”There’s nothing you can do that can’t be done.”

この週末は生徒が集まらず、本業も休止。夏休みだな、こりゃ。
土曜日は午前中大学生の乗艇を見て、帰宅。関西選手権、インカレとしっかり追いこんで下さい。
私はしばらく、夏期課外と英語教育プロパーにエネルギーを割くことにしよう。
今日は津田塾フォーラムの準備。
国語教科書に於ける詩歌の扱いを調べるのに、暫しネットサーフィン。
『ドラゴン桜』という漫画もドラマもとっくに終わったと思っていたのに、未だに関連(便乗?)商品が出てくるのは、東大ブランド信仰なのかね?
漫画に出てくる英語教師のモデルとなったといわれる竹岡氏の著書『ドラゴン・イングリッシュ』に続いて単語集が出るそうな。この人のことだから、きっと語源重視だろう。でも、竹岡氏は英作文ができる人のようだから英語教師としての力量は信頼できるのだろう。
私も一時期単語集の作成に関わっていたが、例によって私の遅筆、さらには出版社の事情で暫く見送りとなった。個人的に、良い辞書があれば、あとは『P単』で十分なので、ことさら新機軸を競うような単語集は要らない。内容構成から言っても価格から言っても、『P単』は最も良心的な一冊と言える。心配な人は、渡辺慎太郎さんという方が、ご自身のサイト「十日日記」で『P単』収録語彙をアルクのSVL12000を基準として分析してくれているので、ご参照の上、ご安心を。
http://www.10days.org/diary/20070902.html
渡辺さん、ありがとうございます。この場を借りて御礼申し上げます。

  • 語法の勉強の必要性を強く感じる。

先日発表原稿を頂いたA先生の言だが、良識が感じられる。したり顔で文法・語法の蘊蓄を披露したり、愚愚った結果でお茶を濁したりするのではなく、地道に語法研究するには、一次資料を読みその言語事実から「気づき」を得るだけの「用意」「準備」が自分の側になければダメなのだろう。先行研究や文献に十分当たりもせず、自分がその言語事実を支える理論を発見でもしたかのように騒ぐのは恥ずかしいことだ。その意味で、学校文法をまずはきちんと押さえておくことだろう。出来先生、伊藤先生など学校文法を自家薬籠に収めたような方の爪の垢でも煎じて飲みたいものだ。
某O社の入試問題正解を執筆していた頃、編集部を通じて、綿貫陽先生に入試に頻出するある語法に関する質問をしたところ、丁寧なFaxが返ってきたことがある。コーパスと先行文献を丁寧に、綿密に扱って事例を説明し、ご自身の解釈を添えておられた。博識に感銘を受けたのはもちろんだが、一介の教師の質問にかなりの時間を割いて返信してくれたことに、教育者として、研究者としての良識を感じた。

  • 桐原の『フォレスト』を痛烈に批判している方がいるのだが、ほんとうのところどんな参考書なのか?

という質問を先日受けたのだが、返答に困る質問である。(私自身が薦める学参はネット上の某A書店のリストマニアで示している。初学者用、再入門用であれば、学級文庫の写真を観察されたし。)
如何に良い参考書でも、その記述から適切な情報を引き出し、自分のものにできる学習者は限られている。『フォレスト』の場合は、公立中学出身者に高校で英文法の体系へと誘おうという場合に、候補として浮上する商品だろうと思う。これだけ売れていて、しかも内容が充実しているといわれ、授業で使える関連諸商品もあるのだから、日本の高校生の英文法力は飛躍的に増していそうな気もするのだが、現実はそうなっていない。
安心していつでも戻れる母校のような学習参考書、誰か書いてくれませんかね?
ちなみに私が今読んでいるのは古瀬良則著『英文法の研究』(旺文社、1954年)です。
本日のBGM: All You Need Is Love (Elvis Costello / Live Aid)

[※ちなみに、本家The Beatlesのインタビューscript付きall you need is loveはこちら→http://jp.youtube.com/watch?v=PnzbR-DRvCU]