は、次の二つを同じカテゴリーに分類している。(p.2082)

  • I taught him how to play golf.
  • I asked him to come early.

動詞 forceと同じV型、つまりSVOCの文型に分類されているのは、

  • I want you to leave.
  • I forced John to leave.

辞書のエントリー (p.82) の方で例文を拾ってみると、

  • What I asked him was to come early

の文型表示はとなっていて、どちらの目的語を主語にしても受け身の文が作れることを示している。これに対して、

  • He asked her to marry him.

では、とあり、不定詞句を主語にした受け身の文は不可であることを示している。
この『ロイヤル英和』の例文を見ると、CGELというよりは、Palmer のThe English Verb 第二版 (Longman, 1988年) に依拠していると思われる。Palmerでは、p.213で、

  • I asked to come early.
  • What I asked was to come early.
  • What did I ask?

という例を示している。この分類の妥当性を示すために、動詞forceでは、この疑似分裂文が不可であることを併せて示している。「forceがSVOCの文型をとるというのであれば、このaskは違うことになるでしょ?」というわけなのだろう。

  • I forced him to come early.
  • *What I forced him was to come early.
  • *What did I forced him?

しかし、気をつけなければならないのは、Palmer自身、この直後に、 “But this test is not a very useful one.”として、二つも理由を挙げて慎重な扱いを促していることである。askの例では、疑似分裂文としても、

  • What I asked to do was to come early.

の方が自然ではないかと示唆している。
少し古いものでは、CloseのA reference grammar for students of English (1975年) が、この不定詞構文をとる動詞をリストにしている (p.199) が、そこでは、

  • advise/ ask/ beg / command / expect / force/ persuade/ recommend/ request/ tell

が同じグループにまとめられている。後の改訂版に相当する、A teachers’ grammar (1992年) では、この不定詞構文は文型の項では取り上げられていない。
Greenbaum (1996年) のThe Oxford English Grammar は、補文の扱いが独特なので、ここでは考慮しなかった。
日本で出されている文法の解説書では、
綿貫陽 他 『教師のためのロイヤル英文法』 (旺文社、1994年) では、pp.136-137 でを集中的に扱っているが、文型への分類はしていない。ここで同じグループに分類されている動詞は、

  • ask/ beg/ command/ desire/ direct/ expect/ intend/ mean/ order/ recommend/ request/ require/ urge

古くて恐縮だが、宮部菊男 『現代英文法』 (南雲堂、1967年) では、pp.31-32で、「S-V-O-OC (-Adverbial Modifier) の型」として、

  • advise/ ask/ request/ expect

など不定詞構文をとる動詞の用例を示し同じグループにまとめている。

週末にまた時間を取って、調べてみようと思う。
本日はこの辺で。

本日のBGM: Don’t ask why (Neil Finn)