the chief meal of the year

天候が心配される中、妻と一緒に俵山温泉へ一泊骨休めに。
下関の唐戸市場でお正月用の買い出しをするということで、午前中に出発。行きは私の運転。北海道生まれですが、雪の中の運転は初めてで緊張。それだけではないでしょうが、小倉まで行ってしまいました。もう少しで香住っ子さんのところまで行けましたね。
下道で引き返し無事市場へ。さすがに盛況。その日に帰るのだったら伊勢エビとか奮発!という気も起きたのでしょうが、宿では「ふくつくし」で予約していたので欲張らず。私は、正月に準備した地酒に合わせて、最高級地物赤イカのスルメと北浦産無添加干しエビをゲット。市場の食堂はものすごい行列ができていたので、パスして、市場を後に。運転は妻。街道沿いの定食屋で昼食。日本海側を回り線路沿いを走り、「広域農道」という、有料道路かというくらいよく整備された近道を通って、途中でハナッコリーを摘んで、目的地俵山温泉へと南下。途中、あられのような雪の中、無事宿へ到着。
いやぁー、昭和ロマンという感じの温泉街ですな。
旅館に内湯はなく、宿泊客・湯治客も日帰りの客もみな外湯へ。かけ流しで、湯温は41℃とあまり高くないので、私でも20分くらい連続して浸かっていられます。湯上がりで、ふく三昧。寓話か何かにあった、カエルのお母さんのようなお腹になりました(破裂はしなかったけど…)。
朝風呂は、もう一つの外湯に出かけて泉質の違いを体感…って、温度以外の違いはあまりよく分かりませんでした。でも気持ちも身体もリフレッシュできたのは確か。宿の娘さん(お孫さん?)も気を遣っていただいてありがとうございました。三猿まんじゅうも食べました。今度来るなら、年越しで泊まってもいいかも。
宿を発ち、青海島から萩まで。萩で城下町などを見ていたところで、ものすごい雪に。買い物もそそくさと済ませ、早めに帰路へ。途中、道の駅などで食材を買い足し帰宅。
山口以前も、来てからも、週末は本業、そうでないときは正業の大会や講習会・研究会の講師で埋まっていたので、ゆっくりした休日というのは久しぶりかもしれません。
結局、妻の運転の方が長かったので、労いにはなりませんでしたが…。
公立から私立、専任から非常勤と21年間教師として過ごした東京を3月に離れ、山口に赴き、自分の「本業での夢」を漕ぎ出したこの1年。「英語教育はもういいだろう」、と思って引いた大きな選択肢だったわけですが、多くの人に支えられ、励まされ、正業でも依然として、というか以前にも増して私を必要として下さったことに対して御礼申し上げます。
特に、ライティング関連では、いくつかのイベントや研究会の講師を仰せつかったわけですが、私の肩書きや勤務校のネームバリューではなく、これまでの実践、教材やシラバスを評価して頂き、それらが基づく理念・哲学のようなものを理解して下さったことにあらためて感謝します。
年明け早々に、このブログも10万アクセスを突破する模様です。書き始めたのが、2004年の10月ですが、カウンター設置が昨年(2006年) の8月末ですので、実際はもっと多くの方が足を運んで下さったと思います。感謝の意味も込めて、10万キリ番をゲットされた方には、このブログならでは、私ならではのプレゼントをお送りします。(これだけ、「ならでは」を繰り返しているとはいっても「寺田本家の奈良漬け」ではありませんのでご安心を!)このブログの感想と一緒にご報告下さい。プロフィール欄よりメールを下さるか、このブログのコメント欄に書き込みを願います。

いよいよ2007年もカウントダウンへ。
今晩のTVの目玉は、桜庭対船木か?
放送開始は6時だけれど、相変わらずいつどの試合が放送されるのかが全くわからない。このじれったさも含めての格闘技番組なのだな。格闘技番組を楽しめる、というのもある意味平和な国に生きているということか。
今回の温泉宿には、アーサー・ビナードの新刊対訳詩集を読もうと思って持っていったのだが、ほとんど読めずに帰ってきた。で、自宅で落ち着いて頁を繰る。
石原吉郎の作品では『世界がほろびる日に』がとりあげられている。最後の、

  • 電気釜は/八時に仕掛けておけ

の部分が、

  • Set the timer on your rice cooker/ for 8:00 a.m.

と訳されていた。
動詞set、前置詞onとforのコロケーション。日本語では、「朝ご飯」とも「午前」とも示されていないのに、自然に補われるa.m.など、この一行に語彙・語法・文化の翻訳の点で学ぶべきことが凝縮している、などというのは野暮というもの。
ご飯を炊いておくことというroutineに前向きな「生(せい)」の宣言を込める、ギリギリのところで張りつめているからこそ持ち堪える気構えに学びたい。そういえば、邯鄲の夢、の故事でも、人生の栄枯盛衰の儚さを伝えるための物差しが、ご飯が炊けるまでの時間だったなぁ…。


年越しそばを平らげて、あとは今年の終わりを見届けるのみ。
年賀のご挨拶は遠慮させてもらうのだが、お屠蘇の用意くらいはしておこうと思う。

本日のBGM: Dinner With Delores ( the Artist Formerly Known As Prince)