”Who’s going to save you now?”

夜半から雨。湖に恵みを。
高3の冬期課外は、進路が決まった者も含めて、センター前特講。
事前に頼んでいたテキストが届いておらず、仕方なく、コピーで急場を凌ぐ。
センター過去問の読解問題にCD音源がついているものなので、リスニングで口パクから。重ね読み。個々の音声、アクセントの位置、リズムを確認するために聴くだけで一回。そこから、ペアでの背中合わせ一人一文読み。再度重ね読みと個人でbuzz。2語遅れでテキストを見ながらリピーティング。最後はテキストを見ずにシャドウイング。100語程度のピースは楽だが、200語近いと集中力と持久力の両方が必要。計2題を使って、練習の仕方を徹底。読解用のピースで楽にできれば、リスニング最後のやや長めのモノローグも簡単に感じるでしょう。自分一人でもできるように仕込んで冬休みを迎えてもらおうという狙い。
ウォーミングアップが済んだところで、リスニング用の練習問題へ。グラフ問題。答え合わせの後、スクリプトを見ながら音読。シャドウイングまで。本日はこれにて終了。
昼前に郵便局で古書店の書籍代を振込。一端家に戻り、妻の手伝い。昼ご飯はうどんで済ます。
午後からは本業の練習でエルゴ。
高強度UTのカテゴリーで12km。SRは20/22/20/22で、4km+2km+4km+2kという配分。中盤から、設定スピードを指定レートでキープできなくなってくるが、そこがこの練習の狙いなので、頑張って下さいな。このメニューだとアップ込みでも90分程度で終わるので、日が暮れる前には学校を出られるのが幸い。明日も同じメニューで漕ぎ納めの予定。
その後、タイヤをスタッドレスに替えて年末の天候の変化に備える。
帰宅すると、ポストには広島大附属福山中高の山岡大基先生に送ってもらった、ライティング指導の実践報告資料。

  • いきなり書かせないライティング指導 ---視写と書き換えの活用

今、ライティング指導・実践で一番気になる存在。レジメ&ワークシート集。工藤洋路先生の「sentence level でのopen-endedな活動」もきちんと取り込んでいるようだ。この休み中にじっくりと消化吸収したい。
夕方には、頼んでいた『英詩・選釈 ゴールデン・トレジャリー』(吉竹迪夫著、培風館、1956年)が届く。初版にしては、まあまあのコンディションだな、と思って中を見ると、「出来蔵書」の朱印。まさかね。

今日は、全日本フィギュアのフリーが早い時間から始まるので夕飯を我慢し、演技に一喜一憂しながらTV画面の前をウロウロ。第2グループでは武田の出来が良かった。大きく育つことを期待したい(もう身長は伸びないだろうけど)。
最終グループは、滑走順で明暗。妻の言葉で気づいたのだが、「新世代」と「旧世代」の明暗なのかもしれない。
浅田真央に失敗込みの演技であの得点を出されては、後から滑る者たちは為す術なしでしょう。そんな空気の中、中野由加里はSPの不振を振り払うかのように勇気ある3アクセルから。今シーズン最も気持ちの乗った演技でした。パチパチ。表彰台と世界選手権の切符を勝ち取りました。
モロゾフマジックの炸裂で逆転の期待がかかる安藤は、出だしの3回転のシリーズから安定していたが、ステップでの上半身の使い方などは今ひとつに思えた。しかしながら、プレッシャーのかかる最終滑走で大きなミスをしないところは流石。200点越えで2位。中野と20点の開きは果てしなく大きな断絶という気もする。副音声で良いから、3フリップの解説を誰かしてくれないかな…。
明日は、メダリストの競演。
遅い夕飯は、私のリクエストでスキヤキに。うどんで〆のつもりだったが、その前に満腹。
明日の講習用に語法の確認。センター用の「まとめ本」の市販教材で気になる解説が見られたので、愚ぐったり、入れ句ったりしてました。
副詞の語法で、yetやalmostの解説ってどうしてあんなに分かりにくいのか? yetって疑問文では「もう」で、否定文では「まだ」なの?(ところで、今流行のコアミーニングではこういう語はどう扱っているのだろうか?基本動詞と前置詞とsome/ anyだけしか説明しないのではあるまいて。)
また、大学入試レベルでalmostを解説するなら、数量表現だけではなく、almost finishedとか、 almost deadなどが分かるようにして欲しいものだ。その上で、barely aliveとか、nearly humanとか、実例を捌くのが腕の見せ所だろう。じゃあ、お前はどうしているのだ、と聞かれれば、私はとりあえず、実例を挙げた上で、「almostはそれが修飾するものを100%または0%の基準とみなして、それに近いことを強調する」という説明を与えている。頻度とか、パターンとか、よりもまずは意味でしょう。田島伸悟氏ではないが、一般の学習者で辞書や参考書を引いて「機能に感動する」人はいないだろうから。そこを押さえておいて、意味の共通項を探り当てたりえぐり出したり浮かび上がらせたりするのが、コアミーニングの効き目なのでは?
少し話が逸れたが、助動詞の慣用表現で、 cannot … too を扱う必然性はあるのか?
入試に出るから、という点で譲歩しても、未だに “cannot thank you enough = cannot thank you too much” というのはいかがなものか。河上道生氏の『英語参考書の誤りを正す』(大修館書店)、『教師のためのロイヤル英文法』(旺文社)などで該当箇所を繙けば、問題の所在が分かろうというものだ。
他にも、may (might) as well など本来実例と解説が不可欠なところが全く持って舌足らず。学習用の文法書である、杉山忠一氏の『英文法詳解』(学研)の該当箇所で勉強すべし。
関係代名詞と関係副詞の識別に、関係詞の後に「完全な」節と「不完全な」節という基準を当てはめるのはちょっと首肯できない。『和英大辞典』(研究社)より例を引く。

  • Her mind went back to the day when she first saw him. (彼女の思いは初めて彼に会った日に帰っていった)

という文で、when以下が「完全な」節、文として成り立っているのだとしたら、もし、この文意で次の文だったらどう説明するのか?
Her mind went back to the day on which she first saw him.
<前置詞+名詞>という「句」が副詞の働きをする、という基本を押さえて、実例を吟味することこそが必要だろう。
多分、センターを間近に控えたこの時期に売れる本なのだろうけれど、私がこれまで教えてきたような一般の生徒には勧められない。最も困るのが、「さくいん」がないこと。「え、これって○○じゃなかったっけ?」「このあいだ、XXって出てきたけど…」という混乱を収拾して、知識の整理に活用すべき「まとめ本」なのに…。
文法と語彙が英語学習に限らず、語学学習の基本であり、王道であることには異論はない。しかしながら、「文法と語彙はちゃんとやっといてね」などと言われてできるものでもあるまい。その「ちゃんとやる」という部分でこそ現場は悩んでいるのだから。生徒に文法を理解させ身につけさせる、ということにどれだけ現場の中高の教師が苦労しているのか、こういう教材を見るとその温度差を痛感する。

本日のBGM: Francesca (Richard Thompson)