哲学は水の上に浮かんでいる

tmrowing2007-11-25

本業11月期合宿終了!これで、年内の合宿はクリスマス合宿を残すのみとなった。
広島ではカリスマ英語教師の実像解明のシンポジウムが行われていたのだろうが、霧に包まれるこちらの湖でも、本業で世界に誇るカリスマコーチの手腕をまざまざと見せつけられた2日間だった。
命の洗濯とは意味合いは異なるが、自分のコーチングのノウハウを、unlearnしまくる機会となった。今回は、新チームでの第一回。高校生も大学生も1年生が多いので、基礎の基礎から。ただし基礎こそ神髄。Oコーチのコーチングはどこまで進化するのか?
今回、最近の自分のコーチングのテーマでもある、「しなやかな背中」がやっとイメージできたのは収穫。

  • お尻から腕が生えている

というのは秀逸なガイダンスだった。

  • 身体がリラックスできていないのは、頭がリラックスできていないから。まずは頭を整理。
  • そこからパワーは生まれない。腕を強く使いたければ、腕の力をまず抜くこと。
  • 肩を落として背中を弛める
  • リラックスした結果重心が低くなるのを感じる

というところまでは普段の着眼点と同じ。

  • 骨盤から動いてボディーを使い切れば腕の軌道はいつも一定である

という部分が、明確なイメージとフィーリングで自分の掌に入った。他校の選手で数人、劇的な改善を見せていた。
他に、採取したウロコの数々。

  • 今何考えてた?テストじゃないから、君の頭の中の情報を教えて。君をコーチするのに大切なことだから。
  • 脚が踏ん張っている限りはどれだけ上体を開こうが構わない。
  • どこかが強調されているときは、上手くいっていないとき。
  • ドライブでの加速を緩ませないために、リカバリーで身体を弛めるのです。
  • 順番を間違えてはいけない。
  • 自分の動きを制限しない。
  • 自分の身体がどう反応しているのか観察しなさい。自分の身体の動きに興味を持って練習すること。
  • ゆとりを持つこと。
  • 準備不足ではなく、準備のしすぎ。そこまで行こうと準備のためにがんばりすぎるから適切なポジションにいられない。特別なことはなにもしない。次に縮めるために筋肉を弛めてやるだけ。だから、リカバリーのドリルはフィニッシュからスタートする。
  • 自分でやってみて、これは絶対に上手くいく、というのでなければ、人から、余所から得た情報を後輩に垂れ流してはいけない。整理しきれない情報は、いったん捨ててしまいなさい。シンプルに、ナチュラルに。
  • 力を出すことができて、リラックスのコントロールができれば、ナチュラルで良い動きになるのだから、あれこれ漕法・形を教える必要はない。その段階ができてから初めて細かいことに手をつければよい。

そうそう、私自身のコメントも高い評価を得たのでご紹介。出艇の際に、船台から次々と艇が水面に浮かぶわけだが、他の艇の邪魔にならないように、バックローでスイスイと漕いでいる選手を見て、私が、

  • 教わらない動きは抜群に上手いんだよな。

とつぶやいたのを、コーチが「それ、いただきます」。後日どこかの指導で披露されるかも知れません。

初日の練習を終え漕艇場を跡にする時に、夕闇の中湖面に映る満月が綺麗だった。
各チームコーチ陣勢揃いの夕餉での、ボート談義では日本、世界のトップ選手、トップコーチたちの情報なども飛び交ったが、一番興味深かったのは、プロコーチになった顛末(?)だった。人に歴史あり。
金目鯛にアンコウ鍋。仕上げは雑炊。お腹も充ち満ち、コーチ魂にもチャージできたひとときでした。

うちのエースとエースキラーも、2日間で漕ぎまくった感じ。2日目の午後は2時間以上連続で漕いでいたので、最後は電池切れに近かったが、それでも乗艇ごとに良くなっていった。同年代の漕手と一緒に漕ぐことがまず良い刺激となっているのに加えて、前回TT中止時とは打って変わってベタ凪のコンディションにも後押しされた。技術練習をするには絶好の機会、これで上手くならずにいつなるのか?というセリフを普段の練習で噛み締めたい。
帰りは私の車でコーチを新山口駅までお送りして、お別れ。

  • 良い練習を続けろよ!

と激励の言葉を選手にかけていただいた。深謝。
生徒を学校で降ろし帰宅。
郵便受けに古書店に頼んでおいた『実用サクセス和英』(英教)が届いていた。美品。紛失して、すぐ絶版になっていたので、綺麗な状態で入手できてちょっと嬉しい。意外な組み合わせのようだが、中村保男と谷田貝常夫のコラボは三省堂から以前出ていた英語要約の参考書での組み合わせと同じなのだな。この参考書もすぐ絶版になってしまって、自分が持っていたのも誰かに貸してどこかに行ってしまった。現在お持ちの方、ご連絡お待ちしています。
arishima. infoで「田尻科研」シンポジウムのレポートを読む。大盛会だったようで、遠路はるばる参加した方は自らの選択の大正解を喜んでいることでしょう。N先生、今度お会いしたときに臨場感溢れる報告を期待します。
本業三昧から正業モードへの切り替えも兼ねて、12月8日北海道イベント用資料整理。入試という大枠はあるが、高校ライティングの定着・発展のためにもベストを尽くす所存。『英語青年』2007年10月号の田邉論文で問題提起をして、『英語青年』2006年4月号の拙稿で見通しをつけるつもり。さらに、その前にある12月2日某私立高校向けのプレゼンに向けてレジメを作成。来週は東京か、と思ったところで新幹線のチケットを購入し忘れていたのに気がつく。せっかく駅まで行ってたのになぁ…。12月15日、地元山口での勉強会の資料はほぼ完成。この怒濤のライティングシリーズが終わったら、原稿書きに集中できるだろうか?
本日のBGM: 月面(HARCO)