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自分が好きな人が、自分のことを嫌いだということと折り合いをつけながら成長成熟はなされていく。
友人関係とか恋愛関係では割合、折り合いはつけやすい。なぜなら代わりがいるから。代わりがいない「肉親」の人間関係の難しさは文字通り「別格」。
代わりがいる中から練習 (経験といっても別にいいんだけど、その練習) を経て、いろんなタイプの人と友達になったり、なり損ねたり、いろんな人と恋愛をして、振り振られる中で、軸というか直線のどこかに自分の立ち位置を知るのだと思う。ここで私のいう軸とは、
・ 誰とも折り合いがつけられず友人も恋人もいない。
という一つの極を持ち、
・ このタイプの人とは上手くやれるけど、このタイプの人は絶対にダメ。
という点がグラデーションのように存在し、
・ どのタイプの人とでも上手くやれるので、友人も恋人も特にこだわりも審査基準もない。
というもう一つの極を持つものである。どちらの極も、文字通り「極端」であるのは自明。ただ、軸の長さが規定されていない以上、どのあたりが中庸なのか、平均なのかということさえ分からないので、そこが面白いのだと思う。
そんなことを考えながら、内田樹氏の「入試部長のひとり言」を読んでいた。
彼のブログほどには熱狂的信者がいるわけではないこちらの記事だが、所属大学のサイトで公開されている文章であるためか、書き方の「身なり」、「着こなし」がきちんとしている分、読んでいてストレスがない。
「学力」に関わる次のコラムは、多くの高校生の心に響いて欲しい。
http://kobe-college.jp/tatsuru/2009_07_000444.html

内田氏の本は好んで良く読み、他人にも勧めてきたが、面白いもので、私が大嫌いな人も、内田樹の言説をものすごく好んでいて、人に勧めていたりするのである。

  • 自分が嫌いな人が、自分の好きな人を好きだったりすることとどう折り合いをつけるか。

というのも、成熟の一つの目安となるのだろう。
Growing up is hard to do.

未明まで雨だったのだが、朝になって雪に変わった。
学年末試験は最終日。
地元では公立高校の入試が行われた。遅延など、大変な思いをした受験生もいたことだろう。
このブログにも、日中、県立高校の先生による職場からと思しきアクセスがあったのだが、公務員としての服務規程とか大丈夫なのだろうか、と他人事ながら心配になる。
気温も上がらず、低気圧のせいか左の肩胛骨周りに再び違和感。
明日はもっと降り積もるらしい。
成績処理もほぼ終わり、後は点票提出。
前期試験の結果もぼちぼち出てきた。
笑う者も泣く者も、それぞれの結果を受け止め、受け入れて欲しいと思う。

オークションで落札した、

  • 杉山忠一 編 『大学受験ファイナルコース 英作文 問題集』 (学研、1970年)

の問題と解答を読み進める。自分が受験生だった時代にはこの問題集を知らなかったのだが、『英文法の完全研究』 (学研) の著者だという意識をちゃんと持っていたならば、探し出してやっていたのに、と悔やまれる。解答の英語がきちんとしていることにまず驚いた。詳細な解説など皆無なので、当時の高校生には骨が折れただろう。多くの問題には2種類の英文が与えられており、自然な英文となっている。40年前の受験対策書でこのクオリティなのであるから、今の教材の粗製濫造ぶりは目に余るというものだ。
解答の英文のみを抜粋するので、もとの和文がどうだったのか、推測してみるのもまた一興。

  • That is no fault of yours. / That’s none of your faults.
  • The meaning of life consists in doing something new. / Life gains its significance through the achievement of something new.
  • Please don’t misunderstand me. I didn’t mean any such thing by that. / Don’t get me wrong, please. That’s not what I meant to say.
  • We usually take New Year’s cards to the post-office before Dec. 25, so that they may be delivered on New Year’s Day. / New Year’s cards are commonly posted by December 25th to be delivered on New Year’s Day.
  • Those present considered such inquiries (to be) of little use. / The attendants thought that it would get them nowhere to inquire into such things.
  • When he saw an old man walk in on his stick, he offered him his seat at once. / Noticing an old man come in leaning on a stick, he immediately stood up to give his seat.
  • It is quite [only] natural that many people should love mountaineering [mountain climbing]. / Lots of people love mountaineering, and no wonder.
  • You must not depend on the opinion of others, but learn for yourself and widen your field of vision so that you can think and act independently. / It is [the best way is] to free yourself from what other people say and act on your own judgment that is to be formed by instructing and improving yourself.
  • The parents, however, are only trying to make their children do what they judge from their own experience to be best for them. / But the parents are wanting their children to follow the course which they judge best in the light of their own experiences.

Soniaさんから回ってきた、現役ジャッジによるバンクーバー五輪回想インタビューを読む。パトリック・チャンを物凄く高く評価しているのが気になるが、その彼が今回の男子シングルでのベストパフォーマンスは高橋大輔と断言しているのがまた面白い。
http://figureskate.wordpress.com/2010/03/08/patrick-ibens-interview/

夕飯は、阿東牛の内臓肉で作ったモツ煮込みと小松菜のおひたし。良い牛はモツも旨いのだな。
夜は、某局で能登杜氏四天王の一人の生き様を見る。
晩酌で爽やかな酒を楽しんでいた今日の自分の選択をも問い質すかのように、米と向き合う彼の眼差しは厳しかった。
経験を緻密に数値で分析管理し、それをまた経験へと織りなす。人知を越えた領域へ足を踏み入れる。これだけの人でさえ、「わからない」といい、タンクにはやはり酒の神のお札を貼っているのだと、ちょっとだけ安心。

本日の晩酌: 獺祭・磨き3割9分・スパークリング (山口県) / 共働学舎新得農場・カマンベールタイプチーズ・笹雪 (北海道)

本日のBGM: Blindsight (Glen Phillips)