A Triton among the minnows

英語教育関係ブログの、「永吾、今日行く?」を時折訪問させて頂いていますが、最近のエントリーで興味深い指摘があったので調べてみました。句動詞のbrush upは多くの英和辞典では

  • 単に腕を磨くということではなく、「鈍った腕」などを磨くという意味

と説明されているが、英語圏の辞書ではそのあたりがはっきりしないというもの。
COBUILDのPhrasal verbs (1989年) では、

  • If you brush up a subject you know but have not used for a while, you revise or improve your knowledge of it.

という定義を、
Oxford のPhrasal verbs (1993年) では、

  • revise or practise ( a skill) in order to be proficient in it once again

と、
Cambridge のPhrasal verbs (1997年) では、

  • to practise and improve your skills or your knowledge of something that you learned in the past but have partly forgotten

と定義しています。
親切な定義は英国系の辞書に多いような印象です。多田幸蔵著『英語動詞句活用辞典』 (大修館, 1982年) ではLDCEの初版 (1978年) の定義を引いています。

  • improve one’s knowledge (of something known but partly forgotten) by study

これは、もっとも簡潔で的を射た定義に思います。LD(O)CE最新版は学校にあり、今手元にありませんので、その版での正確な定義は未確認ですが、”partly forgotten” などという記述はなかったように思います。同じ出版社でも、Longman Active Study Dictionary (2004年) では、

  • practise and improve your skill or knowledge so that you are as good at it as you were in the past

とあり、「鈍り具合」をよく表しているのではないかと思います。
語義一つをとってみても、一つ一つ調べては確かめるという地味な作業が地に足のついた骨太の英語力の下地となるわけです。今回は、いい勉強の機会を与えてもらいました。深謝。
さて、
以前のエントリーで指摘していて、もういい加減にしてくれ、と思っていたのだが、なんと、こんなものが!→ http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090411-00000002-maiall-soci
自紙出版社の新刊をニュース扱いで配信するなど、TVのバラエティ番組での番宣レベル、いやそれ以下ですね。この連載も連載だったのですが、新たに書籍となった段階でも、個々のエントリーどころか、巻頭にも巻末にも一切参考文献や出典を示していないのですから、「トンデモ本」との違いが全くわかりません。「歴史的に間違っているのかもしれないが」と言い訳するくらいなら、複数の説を出典とともに示すのが良識だろうと思います。一部の例文を書き換える余裕があるならば、飛びつきやすいエピソードである、この "triumph" についての記述を全面的に書き直しておくべきだったろう、と苦言を呈しておきます。

本業では、午後から地元の大学の艇庫へ。
新歓イベントの試乗会とのことで凄い賑わいだった。足手纏いにならぬよう、大学のコーチと今シーズンの小艇の割り振りを確認。来週の新歓イベントのスケジュールを聞いて、練習時間帯の調整を計る。
G大端艇部のプロモーションDVD用のメッセージを録画してそそくさと帰宅。月末には完成とのことだが、さてさて、どんなものができあがりますか?
高2の「マイナス1多読」用に、書籍購入。
高3の生徒が一向に返却し終わらないので、

  • 『ぜったい音読・標準編』『ぜったい音読・続標準編』 (講談社)

を1冊ずつ購入。新品は高いな、やっぱり。

  • 『0からスタート再学習の英語・前編』 (茅ヶ崎方式英語会、 2008年)

語彙・構文を制限して高校入試程度の英文で書かれた、国内外の偉人・著名人を説明する文章を読んでいくもの。CD音源付き。教科書で扱われる人物もいるでしょうから、オーラル・イントロダクションに使うもよし、パラレルな英文素材としてテストの素材文とするもよし。作っている人たちに信頼が置けると言うことは幸せ。

  • 『英語長文レベル別問題集・2・基礎編』 (東進ブックス、2007年)
  • 『英語長文ハイパートレーニング・レベル1・超基礎編』 (桐原書店、2008年)

ともに、安河内哲也氏の関わったもの。高校入試レベルの英文で音源のついたもの、というとこのくらいしかないのが悩ましいところ。設問とか、解説はどうでもいいので、白文のリスニング、音読、シャドウイング、ディクテーションを繰り返して欲しい。

明日は、高2の0限から。
ちょっとだけ早起きですかね。
本日のBGM: The Winner’s Theme (Roger Nichols & The Small Circle of Friends)