aphasic

授業は特筆すべきことほとんどなし。
高1は対面リピートがちょっと易きに流れていたので、ジャパンライムからでいているkarishimaさんのDVDを生徒と一緒に見て、「対面リピート」と「イカソーメン」の学習。良い活動が広まっていくのは良いことだと思います。次回は、このイカソーメンをやるからねと柄にもなくお膳立て。
高2は、高3クラスから撤去してきた「学級文庫」移籍記念で解説。
語学のさまざまな領域に即して、一冊、また一冊と。こういう英語力のためにはこの手の本を、このシリーズはこのようなねらいで、と丸々50分のガイダンス。東大のリスニングやライティング、京大の和文英訳とて英語に限っていえば、この学級文庫で十分。もっともセンターで9割近く取れないと2次試験どころじゃないんだけどね。
高3は新たな課をサクッと終え、残りは『upgrade』の自習。復習をする人は少しはまともになるんじゃないでしょうか。
放課後は職員会議。本業は自主トレ。
一通り仕事が終わろうかというときに、野球部の監督に質問を受ける。「チャンス」と「ピンチ」について。
英語での語原 (語源) や由来、実際の使用例 (日本語と英語) などなど。語源辞書を引いたり、COCAで検索したりと良い勉強をさせてもらいました。
WBDでは、"pinch" の語義に、Figurativeとして

  • sharp discomfort or distress
  • a time of special need; emergency

をあげています。
ただ、単独で用いるよりはコロケーションで、”in a pinch” などという使われ方が多いようです。
COBUILDでは、

  • If you are in a pinch, you are in a difficult situation.

という定義であり、実際の運用を示しているということでしょう。
少し古いですが、同じコリンズでもCollins English Dictionary (1998) では、

  • a critical situation; predicament; emergency

と定義、パラフレーズです。
でも、

  • なぜ「ピンチヒッター」っていうのか?それは「チャンス」に登場する新たなバッターではないのか?

などという疑問から、さらにいろいろ調べたり、検索したり、考察したり。
灯台下暗し、OEDにはズバリこうありました。

  • a critical point in the game

これで一気にスコーンと抜けましたね。監督と二人で達成感というか高揚感というか、ある感触を確かに共有しました。私の口から思わず出たことば。

  • 辞書ってスゲーっ!!

帰宅後、吉沢典男先生の残してくれた『外来語の語源』 (角川書店、1979年) で「ピンチ」を引く。

  • 促迫、困難 (明治6年)、困苦 (明治21年)、難渋 (明治25年)、緊縮(大正8年)、危機 (昭和5年)、[野球]守備軍の危機(昭和5年)、焦眉の時機、危急の秋、まさかの時 (昭和6年)、苦境 (昭和6年)、危急(昭和6年)、非常の場合(昭和6年)、不振 (昭和11年)

訳語も苦労の跡が偲ばれますね。昭和5年にすでに野球用語として使われていたのには驚くともに、この辞書の価値を再確認した次第。師の志の高さ、尊さを痛感しました。
返却期限の迫ってきた書籍をパラパラと。6月ということで、

  • 小川芳男・前田健三 『英単語物語』 (有精堂)

の、guardian goddess のJuno関連を読んでいて、Echoの話しで暫し黙考。ついには、声だけになってしまったnymphに思いを馳せる。自己陶酔していては、この美しい娘の声も耳に届かないことになる。自戒。

本日のBGM: Echoes (Jules Shear)