♪さかさまの反対は、だから「まさかさ」♪

勉強合宿終了!
英語科主任には、『英語青年』(研究社)の拙稿を読んでもらった。

  • 2006年4月号『大学入試英語問題を批評する』(これでいいのか、ライティング問題 ー 高校の立場から)
  • 2006年10月号『精読と英文学研究』(英語・英文学・英語学教育を考える(6)― 大学入試の和訳問題をめぐって)

まずは自分の勤務校で英語授業観を共有できる賛同者を得て、実践を広めていくことから。
合宿プログラムの最後はOB・OGの講演。
今回の合宿には英語系のみ学級文庫をボックス1つ分に精選して持ってきたのだが、卒業生が興味を示していた。この人たちの時に、このシステムを採用していたらもう一つ上のレベルに連れて行ってあげられたのになぁ…。昨日のブログにグラフでサンプルを張っておきましたが、あの6人はみな、塾・予備校に行っていないし、通信添削もやっていません。授業と指定教材を徹底する+英文日記を書いている人がいるくらいですかね。もう一つ大事なのは、彼ら彼女らは国語力も伸びているということです。これは国語科の先生の尽力と、他教科の教員相互の協力です。国語の担任を見ていて、これだけ丁寧な対応は私にはできないなぁ、と思えるくらい個々の生徒のレベルを見て、課題を与えてくれています。
英語は語彙学習で先行、1レベル下の読解教材で音読を徹底してスラスラ感の離陸体験で追いかける、その英語の回路を作っておいて文法学習で分析、という流れができれば、復習ができるようになるので、授業で難しい素材も扱うことが可能になります。英語1のレベルまで文法をカバーすれば、語彙は先行して学習しているので予習ができるようになってきます。あと授業でやるべきことはアウトプットですかね。タテ糸はもう既にGTEC Writing Trainingとか『パラグラフ・ライティング指導入門』とか良い教材や指南書があるので、ヨコ糸をどう上手く織りなすか?これが現在の私の課題。
入試の過去問をゴリゴリ読むのは個人的にあまり好きではありません。
読解系の入試過去問で作られたテキストは、それぞれの課での狙いがハッキリしていないと、ただ数をこなすしかないので、非常に効率が悪い。読解の授業では丁寧に100題を扱えれば十分で、あとはむしろオーセンティックな素材で感性を磨くとか、サマリーやエッセイを書くために読ませる素材文として利用するとか、ディベートやディスカッションの資料として読ませる方が健全だろうと思う。未だに、「英文解釈」と「長文読解」とか区別している予備校のパンフとかを見ると、日本の英語教育界はもっと根本的なところで正しい情報を発信して、主導権を握る必要があると感じている。
新指導要領では「リーディング」と銘打った科目は存在しなくなる。ということは、適切かつ効果的なリーディングの指導はもう十分日本に浸透したという評価なのか?まさか、そんなことはないだろう。

今まで使った読解系のテキストで、個人的に好きなもの。

  • 三省堂教材システム『大学入試速読対策問題集英語読解60選』(神戸文章編著)

1990年くらいの初版が一番良かった。構文解析用の中文がはじめにあり、最後には1000語を超える当時の超長文まで収録。解説も適切な良い教材だった。今でもこの版は取ってある。さすがに1,2学期間で60題全部は終わらなかったが、それでも全く大学受験を考えていなかった、偏差値でいうと50そこそこだった生徒が、早稲田の一文に受かるくらいには力がついた。授業で扱えなかった残りの課を自学自習した生徒は偏差値も80超えたりして、入試では外語に受かったのに早稲田に行ってしまいました。改訂され、中級編を出したりとか、どんどん易しくなってしまったのが残念。

  • かつらぎ書房『特撰』

これは私立の女子校時代に週1回2単位の選択の読解授業で使った。東京のようなお受験文化の地で塾・予備校・カテキョなど生徒が情報交換できないテキストを、というニーズで選択。奈良の出版社だったと思う。語彙を重視したサブノートがついていて、平均的高校生の読解での困難点をよく理解しているなぁ、と思った。今はほとんどみないのだが、まだ存在しているのだろうか?音源や補助教材などほとんどないといってもよい教材だったが、難易度がある程度高い英文を収録していたので、予習→うんうん呻る→授業→腑に落ちる→復習→語彙・構文・論理を自分のものに、というサイクルで、1学期は速精読のみ、2学期は問題演習というシラバスを採った。生徒のアンケートでは、圧倒的に1学期の満足度が高かったのを覚えている。生徒の大半が早慶上智進学だった。一人、外語に進んだ生徒が、後にボート部での教え子になった時はビックリした。(ちなみに、彼女はその後、4X+でインカレ3位。今年は関東のブロックを勝ち抜け、成年女子1Xで国体に出場します。)

学習参考書では、

  • 和田孫博編著『精説英文読解』(駸々堂;現在絶版)

これは良くできた参考書だった。補講・補習で二次レベルに鍛えるのに重宝した。和田氏は当時、灘中高教諭(現在は校長先生)。ひとつの長文に対して、語彙・構文の解説と発展、さらには背景知識で補足ができるのは幅広い教養と教材研究の成せる技だと思う。解説の匙加減の旨さは見習いたいと思った。今回の引っ越しでどこかに行ってしまったのが惜しまれる。

  • 河村重治郎他『新クラウン英文解釈』(三省堂;現在絶版)

再三このブログでも言及しているのだが、私以外に持っている方に出会わないのでいつも話が噛み合わない。どなたかお持ちの方、ご連絡お待ちしております。

最近の読解系の教材で目を見張るものは少ない、好きになれるものはさらに少数。

北京五輪。
ソフトボールが悲願の金。上野選手は3連投。決勝トーナメントの勝ち上がり方法はページ方式というらしい。
インカレは初日。各種目好タイム続出の模様。焦らず、明るく、諦めず。決勝レースをイメージして頑張って下さい。

本日のBGM: Upside down (TULIP)