振り払う火の粉は降りかかる

夏期休業中ということで、寮の当番もあらたなローテーション。勤務時間の終わる4:30でシフト。そこから夜の9:00まで。今までは7:00からの2時間だったのでどこかで買って入るか、先に済ませるか、はたまた我慢するかでよかったのだが、この中途半端に長い時間帯で中にずっと詰めている時に夕飯をどうするか、困るよなぁ。まあ、学校側はそんなことはお構いなしなので気に病むだけ損。カップ麺を買って、寮に詰めることに。
『荒地の恋』(ねじめ正一)読了。
いろいろ思うところがあり、夏休みが始まるまで封印していたのだが、一気に読み終えた。熱中しすぎて、生徒の英文日記の添削を忘れるところだった。私の好きな人が色々出てくるお話しなのだが、加島祥造の次男と北村太郎の親交の自然さに比べると後半の最所フミ氏の描写はとってつけたような感じがした。そういえば牧史さんとも暫く会っていないなぁ。夏に行ったことは確かなかったと記憶するが、来月上京する時にでもbarに顔を出してみるか。

今日、高3の意見文の添削をしていて、「型」の説明をしていたのだが、アカデミックライティングのレベルやTOEFLなどで要求される複数パラグラフでの300語程度の作文ではなく、「まず100語前後でまとまった内容を述べることができるように」、という際の「モデル文」を採用見本で送られてきた英語I, 英語II、Reading, Writingの教科書を見て示そうと思って、パラパラ眺めたのだが、ほとんど教材として示されていないことに愕然とした。「ライティング」の検定教科書も以前は100語程度のモデル文が冒頭にあったものだが、今日では文法シラバス回帰が強まり、いよいよモデル文から学ぶことが難しくなってきたように思う。英語Iなどの4技能統合型科目や、 Readingなどで、課末のタスクとして、

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などというアウトプット型の活動を課す前に、「読むもの」として示す英文素材を「5パラグラフエッセイ」にでもしておいたらどうなのだろうかとさえ思う。なぜそうはなっていないのか?たぶん、それでは読んでいて面白くないからだろう。「読む素材」のテクストタイプとのギャップだけではなく、スタイル、フォーマットのギャップもこれからの高校教師は橋渡しをしなければならない時代になってきたようだ。
私の理想としては、
Part 1(入門編):150語で端的にまとまりを造る物語文、描写・説明文、意見・説得・論証文
Part 2(展開編):300語でしっかり、じっくりと述べる物語文、描写・説明文、意見・説得・論証文
Part 3(習熟編):60語で凝縮して示す物語文、描写・説明文、意見・説得・論証文の要約
などという技能養成用教科書を英語I&IIで用意する。形式は固定して、英文素材の使用語彙、構文の難易度を上げていくというのはどうかと考えている。タスクはdictogloss&copyglossさらには「イカソーメン」。聴いたり、読んだり、合わせたり並べ替えたりしながら完成させた英文が、アウトプットのモデルとして即機能する、そんな教科書を作りたい。
一方で、読む分量が増やせない分、副読本や『英文版・高ため…』の充実を図って読む楽しみを味わうとともに読みの技術を伸ばしていく、という持っていき方だなぁ。こんな授業ができるのはいつになるやら…。

大分県のある市で、「不正採用」の教員が辞表を出し、受理され、辞令の交付がなされた、という事実が市の教育長から発表されたシーンをTVで見た。既に逮捕されている者の実名を出し、その続柄を言ってしまえば、本人を特定したも同然。他人事のようなそのコメントに吐き気を覚えた。
不正に合格した者を罰するのなら、不正に採用した者も、そしてその不正に関与した者を管理する者も責任を取るべきだろうし、取らせるべきだろう。今年の採用試験では不正防止・抑止のために、教育委員会単独ではなく県の人事委員会など「第三者」が合否決定に関わる(http://edu.oita-ed.jp/080708comment.pdf)のだとか、とすれば、まずは、採用を「任せられない」教育長以下、要職にある者が辞任するべきではないのか?
スポーツの世界では、ドーピングは不正であり、発覚すれば厳罰である。ボート競技はすべてのスポーツの中で最も厳しいルールでドーピングを禁じている。永久追放である。
ボート選手のドーピングが発覚すれば選手は競技者としてだけではなく、その後、進むかも知れない指導者としての可能性まで閉ざされてしまう。
今回の大分の事例は、コーチだけではなく、競技団体とか協会の要職がドーピングを促進しており、その競技団体全体がその行為を容認していたと喩えることができよう。では、今回の「当事者」「関係者」とは一体誰なのか?いっそ、役員も総入れ替えしてはどうなのか?
蛇足ですが、ボート競技はまっとうでクリーンな競技ですので誤解なきよう。
本日のBGM: ケジメなさい(近藤真彦)