You don’t need any frills.

月曜日は、旧友の辞書編集者T氏が来山。
もう、知り合ってから20年以上の付き合いになろうか。当然、辞書を作る過程で苦労を共にしてきたわけだが、仕事を離れても、同郷で同窓ということで共通の知人も多く、話題に事欠かない。東京勤めの頃は、私の不惑の誕生パーティーにも出席して頂いた。
彼と一緒に呑む時は洋酒、ウイスキーやバーボンが多いのだが、今回、折角山口まで足を運んで頂いたので、地元の居酒屋で山口産の「虎河豚」をリーズナブルな値段で出してくれる店を予約した。この店、腕の良いご主人の自慢の料理が楽しめるだけではなく、なんとお酒の持ち込みも可なのである。とっておきの日本酒ということで私が用意したのは、

  • 勝駒・純米・絞りたて生・五百万石・50%精米 (富山県)

吟醸酒のような強い香りに訴えることなく、とことん旨さ・美味さで呑ませる酒なので、刺身にも、唐揚げにも、雑炊にも合うのが凄い。絞りたての生酒だったので、T氏も気に入ってくれました。とはいえ一升のほとんどを私が呑んでしまいましたが、最後、少し残ったので、店のご主人にも飲んでもらいました。T氏は刺身の器となる皿に興味津々でした。翌日は広島で仕事ということで、余り遅くならないうちにお開き。それでも4時間があっという間に経っていました。お土産にもなりませんが、拙稿の載った『朝日ウィークリー』を一部渡して、辞書の話し。絶版の書籍の話しから、河野先生の『絵で覚える英単語』の話しへ。最後の方では、「単行本化」の話しも浮上し、また会う日までの楽しみが増えました。本当に楽しい宴をありがとう。
そうそう、この店は、フォーラムの打ち上げなどでも利用したいと思います。ご主人、お世話になりました、これを機会に宜しくお願い致します。


ここで告知です。

間もなく40万アクセスになりそうですので、キリ番のアクセスの方1名に、『パラグラフ・ライティング指導入門』 (大修館書店) の重版の新刊 (発売時期は未定なのですが) をお送りします。初版第一刷の訂正箇所・修正箇所等をあらため、より一層読みやすく、使いやすくなったと思われます。乞うご期待!


今日は、午前中出校し、本業の国体強化指定校関連の書類の作成と提出。評価まで一通り終えて、今年度も一段落。
今秋開催を予定している「第3回山口県英語教育フォーラム」の日程と講師の大枠が決まったので、運営委員の先生方にメール。私自身も待ち遠しいほどの陣容です。連休明けくらいには正式告知ができると思います。
昼からは、遠い方の湖へ。新しいストロークコーチを試すべく、SR22からSR26まで1往復ずつレートを上げ艇速を上げる。SR26あたりで課題が浮き彫りになるので、1 by 1 と、前1/2ぶら下がり5本・1本フルを間に挟み、スタ練1本から3本、5本。5本+5本、5本+10本、5本+10本+10本でコンスタントスピードとリズムを掴むための練習。最後は、コースで直進の精度を上げ、スタート付き500mで仕上げ。揚艇までの時間が2時間弱。実際に動いている時間が、約90分。休んでいる時間が長い気もしますが、後半はほとんどスタ練の流れでのメニューであったことを考えれば許容範囲に入るか微妙なところ。ただ、ストロークコーチ自体は感度も良く、初期不良もなく、まずまずの練習ができたのではないでしょうか。陸の上ではストレッチをしながらバナナ2本を忘れずに。
明日は、私が寮の当番なので、乗艇はなし。終日エルゴ。午前中は2分オン (TR)・3分オフ (UT) x4セットで1ラウンド20分。10分休んで、4ラウンドの計2時間を予定しています。午後は、レースアップの後で、20分測定です。
選手を送って、帰宅。
天気が良かったので娘と散歩。今日は同じ年頃のお友達とも遭遇。妙にはしゃいでいました。

A書店で注文していた、

  • 『リーディングとライティングの理論と実践 英語を主体的に「読む」・「書く」』 (大修館書店、2010年)

