Reality bites? OK, let’s bite back!

『プレジデント』10月13日号の特集が、「学歴と10大格差」
センセーショナルなものであることを強調したいコピーは、

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どうですか、これ。2ch.ではないのですよ。夜郎自大メディアには良識をほとんど期待できないとして、こんなメディアの情報の垂れ流しを放っておいて、高校教師や、小中の教師を批評・批判・非難・糾弾する時だけ持ち出される「教育」とは何なのか?
昨日から、とある神奈川県立高校入試での「合格基準」が取りざたされている。

  • 内部告発。校長は会見で謝罪。県教委はこの校長の事実上更迭人事を決定。ラジオやネット上、さらには県教委に対して、校長への同情論が集まる。

といったことだけが報じられている。
以下、印象批評。
みなさん、「公立高校入試」というだけで、選考方法がわかったつもりになっていませんか?東京には東京の、神奈川には神奈川の方式があり、地元の方以外にはなかなか仕組みがわからないものなのです。
今回の選抜で、「学力試験の得点」で合格基準に達していたのに、不合格とされた、という問題なのであれば、後期試験での選抜ということになります。では、その後期のうち、第1次選考なのか第2次選考なのかがよく分かりません。さらには、学校が「事前に示している選考基準」が何なのかも明らかにされていません。
まだ、新聞もテレビも、その程度の取材も済んでいないのでしょうか?さらには不合格になった生徒が、その後、他の高校へ進んだのか、それとも高校進学を断念したのかなどということを取材した形跡もありません。当時の願書受付時の教職員のコメントは伝聞だけで、証言としてきちんと載せているものも一切ない。今回は、合格基準に達していながら不合格となった生徒が22名いた、とだけ報じられていて、当時合格した生徒で、本来の試験の得点では不合格になっていたはずの生徒がいたかどうかもわかっていない。結局、リークから明らかになった事実のみをもとに、責任者をつるし上げただけで終わっているのではないですか?

  • 「公」に関わる試験・選考は須く「公正で平等」でなければならない。

そのような倫理観を持ちたい、というモダリティまでは理解できます。
しかし、今回の県立高校側の判断は、重要な指摘を含んでいることを見逃してはいないでしょうか?県立高校側は、「学力試験や内申点でたとえ高い点数を取っている生徒でも、こんな生徒はうちではいらない」というメッセージを発したわけです。問題だったのは、そのメッセージを公にしなかったことにある、と県教委も言っています。ですから、次年度に向けて、多くの高校で、事前に明らかにしておけばいいのです。

  • やれフィンランドだ、やれ学力低下だ、PISAだのFISAだのFIFAだの、今時の世間が教育のキーワードと思っていることはおいといて、本校で入学させたい生徒に望むものは「学力」ではないのです。

この切実で勇気ある声を取り上げ、意図を考察し、その背景を分析したりしないのはなぜ?現代の日本の公教育の問題を端的に示してくれているこの事例を一校長の更迭人事だけで片づけて良いものなのでしょうか?

多くの県立高校進学希望者に対する学力・内申点をもとにした進路指導での輪切りが進み、高校間の序列はよほどのことがない限り動かない。メディアも公立批判には熱心で、受験する生徒・保護者の不安を煽るのに一役買っている。教育評論家といえば、O木N樹くらいしか新聞・TVに出てこないのが現状。
学力試験で思うように点数を取れない受験生が多い教育困難校の場合、総合点の差が有意とは言い難いのであるから、生徒指導の必要性の高い(つまりは問題行動を起こす可能性が高い)生徒よりは、真面目に三年間頑張ってくれる性格・行いの良い生徒を欲しいと思うのも理解できる。

  • 内申書であれ試験の点数であれ、客観的な数値がでるのだから、その点数で決めるべきだ

という人は、内申書と試験の得点との相関にどのような統計学的な根拠、教育学的根拠があるのかをご存じなのだろうか?また、試験の得点で言えば、平均点も中央値も最頻値も標準偏差も異なる複数教科の素点を単純に合計して合否を決めていることは問題にはならないのか?
というようなことを、今日一日考えていた。
頑張れ!神奈川県の先生たち。
合否基準で思い出したが、今流行の大学入試である「AO入試」での合否基準などは、明文化しようにも難しいもののひとつだろう。いきおい、まことしやかな風評が一人歩きする。最近、とある大学に関して言われたこと。

  • 前年度の、その学部主催の公開セミナーに参加していない受験生は翌年AO入試を受験しても不合格となる。2年生で、この学部を志望する生徒はこのセミナーに必ず参加させるように。

これを聞いて早速、自分のクラス(2年生です)の生徒に伝えました。

  • …というような話があるので、この学部を志望する人は早速、学部に電話で問い合わせて、「セミナー参加が合否要件であるか否か」、事実を確認しましょう。入試広報課とか、専門のセクションや担当者がいるはずです。その際、大学側の誰から回答を得たのか、氏名と役職・肩書きを記録しておき、来月行われる、その学部の公開セミナーに参加して、大学の学部の関係者に、その風評と大学側回答者の氏名・役職とを示して、本当かどうか更なる確認をしてきましょう。

風評ではなく事実だとすれば、それを批判するのではなく、入試要項に明記するよう働きかければいいのだから。大騒ぎするほどのことではないのです。

高2は基本動詞のコロケーションの続編。辞書引き引き、パラフレーズ。この作業を通じて、いかに『P単』が良くできた教材であるかを痛感するだろう。2コマ目で、『週刊東洋経済』の概要と、karishimaさんのブログで紹介されていた鹿児島での大学入試関連の講演資料から情報を抜粋。
高1はようやく、助動詞の番付表の導入と例文での確認が終了。これで『フォレスト』を活用することが可能になるかなぁ。オーラルのコマでは、疑問詞で始まる疑問文とその応答。青木本に倣って情報構造とイントネーションのパターンを確認・音読から即答練習。まず、規範的な操作を理解させ、訓練をしっかり行うために、用例にリアリティを持たせることが肝要。

放課後は学年会議。修学旅行も先の話だと思っていたが段々と迫ってきたのだなぁ。私のクラスは東京方面なので、大学巡りなど班別自主研修を充実させたい。前期試験の前に当たるので、国公立大の対応がどうなるか、早めに動いておかないと…。
帰宅後、和文英訳に資する和文和訳、を暫し考察。
何を問題だと感じているのか、手探りで、思いついたことをメモ。前回のコメント欄に記したことより、もう少し深いところに問題を感じているようだ。焦らず、考えを深めたい。
明日は0限から。模試の仕分けもやっておかないと…。

本日のBGM: Skin Deep (Nick Lowe)