例文雑感

本日は職員会議、2学期の行事予定再確認。
その後、学年会議。
途中、空が真っ暗になり、豪雨。交通機関に影響が出た模様。
書類の整理でてんやわんや。
夕方になったら止んでいた。
帰宅後、娘と散歩。たっぷり一時間は歩いたろうか。
空腹を押さえて、夕飯の準備。

思いつきで作った、せせりとピーマンの炒め物が予想どおり良い味になった。
ネットをうろうろしつつ、ニュースに目を通す。
サッカー協会の田嶋専務理事の五輪後の談話を読んだのだが、正しく報道されているのだとすれば、責任を取って役員以下更迭や辞任でもするべきだろう。

  • 五輪代表の反町監督を選んで任せたのは誰なのか?
  • 五輪代表のそれぞれの選手を選び、強化し、五輪代表として承認されるべく、JOCへと推薦したのは誰なのか?

自分たちの責任において選考、強化しておいて、試合に負けたら「個の力の差は、いかんともしがたかった。」などと統轄競技団体のトップが言うべき言葉ではない。
ニュースサイトなので、いつまで読めるかはわからないが、以下リンクを。
http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2008/news/ballgame/foot/news/20080827-OYT1T00621.htm
メディアでは、スポニチが見出しに「責任転嫁?」と上げているが、肝心な部分には決して切り込まない。
http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2008/08/28/14.html
私には、これが日本のスポーツ文化の底の浅さを露呈するエピソードだと笑って済ませる余裕はない。

大分県の小矢文則教育長の記者会見を見た。08年度の小中学校での教諭・養護教諭合格者のうち、21人を不正が認められたとして採用を取り消すとのこと。取り消して空白になったその21人をどのようにして9月以降に埋め合わせるのかは現時点では全くわからない。2学期を目前に、無責任極まりない事態の収拾である。
教育行政のトップである小矢氏に、「(教育委員会としても)つらい判断だった」などと言わせておいていいのだろうか?
過去ログでも指摘したが、今回採用取り消しとなった新任教員は、現在の勤務校において職務を全うできないほどの不適格者なのだろうか?だとしたら、力量がなく、点数を不正に操作したために合格し採用となったことを鑑み、採用取り消しというのは合点がいく。ところが、その不正合格した教員が、現在、勤務をしていて、職務を全うできているとしたら?
採用試験での合否基準そのものに意味がないということを自ら認めたことになりはしないのか?おまけに、「希望者には、臨時教員としての採用を検討する」というのでは、「不正のペナルティ」としての採用取り消しの意味はどこにあるというのだろう?そもそも、小学校の合格者41人のうちの14人が採用取り消しということは1/3強が不正合格ということである。採用試験、採用制度そのものが意味をなしていないこの状況をどう説明するのか?
本当につらい判断だったというのなら、ペナルティとしての採用取り消しを申し渡した後で、自ら教育長の職を辞することで、切られる者の痛みを分かち合うべきだろう。
私には、これが日本の教育文化の底の浅さを象徴するエピソードだと笑って済ませる度量はない。

さて、
以前のエントリーで、「例文」について書いたことがある。
マテリアルライターとして自戒の意味を込めて、再度。
例文には教授者(著者)の力量が全て現れる。
江川先生の『英文法解説』(金子書房)の例文(泣き別れを排したレイアウトも!)がいかに秀逸なものであるかは、大規模コーパスにより基礎データを作ってから教材作成に取りかかる最近の本と比べると一層良くわかるであろう。
内容や言葉遣いの古さが指摘される「名著」に佐々木高政『和文英訳の修業』(文建書房)がある。その予備編:基本暗誦例文500の中にはこんな表現がさらりと出てくる。
43. Don’t let a little thing like that worry you. でのletの使い方、
143. I need not, as it happened, have worried at all. でのas it happenedの使い方、
199. I can’t live on my wages with prices going up the way they are. でのthe wayの使い方
245. Who is to blame for this? でのblameの使い方、
など和英対訳ではあるが、スピーチレベルの点でも出来る限り自然な英語を例文として示している。
371. He has the courage to do what he thinks is right.
などでは、語順を問うているのだが、この371の例文に関連して、
She is an entirely different woman from what we all think she is. (p.49)
You have only to look at her to see that she is not what people say she is. (p.18)
の2例を参照させている。このように、進んだところから、今一度、相互参照によって、既習事項に戻らせることで基礎的知識の定着を図るような作りは最近の学参にはほとんど見られない。コラム形式や囲み記事で重要語句や重要表現を一覧で示せば知識が整理できるか、というとそんなことはないのである。
401. You said things that would have been better (left) unsaid.
463. In what year did Shakespeare die?
499. There is something I should like to speak to you about?
など、基本とはいえ、ハードルは高い。
予備編の練習問題(例えば、関係詞 (pp.87-88))もよく練られている。
その上で進む「基礎編」と言われるセクションでも学ぶべきことは多い。
p.178, の 例題の6.
A brilliant future (lies before) you.
では(  )に入るべき語句を考えさせるのだが、そこでの解説などはぶっきらぼうだが、必要かつ十分である。
また、研究問題 (p.198, (4)) での、
Nobody likes to have it proved that he is not really as wise as he tries to seem.
という文に見られる、try to seem [look] の使い方などは、自分の守備範囲に入れておきたい。

この本は、出来れば1日でも早く予備編の暗誦例文をクリアーして、その次の基礎編のレベルで、英語らしさを支えるものは何なのか、語彙選択・英語ならではの論理などの「基礎」を身につけるべく、うんうん呻って、脳で汗をかいて突き抜けることが望まれる。その際にも、やはり、解答として与えられている英語の例文を味わって欲しいと思う。
松本亨『英作全集』(英宝社)と並んで、一定の英語力を備えた人であれば、咀嚼し、消化吸収し、自らの血肉化が可能な英作文教材である。ただ、語彙も語順も構文も覚束ない、現在の平均的な高校生にはお勧めしにくい。では、今時の高校生は何をやればいいのか?ギミッキーな教材に手を出してしまうことのないよう、
http://www.amazon.co.jp/gp/richpub/listmania/byauthor/A2LCHKTPR9O1RT?%5Fencoding=UTF8
のリスト中の、「いわゆる英作文からライティングへ」などを参考に、実際に、解答として与えられる英語の語彙・表現を吟味して自分のレベル・目的に合ったものを選んで欲しい。
私も、受験のため(だけ?)ではなく、日本語の仕組みや表現のニーズを踏まえた上で英語の「ヨコ糸」紡ぎに焦点を当てた教材をいつの日か世に問いたいと思っています。

本日のBGM: Struggle for Hope: Cello Suite no. 5 (Yo-Yo Ma / Inspired by Bach)