With more money, you wouldn’t have suffered ....

授業は高1、高2、高3の順。
高1は「リスニング…の旅」の復習。raiseの発音で怪しい者がいたので、rainを引き合いに出して、二重母音の確認。painやmainを示しても良かったな。スクリプトにcloudyという単語が出ていたので、in a loud voiceの発音練習で、類例のまとめ、cloud/ sound/ south/ proudなどを一気に。続いて「今月の歌」。CarpentersのTop of the world。ほとんどの生徒が一度は耳にしていながら、歌詞を殆ど知らないようであった。ELEC同友会のメンバーで監修した、『歌で音読DVD』(クリエイティヴ・コア)を活用。私はこの曲の解説担当だったので、何百回聴いたかわからないくらい。でも、新鮮な気持ちで導入から。
高2は裏面の教科書の和訳を元に、表面で該当する語句・表現・文を抜き出す作業。A rather than Bは「Aを選択、Bは却下」であることを徹底。<with+抽象度の高い名詞>という副詞句から、動作性を引き出すことを指導。<with+道具となる名詞>では簡単にイメージできても、ちょっと名詞の性質が変わるとお手上げになりがちである。最終パートをシャドウイングまで一通りやってみて、対面リピートへ。次回は、テスト前最終回。会話必修表現で一段落の予告。
高3は野口健の話を終わらせる。語彙の徹底。Sufferとsuffer fromの語法を辞書で確認させ、一定の傾向を指摘。文法事項やいわゆる構文では、分詞構文と動名詞主語の識別辺りか。次回のJennyちゃんの予告で終了。
テスト前一週間なので、部活もmoderate。
ある意味健全である。
さて、
日本の英語教育の成果を、韓国や中国の成果と比較するのは最近の流行である。東アジアレポートはB社もGETCのスコアを元に長年データを取り分析している。そんな折り、『英語教育』(大修館)5月号で、文科省の菅氏が「英語教育ここだけの話」で、中国の英語教育事情を報告している。(p. 48)
要点をかいつまんで紹介すると、
・ 必修化とは全国一律実施を意味しない
・ 全国的なデータの把握はできていない
・ 北京、上海、天津などの大都市圏では小学校一年から英語教育を行っている
となるだろうか。
中国の就学年齢の1学年にあたる児童数はおよそ2000万人である。それに対して日本は、118万人程度(平成19年度学校基本調査による)。世界的な外国語能力評価の基準として機能しているCEFRに準じた能力指標を取り入れ、過去10年間に渡って、約130万人の児童のテストデータを集めている、と言われる中国。児童の英語力での到達度の日本との圧倒的な差と、到達している児童の実数の差は、政治・経済など国際世論を形成するだけでなく、識者が好んで用いる「国力」の差となるのであろう。しかし、この中国の「成果」も、2000万人x10年=2億人のうちの130万人であれば、その割合は、0.65%程度に過ぎない。言ってみれば富裕層・エリート層のデータである。日本でこの割合での実数を示せば、10年の合計でも80000人に満たない程度。毎年8000人、全国の小学校から誰を選ぶ?
「…ここだけの話」では菅氏はこうも言っている、

  • そこが日本の良さなのです。格差なく同じように学び、同じように学力を身につけさせようとしているのです。

それが、日本の長所・利点・美徳だというのだ。果たしてそうだろうか?
倫太郎さんのブログで紹介されていた、『週刊東洋経済』5月17日特大号を買いに街まで出かけた。特集は、

  • 子ども格差

『プレジデント』と違い、足腰の強い取材で定評のある同誌だけに、受け止めるのが正直しんどい。
特集前半の「貧困」、part 2の「私立校大人気化の実態」、part 3での「公立高校の学費」、「地方自治体による私立生徒への助成格差」など、痛みを感ぜずにはいられない。pp.70-71では「早期化する語学教育」が取り上げられているが、そこまで読む間に、心が疲れてしまった。(上述の英語教育先進国である、中国の事情も、pp.84-86で紹介されているので、タフな人は是非。)
このような状況で、本当に「格差なく同じように」学べるのだろうか?
柳瀬先生のブログでも、この話題で記事が書かれていた。多くの人に目を通してもらい、広く「世間」に知ってもらいたい情報である。
私も現場を預かり、支える者として、声を上げ続けていきたい。
そして、自分の実作は、授業。
明日もTop of the worldを歌おう。高らかに、朗らかに。痛みを抱えながら。

本日のBGM: The Disappointed (XTC)