今更…。

出張に合わせて時間割変更して7限を繰り上げ、玉突きというよりは達磨落としのような配置となった。いつもだいたい7時半には学校についているのだが、それよりもさらに早く出校し、始業前に本業の強化指定校の書類提出を済ませる。一安心。
で、気持ちを切り替えて1限の準備に当てる。が、全てが無駄。JOJO。情状酌量どころか、記録を残す気にもならない。人の尊厳に関わることは怒った方がよい。かえすがえすも辞書や本たちが可哀想だ。赦してくれとは言わないけれど…。
高1の今週は、「高校入試リスニング」のスクリプトを使って対面リピートとFlip & Writeを丁寧に行っている。では、そのゴールは?何のために、その活動を丁寧に行うのか?周知徹底させて、実感を伴った活動を続けるには、高1の最初が勝負なのだ、と思って厳しく授業に臨んでいるのだが、彼ら彼女らも高3になるとウィルスに冒されていくのだろうか。現に、高2も高2になったとたんに学びは劣化しているからなぁ。信じたくないけど、これが今、ここの現実。
高1は例年より早く「助動詞の番付表」の導入。じっくりと導入に時間を掛けたところで、その後活用しない者にとっては宝の持ち腐れどころか「粗大ゴミ」にもならないので、出し惜しみせず、どんどん使っていくことを選択。その後、四角化で視覚化や、動詞の前でとじかっこ、ペアを探してナンバリングなどと合わせて、番付表の助動詞の位を確認。リスニングのスクリプトの詳解を終えたところで、

  • これが中学校の復習を「やる」ということです。

と「中学校の復習を徹底すること」の具体的な手順、頭の働かせ方、英語の残し方を一通り実感してもらった。「中学校の復習の徹底を1学期に終わらせます」というのは、このクラスで入学式のあとのHRにわざわざ出向いて、教材もガイダンスのハンドアウトも配布し、保護者もいる前で説明していたのだが、覚えているかと生徒の一人とやりとり。

  • 「あのときも同じこと言ってたんだけど、そのときは、まったくリアリティ無かったでしょ?」「はい。」「自分にとって、その学びが切実じゃなかったからですよ。」

で、さらに、

  • 「『こいつ、なんでいつもいつもうるさくいうんだろう。しつこいなぁ。』って思ってたでしょ?」「はい。」

でも、こんなやりとりで安心しちゃダメ。今、実感としてわかったところから、本当に自分で歩き出せるか、覚悟が必要なのです。当然、ストレスはつきもの、不安は募るもの。ストレスはお客さんと同じ、いつでもいらっしゃい、とかお近くにお立ち寄りの際には顔を出してね、くらいのつもりで付き合っていけばいいのです。不安は背負ってもダメ。ジム・ボール、バランス・ボールのようにまたがっていくのです。不安なところにこそ、funはあるのですから。
2コマ連続だったので、雑談。
切実な努力とか、人の思いを受け継ぐということの例として、高校のバスケ部時代のG先輩の話をしておいた。K先生のことも思い出して涙が出そうになった。

高2は、

  1. 動名詞のみを目的語に取る動詞
  2. 不定詞のみを目的語に取る動詞
  3. 目的語が動名詞と不定詞では意味が変わる動詞

のリストを見て、複数の辞書を調べて該当する例文を逐一抜き出し、ノートに整理する宿題を踏まえて、本時は「対面リピート」。
自分のノートは自分で写してあるのだから、というわけで自分のノートを相手に持たせて、1文読み上げ。相手が1文聞いてからリピート。難しいところはチャンク (フレーズ) で分割しても良いのだが、その後、通して1文にexpandするところを妥協しすぎ。発音やアクセントのダメ出しもほとんどなし。総本山の生徒なのに、まだまだアマチュアですね。中には、明らかに写し間違いしている者、自分で写しておいて、その文を音読できない者もいて、聞いている私も黙して語らず。ノートにまとめられた例文も50-60文くらいにはなったのでしょうか。これだけあれば、軸足くらいは作れるでしょう。後は野となれ大和撫子。男子もいるけどね。
昼食を済ませて、成年チームのメンバーにメール。
午後は大学入試説明会。中国地区にある某国公立大 岡山大学。オープニングから余り良い印象は持てませんでした。司会担当者が、

  • 私も○○高校の卒業生です。よろしくお願いします。

という自己紹介。親しみをこめるのだったら、「山口県出身です」で十分でしょうが。どこまで肩書きを有り難がるんだか。一通り説明が終わって、質疑応答。
「AO入試で評定平均値を数値換算するか?その際に学校のレベル差を考慮するのか?」という質問に対して、

  • どの学部・学科ということは差し控えさせていただくが、合否を分けるボーダーでの評価で、全ての得点・数値が同じで誰か一人を合格させる、というような時に、評定平均値について学校間格差をつけて評価している。過去の本学の合格実績と毎日新聞社が出している「大学入試全記録」での大学合格実績で各高校のレベルを見ている。

との答え。強気だね。ちょっと首肯しかねる部分があったので質問してみた。私の質問は次のようなもの。

  • 大学の合格者数を高校の格付けに使うとしても、民間の一メディアが出しているデータをどの程度信憑性があると考えているのか?
  • 私立大学の指定校推薦とは異なり、毎年同じ学校の生徒をAOで受け入れているわけではないのだから、過去の合格実績で学校をランク付けされては、新設校や統廃合などで新しくなった学校・コースの生徒は著しく不利となるのではないか?
  • 高校のレベル差をいくらつけても、評定で5.0の生徒はそれ以上の成績がないわけであるから、その数値を学校のレベルで換算されてしまえば、成績の本当に優秀な生徒にとって不利となるのではないか?

これに対しての大学側の答えは、次の通り。

  • 確かに新設校や過去の合格実績のない高校の卒業生にとって不利となる要素はあるでしょう。しかし、受験生の評定平均値を一律に学校のレベル差をつけて換算しているのではなく、あくまでもボーダーでの合否判定に使うだけですから。

強気だね。もう国公立大学だからといって、受験生にとって公平な入試は行わなくていい時代になったのですね。一流大学としては、二流高校、三流高校からAO入試を利用して入ってこられては困る、というのが本音なのでしょう。まずは、前期・後期の一般入試でコンスタントに合格者を出しなさいという有り難いお言葉として受け止めて、雨の中、学校まで帰ってきました。
部員の練習は終わっていたので、体育館で一人エルゴのメンテナンスをして、帰宅。

  • 鶴見俊輔 『再読』 (ノア叢書、1989年)

再読。
再見。

本日のBGM: Over the border (音更)