が届く。これは、大学英語教育学会 (JACET) 監修の『英語教育学大系』の第10巻、第2回配本にあたるもの。編者は木村博是・木村友保・氏木道人。執筆者は編者も含めて18名。
このシリーズで一番興味のあるのは、この巻だったので、期待して読んだ。細かいことは、今後、折に触れて書いていきたいが、一点、気になることを。高校までの英語教育に関してあれこれ言及がある一方で、

  • この巻全体として「大学入試問題」について一節をも割いていない。

ということ。章や節どころか、索引に「大学入試」「センター試験」の一言さえもない。JACETが監修をし、日本の英語教育界をリードし、実際に大学で英語教育に携わっている執筆陣である。であれば、「大学」が「高校卒業者」に課すリーディングやライティングのテストとしての「大学入試問題」についての議論や総括があって当然、と思う私はよほど変なのだろうか?
入試や受験対策へ繰り返し言及しているのは、金岡正夫氏の「第16章 自己アイデンティティ構築に向けたライティング」。

  • 大学受験対策のようなテスト対策に向けた詰め込み、暗記、パターン学習という「自己のあり方」とかけ離れた授業と学習スタイルが今なお継承されている。試験の合否やテストの点数といった、結果と正解だけを追い求める英語学習活動。(中略) 語彙・文法・語法・構文理解や読解力などを試す入試に向けてあらかじめ用意され、限られた答えだけをより正確かつ効率的に暗記しようとする。それにより散発的かつ表層的知識だけを盲目的に詰め込んでいくという、なかば機械化した、非創造的で洞察力や感性に乏しい言語学習スタイルを構築してしまう弊害を孕んでいる。 (pp. 228-229)

これ以降も、受験対策は悪しきもの、脱すべきものという捉え方で言及されている。

  • いわゆる中学・高校での暗記や詰め込み中心の学習体験や受験テクニックを「本当の学習」と考え、それに類するテスト結果などを「真の学力」と捉えている学習者たちに、どのような揺さぶりかけることで「本質的かつ正統的な言語学習活動」と「本当に必要な自律的学習態度」を腑に落ちる形で考えてもらい、理解を促していくことができるのか。(p.231)
  • 滝澤 (2008) からの報告のように、英語学習の目的が大学受験のような一過性で刹那的なものにすりかえられないように、生徒の将来像を見据えた新たな授業作りが、一部の高校で始められている。 (p. 235)

金岡氏の指摘には頷くことも多い。しかし、ここで、日本の大学受験と北米の大学で入学選考として課されるエッセイライティングを引き合いに出すのは当を得ていないように思われる。なぜなら、北米のそれは外国語の学力試験ではないのだから。いってみれば、日本の「AO入試」での日本語による解答を求める小論文などとの比較でこそ意味があるものだろう。とはいえ、この章の目的からすると、ここで大学入試問題の内容を云々、というのもまた筋が違う。

大学入試に向けて一生懸命英語を勉強すると、好ましくない学習習慣が定着してしまう、という認識が大学の英語教育を担当する人たちに共有されるのであれば、JACETの精鋭メンバーがまず率先して、現行の大学入試問題の総点検、仕分け作業を行ってはいかがだろうか?自分の勤める大学の入試問題を、自分一人で変えるというのは大変だろうし、独善的になるという弊害も予想される。一人では難しいのであれば、「こういう出題は高校段階以前の英語指導や学習にとって好ましくないですよ」、というガイドラインを大学の英語教育に深く関わる学会が国内の大学に向けて発信することで、良い波及効果が生まれるのではないだろうか。
「大学英語教育学会監修」とか「英語教育学大系」というシリーズのタイトルに大いに説得力が増し、高校現場を預かる英語教師も得心する、一石二鳥の解決策のように思えるのである。
でも、「大学入試」そのものは、第13巻で『テスティングと評価』という超ウルトラスーパー大テーマの下で扱われるから、ここでは触れていないのでしょうかね。だとすれば私の懸念・危惧も杞憂に終わるのですが…。

ニコ動で世界選手権の海外での放送とその解説を見て、浅田選手のスパイラルとスピンの美しさをきちんと描写しているのが好もしく思えた。と同時に、日本のスポーツ中継の問題点をあらためて実感した。来年の世界選手権は日本開催。国体前のスケジュールがなかなか読めないところですが、見に行きたいものです。

本日のBGM: Between the tea and toast (Clare Bowditch & The Feeding Set)