まずは自分の目と耳を取り戻すことから

  • できる、できないという意識があるのは、教師にも生徒にもまだ隙間があるからだと思ったのです。そんな隙間があって、余裕があるから、考えなくてもいいことを考えるような状態になる。とにかく一生懸命にやる。(中略)できてもできなくても関係のない世界へもっていかなければ、本物にはならない。おもしろい授業を力いっぱいして、生徒に自分の優劣を忘れて打ち込ませるところまで、教師は持っていかなくてはならない。/ できる子もできない子も、みな等しくそれぞれの学習に集中し、もはやできるできないなどという意識は消えている。その隙間のなさ、その集中は、まさにひとつの祈りのようなものではないでしょうか。(p.117)
  • 学ぶこととか、自分を成長させることへの愛着のようなもの、たとえ役に立たなくても、やらずにはいられないような、そういうものがなくなってきているように思うのです。/役に立つことかどうか分からなくても、捨てることができない。やらずんばなるまい。それをやるとどれだけのいいことがあるかというと、そんなことはわからないけれど、やらないということができない。学ぶということに対するそんな気持ちを、私は今でもひしひしと感じています。(p.149)

『22年目の返信』大村はま・波多野完治(小学館、2004年)読了。学級文庫に。これは教育に関わる多くの人に読んで欲しい。途中一部引用されていたが、大村はまの『国語教室通信』(共文社)などからも言葉を育てるヒントは得られるものです。生徒は学級文庫の「ことば」の棚をもっと活用すべし。宝の持ち腐れ。もっとも、これらの本はまず、教師が読むべきなのだけれど。ことばの教師にとってはもちろん、少なくとも教師のことばにとって、この本(資料?)は汲めども尽きない豊かな泉です。

  • 詩において、私が本当に問題にしているのは、必ずしも詩ではないのだという一見奇妙な確信を、私はずっと持ち続けてきた。私にとって本当に問題なのは、生と言葉の関係なのだ。(谷川俊太郎「私にとって必要な逸脱」)

文庫版に収録されている「おまけ」なのだが、これが良かった。ボーナストラックの妙。谷川俊太郎の詩は学生時代から好きなのだが、この人自身の体温を感じにくくて難しい詩人の一人である。「書評空間」の阿部先生の切り口(http://booklog.kinokuniya.co.jp/abe/archives/2008/02/post_18.html)にも触発されたか、20年以上経ってようやく少し入射角が掴めてきた感じ。しばらくハイパーホッケーのように、詩の周りをカコカコ弾けていよう。

夏期課外は高2。『P単』をちゃんとやっているか、200個一気食いと自己採点。教室で1時間を割いてまでやる価値がある活動(作業)なのか、そろそろ気がつくべし。
2限終了後、速読用課題を配布して本日終了。

津田塾フォーラムで使う資料を過去のワークシートなどからコピー&切り貼り。
参考図書をどの程度示すかで思案。絶版があるので、結構難しいなぁ。高校の英語科準備室とか研究室、あるいは図書室で、英詩関連の図書を揃えてある学校ってどのくらいあるんだろうか?前任校は大層充実していて、読む(眺める?)のが楽しかったのだが。意外と個人で揃えている人の方が多いのではないだろうか?担当の方にメールで問い合わせて、宅配便で送っても良いとの返答を得る。これで、鞄が少しは軽くなるか。
今回の津田塾フォーラムのテーマでどの程度参加者の「思惑」を揺すぶることができるか、私にとっては大きなチャレンジである。昨年のこの時期に特集で組まれた『英語教育』(大修館書店)の「ブックガイド」 (2007年8月号) の拙稿に英詩の扱いについて少し書いたのだが、知古2名を除いて全くもって反応・反響がなかったので、かなり達観してはいるのだが…。

生徒が一人「英文日記」を始めたというので、英語・表現のチェック&朱入れ。
続けることに意味があるレベル・軌道に早く載せたいところだが、誰もが最初はbeginnerですから。焦らず、ひたむきに取り組むべし。
自宅のHDDレコーダが壊れたのでTVを録画できなくなって早二ヶ月。当然、以前録画したものをみることも適わない。
一期一会ではないが、しっかりと見届けるというような意識を持って見ている自分に気づく時がある。ローテクに戻ることでこそ開発される力・領域が人にはあるということだろう。

  • このカセットブックには、あえて文字によるテキストを添付しないことにしました。声には印刷された文字にはない意味や音の揺れとでも言うべきものがあり、文字はときにそのような声の質感を聞きとる妨げになることがあるからです。朗読された詩の出典は目次に記してありますので、興味のあるかたはそれらの詩集をご参照下さい。(『谷川俊太郎、自作を読む 第3巻 生きる/選詩集』、草思社カセットブック、1988年 )

本日の BGM 声:愛(谷川俊太郎 )