自分は誰と競争しているのか?

1学期終了。
昨年は、1学期だけで26回の学年会議に追いまくられる日々だったが、今年は別の意味で奔走の1学期。
週末の本業を経て、週明けからは夏期課外が始まるので、7月中は休み無し。
8月の県合宿は参加する必要あるのかしら?
学級文庫行きを決めるのに、再読と振り分け。

  • 『フィンチの嘴』ジョナサン・ワイナー(早川書房)
  • 『ダーウィンに消された男』アーノルド・C・ブラックマン(朝日新聞社)
  • 『蔵出し英単語ものがたり』トミー植松(創元社)
  • 『今日の芸術』『日本の伝統』岡本太郎(光文社 知恵の森文庫)
  • 『名詞と遊ぼう』『動詞と遊ぼう』『助語と遊ぼう』田崎清忠(サイマル出版会)
  • 『書きたい、書けない「書く」の壁』丸谷才一他
  • 『話したい、話せない「話す」の壁』久世光彦他
  • 『読みたい、読めない「読む」の壁』斉藤孝他、以上、ゆまに書房

『…「書く」の壁』は過去ログでも言及したことがあったかと思うが、このシリーズ、残り2冊は揃えるだけ揃えてあまり読んでいなかった。本はきちんと読むものだと痛感。いい作品を世に問うた作者・編集者の皆さん、ごめんなさい。
『…「読む」の壁』に収録の大村はま氏のインタビュー、「『しなさい』と子どもに言う時は」にしばし黙考。このシリーズが2005年刊なので、05年没の大村氏の最晩年のインタビューと言うことになろうか。(出典は、『総合教育技術』2003年8月号、小学館でした。)
この『…「読む」の壁』の最後に、

  • 「みみ」を「すます」

という作品が収録されている。(pp.136-151)
タイトルのある、p.136には作者名が「竹内敏雄」とあるので、ずいぶんと古い人の文章で締めたなぁ、などと思って読み始める。谷川俊太郎の詩が素材となっている、国語の授業研究会。という内容に「へえー」が増える。でも、次のような指摘がなされるところで、著者名に対する違和感が一気に増大。

  • 私にとって何よりも気になったのは、立ち上がって詩をよむ子どもたちのこえの硬さと単調さであった。

この物言いは、まさに「竹内敏晴」ではないのか?もういちどタイトルページへ。「雄」だ。巻末の著者一覧へ。「晴」。プロフィールもそれを裏付ける記述に。一応念のために、編集部にお電話で確認。担当の女性が電話の向こうでも確認してくれて、誤植と判明。「私の持っているのは初版第一刷なのだが、増刷では直っているのか?」との問いに、「残念ながら、諸般の事情で増刷の予定は今のところない。」とのこと。いい内容だけに本当に残念だ。初出は、ちくま学芸文庫の『ことばとからだの戦後史』(1997年)。機会があれば是非とも読まれたし。

12時を回ったところで、今年度途中から非常勤をお願いしている講師の先生を労う昼食会へと移動。比較的新しいイタリア料理店でランチのコース。本来、もっと早くに歓迎会として行うべきものなのだろうが、諸般の事情でこの学期末に。しばし歓談。店を出ると、真夏の空。学校に戻って出席簿や成績一覧表の提出など残務処理。課外のハンドアウトを印刷し帰宅。

郵便受けに、先日のFTCでのA先生発表資料が届いていた。
「T大合格者数日本一」という形容が一人歩きしがちな、この中高一貫校で、いかに真っ当な、誠実な英語指導が展開されているかが窺い知れるハンドアウトでした。特に中学校段階では、検定教科書を中心に、先取りを焦ることなく、復習を徹底することで、生徒が自学・独習できるように支援していくという一貫した理念のようなものを強く感じました。検定教科書は中3の1学期で終わるのですが、高校の教科書を先取りするのではなく、useへと繋げていくことを志向しているとのこと。高校からは、バランスの取れた自主教材を編纂。ここで、教員の力量をさらに問われることになりそうです。「正しさとは?」という問いかけが棘のように、今私の心に引っかかっています。持ち上がりで中1から高3まで。実際には、周囲からのさまざまなプレッシャーを受ける中、葛藤しながら、日々の取り組みに邁進されてきたのだと思います。A先生とは、またいつか、ゆっくりとお酒でも飲みながらお話しがしたいものです。
Namely ELTが久々の更新。
誠意溢れる内省のことばが記されている。現場の教員のリアリティとはこういうことなのだろうと思う。こちらのレーンの方がむしろ"faster"なのかもしれないのだから。

自分自身の津田塾フォーラムの発表の準備もスタート。
まずは奥の部屋の段ボールを開けないと…。

本日のBGM: Life in the fast lane (The Eagles)