「生徒の基礎語彙力をいかに伸ばすか」

この週末は大忙しなので、備忘録代わりに。
今日の表題は、投野由紀夫氏(東京外国語大学)の講演タイトル。
『エースクラウン英和』(三省堂)の発刊に合わせて、編者である投野先生を広島に招き、20数名のクローズドといった方がよい研究会。
講演内容は詳しくは書けませんが、パワポの投影で、

  • 英語語彙習得の最新動向

という柱での話しからスタート。流石、ドクター・コーパス。この辞書が、簡単すぎると思って通り過ぎてしまうような英語教師こそ、必見・必聴の講演です。
英語母語話者の使用する英語の実態と特徴を、BNCとCICのデータ分析から解説。BNC-Spokenのデータをもとに「100語で…」の放送でカバーするシラバスを組み立てた話しなど舞台裏も。コーパス資源の有効活用ということで、投野先生が分析に使っているコーパスも紹介。COCAはやはり強力な資源だと実感。私が教師に成り立ての頃、LOBとBROWNのデータをまとめた緑本二冊を読み込んでいたころとは天地の差だ。
キーワードは、

  • 基礎語彙というものを見直す「語彙学習観」
  • 「幹」=「質」=「使いこなし」
  • 「枝葉」=「量」=「意味だけ」
  • 意図的学習=出会いの演出

あたりになろうか。
その後、

  • 新刊『エースクラウン英和』の基本コンセプト
  • 特徴
  • 活用のための10のヒント

とテンポ良く、熱気溢れる講演でした。
「活用のためのヒント」の中で、

  • 英語の先生で辞書が好きな方の中には、細かい語法を重箱の隅をつつくように解説する方がいるが、そういう「日本語による説明型授業」から一刻も早く脱却すること。限られた時間しかないのだから、教師は授業の中で「日本語で説明した方が良いこと」、「型を覚えさせ・暗記させること」、「使いこなす練習をすること」とを明確に分けるべし。

という部分は多くの高校の英語教師の胸に響いたことと思う。最後のヒント2つ「自己表現には『和英』を使え」「自立させる課題を出す」で、なぜ自分自身の過去の実践でコロケーションによる語彙指導が上手くいき、現任校ではそれほど機能していないのかが判った気がした。灯台下暗し。
小休止を挟み、質疑応答。
最後に、収録語彙選定(剪定?)など企画の段階から携わった広島のN先生と、4 skillsを担当した執筆者の一人と言うことで私が若干のコメントを。
あっというまの2時間でした。終了後はサイン会の様相に。
これまでに編集会議で何度もご一緒させていただいてはいたのだが、今回は「投野実践」とでも呼べる、大学生へのレメディアルな指導内容なども具体的に聞かせてもらい、研究者、学者としてだけでなく、英語教師としての熱い魂のようなものを実感できたのが大収穫。良い仕事に関わらせてもらえた編集長のT氏に感謝。来週は北海道で講演とのこと。生で、直接話を聞けるとなれば、今井先生のアドレナリンが湧き出ること必至だろう。
それにしても、こんなすごい人に、日本にいながらにして日々教わることのできるG大生が羨ましい。

本日はこのあと大仕事なのでこれにて失礼します。
本日のBGM: How? (pupa)