天地

この週末は、シブケンが長崎で見ている大学チームを引き連れて、地元の大学との並べにやってきたので再会を果たす。
大学チームはインカレ前に2000mのレースペースを経験するというねらいだったのだが、生憎先日の豪雨でブイはほぼ壊滅。2000mをレース同様に取ると湖を斜めに航行し、迂回路のない片側通行になるので、付き艇と無し艇でモーターの配置を考えてクルーの組み合わせを決める。明らかに地元選手に有利な並べとなってしまったのは残念だが、私のチームの1Xも大学生に混じって初の2000mレースペース。まともにレースペースで漕げたのは1本だけで、後はへろへろになったが、良い経験をさせてもらった。電池切れの選手を自宅近くまで送り、夜からのシブケンによるレクチャーのために戻り道。トレーニングの原理原則に関する理解の徹底と実際の乗艇時のパワーカーブを見て艇の加速減速を考える。U選手の談話と、ノルウェーのオラフのコーチが示している、トレーニングカテゴリーの指標として用いるVO2 MaxとHRの%が興味深かった。
U選手の漕ぎを実際に近くで見たり、一緒に漕いだりすれば直ぐに分かることだろうが、支点の作り方は繊細でありながら、立ち上がりの出力はとてつもなく大きい。ネガティブワークを恐れて出力が低くなることは本末転倒ということ。また、UTがトレーニングになるためには確かに「時間」が鍵なのだが、「強度」という観点でも、自分で観察できる指標のHRを用いるなら、そのMaxに対して80%程度は必要なのだと言う認識は若い選手たちにとって重要だろうと思った。まったりと漕いでいてはUTにもならないのである。しっかりと漕いでいるか、普段の乗艇でUTの「トレーニング」が十分に積めているかどうかは、ファースト・ロウを見ればだいたい分かると言うことでもある。
日曜の午前モーションでも同様の並べに2本だけ合流。天候には恵まれ、安定した水面で微順の風。全セット終了時にカタマランの異変に気付く。いや、気付いて良かったという感じ。
シブケンと選手たちにお別れをし、午後からは湖をあとにして学校に戻り、スタビライゼーションとエルゴ。疲れてくると、腹で踏ん張ってぶら下がり続けられずに、肩が先に反応する「癖」が出てくる。まだまだ安定して高い出力を出し続けることが苦手。選手の苦手は、コーチの怠慢。苦手を放置していてはダメ。ダメなものはダメ。まあ、簡単に云えば練習不足ということなのですが…。
電話とメールで戸田にいる国体の成年選手と進捗状況を確認。クルー再編も悩みどころ。
インターハイに行っている理事長から県チームの戦況の報告を受ける。
こちらも週明けからは水域を移して、練習再開の予定。インターハイから帰ってきた先生方の話も聞きたいと思います。

職場に届いていた書籍を受け取り、自宅で読み始める。

  • 宮田幸一 『日本語文法の輪郭 ローマ字による新体系打ち立ての試み』 (くろしお出版)

riversonさんのブログで復刻を知り注文していたのだが、ようやく入手。
日本語をローマ字表記すると、我々が普段「語」と考えているものに関していろいろなことが見えてくる、ということは大学時代に言語学の杉田洋先生に教わって知っていたつもりでいたが、この『日本語文法の輪郭』はすでに戦前に書かれていたものがベースになっているということで、宮田の観察眼・分析力・体系化などなど驚きとともに、読み進めている。先行研究をしっかりと踏まえつつも、安易に他人の言説に乗っからずに、もう一度地に足をつけ、自前で一から考察し直し、それを世に問うということの意義をひしひしと感じる。と、同時に、その難しさも。オリジナルでありさえすればいい、というわけではないから。
『教壇の英文法』や『実践英語教育法』もこの夏に再読しておきたいと思う。

本日のBGM: 人 (HARCO)