Three young oysters were speeding up....

連休の初日は本業の一日。
朝から、湖へ。今日は海からの訪問者、というわけではないが、県体を控えて、レーンのある水域で練習したいと言うことで他校チームの特別指導。「他のチームの面倒見る前に自分のチームを何とかしろ」、と言われればそれまでだが、頑張っている人を応援するのがコーチングの基本ですから。彼らが競技力を高め、全国大会に出場できて、今後もrowingを続けようと思ってくれれば、この競技のコーチとしてそれに勝る喜びはあまりないでしょう。
高校生のリギングが済むまで、大学チームの練習を少し見る。
スイープに慣れていない選手の課題が多い。G大も含めて、大学からこの競技を始める選手はとかく、形に囚われ勝ちだが、艇を加速させるために出力があるのであり、身体の使い方、道具の使い方を覚える必要がある。以下、私のための覚え書き。(決して、これをマニュアルや合い言葉のようにしないで下さい。)
・ ドライブの後半もボディを使い続けること。ストレッチャーを押す力と、ボディーを巻き巻きする力との間で拮抗させてフィニッシュへ。そのままだったらボディがカンバスまで倒れてしまわぬように腕を使う。
・ ブレードの離水は艇のリリース。艇のスピードと同じスピードで、泳いでいるイルカが水中から飛び出してくるような動きで。そのためのフェザーとハンズアウェイ。
・ ブレードの下端を回して水を押そうとするのではなく、艇を加速させた結果出来たブレード背面のくぼみを利用してブレードの上端から「イルカ」に飛び出させる。
・ アウトの手はドライブの最後でタップダウン、インの手はフィニッシュで加速させながらフェザーという役割分担が原則。インの使い方はスカルと同じ理屈。
・ 「アウトに身体が逃げる」余裕があるということは足もボディも全力を出していない。グリップも同じこと。フィニッシュでアウトの手首が大きく曲がっているのであればそれは艇を十分に加速できていないことの証。高く引き上げようとする意識は不要。途中からハンドルを高くできるほどドライブに余裕があるのであれば、もっと進行方向に加重せよ。
・ 引きすぎてブレードの抜き上げが出来ないのではなく、加速が鈍るからリリースにならないのである。
・ rolls-up(両舷でフィニッシュ1枚からフェザーで離水してリカバリー)で、艇にネガティブな力を加えない動きを覚える。
・ エントリーはリカバリーの最終局面。水を掴むのではなく、艇を掴んで自分と艇が繋がること。一人一人が艇の自分のパート(クラッチ)を感じられるのなら、そのクラッチは艇を介して他のクラッチと繋がっているのだから、他の漕手もみな繋がっている理屈となるはず。

高校生はといえば、フィニッシュの前に加速が鈍ってリズムが滞る。よく見るとエントリー後の足の反応が遅いため、艇の加速の立ち上がりに時間がかかりすぎ、トップスピードに乗り切らないので、どんどん後ろにひしゃげていく感じ。カナダみたいに最後まで加速できればどこまで漕ごうがワンショットなのだが、加速が鈍っては本末転倒。昼休みに、大学生と一緒に教則DVDを見せて、基本の確認。他の優秀なクルーをビデオで撮った時も同様に、ビデオで勉強しようという時に気をつけなければならないのは、

  • ビデオに収めた優秀クルー、モデルとして漕いでいる漕手の全てが、自分の漕ぎに満足しているわけではない。
  • 彼らの技術の全てがお手本というわけではない。

ということ。日本のトップクルー、はたまた日本の高校生の方が優れているところもたくさんあるのだから。
午後はスプリントを交えたメニューで深くたたんだところからひたすら信号を出す練習。揚艇後、エルゴでのトレーニング方法を伝える。「これが一番きつかった」だと。まあ、これで波が高くて乗艇出来ない時にもレースに向けての準備ができるでしょうから、頑張って下さい。乗艇前に5分でもやってみるとすぐに違いがわかるはず。
一仕事終え、自宅に戻り夕食前に妻と近所の温泉へ。
帰宅後、簡単に食事を済ませTVで『フラ・ガール』。
松雪ちゃんを見て様々な想いが胸中に。いや、「白鳥麗子」が年をとったとかそういうことにじゃなくて、「素人を集めてフラダンスを教えるSKD出身のダンサー」という設定に。日本映画だなぁと実感。この作品、2006年邦画No. 1作品なのに、監督や蒼井優が多くの賞に輝いた一方で、松雪ちゃんには最優秀主演女優賞が行かなかったのが残念。
とまれ、自分のチームをしっかりと作る、という志を新たにした連休初日でした。

本日のBGM: The Walrus and The Carpenter (Donovan)