未熟さは、伸び代の証

春一番。
国公立大学前期試験。
卒業式の予行演習。
LHR。
大掃除。
6限と7限と2コマ続きで、高1のグループ発表。
読みの甘いところ、明らかに誤読しているところ、などなどを指摘。

  • All my life, I was ….

の "all" では、時間の幅のある名詞 "life" との共起であるからして、 “all morning” とか、”all winter” を連想すべきところ。

  • I was proud of getting ….

では、その前のパートで、”I am proud of you.” が出ているので、of のあとの動名詞句をとりあえず、ワニの口にしておいて、名詞の三分類にしたがって、「人」「もの」「こと」で、考えるという手順を経て、「get すること」の中身を探索するのがよいのでは。

  • The school is close enough to walk to.

では、closeという形容詞を修飾するのだから、副詞の働き。はワニの口にはならないので注意。

  • I’ll be there.

のthereという副詞を副詞句で表すには?と問い、the adult education classesの前に、atとか、in とか前置詞が必要だよね、という実感があるかどうか、揺すぶる。

  • go over my schoolwork

では、previewなのか、reviewなのかは文脈で判断するよりなし。
むしろ、意味としては「前後」にとらわれない、”look over” とか、examine / studyの方が無難かもよ。
このグループのサマリーは、内容を良く把握して『ぜったい音読』レベルの英語でまとめていて好感が持てた、と思いきや、ほとんど私のところに質問に来た時に、私が答えた英文じゃないか!

次のグループは、概ねよく調べていたと思うのだが、オープニングで案の定失敗。

  • I still remember my first day at school.

の ”at school” を「どどいつ」だと思ってはダメ。そうだとすれば、テーマ・焦点化で、前置しても、効果以外の「意味」には大きな変化はないはずだが、実際に、”At school, I still remember my first day.” となれば「学校では覚えているけど、家に帰ったら忘れるのか?!」と突っ込まれることとなるだろう。
話題は学校の中でのやりとりなので、IRFまで行かなくとも「言葉によるキャッチボール」のできる文型を把握しておくことが不可欠だと感じたかどうか。

  • divided the letters into small groups

での という文法的コロケーションを把握できているか。

  • After that, we moved on to the sound ….

のthatの具体化。on to といきなりひとかたまりで読むのではなしに、まずは「連続」の on プラス、「到着点」の→ to。という頭の働かせ方。

  • Show me some meaningful words.
  • I show Mr. Dawson a new word.

のキャッチボール文型の徹底。

  • in a day and a half

での「経過時間」の “in” と、”in a very short time” の伏線としての「一日半」。 ここを、quicklyとかfastとか soonという「副詞」で言い換えて読み進められているか。

  • Having Mr. Dawson here has changed….

という動名詞句の主語の理解。ここでのhave をwelcomeとパラフレーズしていたが、もっと身近で、”Today, we have a special guest to our class!” などという時の “have” をイメージしてほしいところ。

  • He’s inspired everyone,

での “’s” は is / was か has か主語・目的語などの繋がりで確認できる、というところはよかった。もう一歩踏み込んで、もし、 isだと思って読んでいたら、続きは “… inspired by everyone” とでもならないと文法的に可笑しいので、意味も正反対となる、というあたりまで頑張って欲しい。

  • especially the younger adults attending the class

の比較級はまったくスルーだったのが残念。

  • Many of them never succeeded in school.

で、時制が過去形になっているのに、とじかっこの説明がなくて、これまた残念。とすると、

  • These students get here early….

での現在形、

  • They often used to be late.

でのused toでの現在と対比される過去の行為・状態、という部分がくっきりと浮かび上がってこないまま終わってしまう。
カタカナ語で定着している「アルファベット」と異なり、

  • alphabet

ではアクセント (強勢) が第一音節にあるので注意して、という指摘や、

  • inspiration
  • success

などの、本文中の動詞から派生した名詞で、カタカナ語でも定着している語をしっかりと押さえていたところは、とても良かったと思う。

  • ask A to B (=原形)

を that 節で書き換える、というのは結構大変なので、『グラセン和英』の基本文型での確認を指示しておいた。
ここまでできるのだったら、サマリーでもう少し頑張れたはず。
最後のパートは、解説の後、果敢に、Read & look up の指示までしていました。

  • this chance to learn many new things

のto 原形は名詞を後ろから修飾する「形容詞」の働きだから、このto 原形自体は「ワニの口」にはならないので、要注意。

  • always

  • often

の対比はスルーでした。
一番残念だったのは、

  • I have sacks full of cards written mostly by schoolchildren. I save them.

での “them” を 「袋 (または鞄)」と読み、”sacks … Mr. Dawson has” と名詞化できていたのに、そこで安心したのか、

  • Some people like to read them when they come over.

での “them” もそのまま引っ張っていってしまったところ。「鑑定団」の先生方じゃないんだから、「袋」は読めませんよね、普通。

  • People probably knew it was my birthday because they read about me in the newspapers or saw me on TV.

は確認のしどころ満載。”read” が過去形なのは、基本時制の “knew” で分かる、発音注意。というのは良いでしょう。だめ押しで、orのペアを見て、”saw” でも分かりますよね。”because” の大きな論理展開が、ワニの口と、orの選択肢のペアで曖昧にならないように、 “they knew because they read or saw” という骨組みを取り出して押さえることが、チャンク読み、スラッシュ読みを活かす工夫です。
次の、

  • I read all the cards. Being able to read them is ….

の繋がりがあるにもかかわらず、”read” を過去形で読んでいたのも残念。ここは、英問英答でも投げかけて、“Why does Mr. Dawson keep sacks full of birthday cards and letters?” とでも揺すぶっておけば、現在形での答えが返ってこようというもの。

  • After all, I couldn’t do that on my other ninety-eight birthdays.

では、otherもbirthdaysの複数形も、よく分かっていなかった。これは英語力の問題だけではないだろう。発表後に、私の投げかけた問いは、

  • How many birthdays has Mr. Dawson had so far?

さらには、”birthday” の語義の落とし穴も。
Tips for your studyでの説明として、

  • drop by

の同意表現を列挙していたのだが、これはいろいろ調べることが面白くなってくると起こる危険な兆候。

  • drop in / drop around / stop by / stop around

を全て覚えるのか?覚えられるのか?まず、drop by を片づけることだろう。「同意表現などを列挙するパラフレーズよりも、もっとやさしいことばでの言い換え、もっと大雑把に言うとしたら、どんな語の仲間か、という自問自答の方がいいでしょう」と助言。ここでは、

  • come to see 人 / visit 人

と大きく捉えて、「どんな訪ね方」なのか、肉付け、色づけを図る、というのが適切でしょう。
概ね頑張って準備したことがわかる発表でした。
サマリーは今ひとつだったので、次回に私が補足の予定。
このレッスンは言語材料は高1の1学期のものでも、充分に読みが活性化できる、という格好のレッスンなのだ、ということ、そして、きちんと読むことによってしか読めるようにはならない、ということが少しは実感できたでしょうか。

そんなこんなで、授業は終了。
放課後は卒業式の打ち合わせの職員会議。その後、さらに学年会。
で、その後、ようやく成績証明書の印刷。
前期試験終了組にメールと電話で登校時間の連絡。
長い一日でした。

夕方から雨。
夜には暴風。
波乱の予感。
明日は、女子フィギュア、フリー。
試される時は、解き放たれる時でもある。

本日のBGM: Tryin' Times (Donny Hathaway)