Clean Entrance

土曜日に上京。雨。
実行委員会での準備作業に合流。久しぶりに合う同友会の面々にご挨拶。6時過ぎまでかかって会場機器確認。今までの会場とは様々に勝手が違うのでハプニングやサプライズは覚悟しておきましょう。その後ライティング部会の打ち合わせ。合間を縫って、北海道イベントの打ち合わせ。その後、初顔の方の親睦会を兼ねていつものお店へ。K先生も合流。堪能しました。英国に行く前にIさんを連れてきたかったね、などと話してたら、12月に一時帰国とのこと。
明けて日曜日は、研究大会。
田尻悟郎氏の講演に始まり、伊藤正彦氏の授業まで。田尻氏の講演は、どこかでどなたかが書くでしょうから、それ以外を振り返り。
今年は、ライティング部会の企画も若手に任せてきたので、心配な点も幾つかあったが、私がいない方が集客がいいという過去の例もあるので、いい方に転ぶだろうと思いこみ。前日から体調が優れない中トップバッターとして初発表をこなしてくれたK氏、ご苦労様でした。当部会の中学校代表のT先生も気合いの入った資料を提供してくれました。ライティング部会は例年、30人、40人という参加者で分科会をやっているので、90名というのは「予想外です」。それだけ期待値が高かったということなのでしょう。これからも期待に応えられるよう日々精進です。
今回の企画では、直前まで、田尻先生をライティング分科会にゲストとしてお呼びする計画でメールで役割分担・時間配分などを詰めていたのですが、講演直後には帰路につかねばならないということで断念。26年間中学生を指導してきた立場・視点・経験から、高校入試問題をどう捌くか、私自身が一番楽しみにしていたのですが、またの機会を作りましょう。参加者からもリクエストがありましたが、当日資料に関しては、希望者に添付ファイルをお送りします。不明な点、ご意見・異論などもお手数ですがメールをお願いします。
会場責任者で、午後は4階の教室に張り付きだったので、音声指導部会には参加できず。島岡先生にはご挨拶だけ。
「熟達度チェック」を授業で使っている話をすると、

  • 生徒に使って喜んでもらえるのが一番ですね。

と笑顔でした。
ラストのビデオによる授業研究は、大妻多摩中高の伊藤正彦先生。今年は、会長の独断で、学生を中心とした会場を設定し、解説を丁寧に加えるという趣向。どこか別の大会のよう。解説は三浦幸子氏。私はDVD機器担当。4アングル位を使って、いろいろな見え方を演出していたのだが、音声の録音レベルが一定ではないので、微調整は手動。マスター音量はリモコンが利かないので、本当にスライドバーを直接手で動かすのでした。お見苦しい点はご容赦を。
高1の授業。テンポ良く笑顔で英語が飛び交う前半、シリアスなテーマに対峙する後半と教師として考えさせられる要素の多い内容でした。
伊藤先生とは大学の同期で英語教師になってから早22年。お互いの実践や生き方は全く対照的ながら、共通して経験していること、身についていることはあるのだなぁと実感。スクリーンに映し出される教室の中に「うん、それ、あるある」という瞬間がいくつも。懇親会で本音も聞けて、ちょっと目頭が熱くなりました。
今回の大会で初対面だったのが、anfieldroadさん。朝一から懇親会まで残っていただき深謝。「ブログと印象が違いますね。」というので、どんな印象でしたか?と訪ねると、

  • もっと不機嫌そうな人かと…。

回りにいた数人の先生方も大笑い。
新刊の『スーパーゼミ』にサインしてくれとM先生がいうので、初サイン、というか単なる署名。考えてみると、教科書、学校採択教材や通信講座の教材を除いた市販本は初ということになる。
同友会のメンバーで執筆制作する「中学校の授業で音読に活用できる英語の歌DVD企画」もいよいよ佳境に。私も1曲分解説を執筆。皆さんよくご存じの曲です。このブログの本日のBGMで紹介している曲ではありませんので、ご安心を。(本日のBGM集教材も私が生きているうちに作れるといいなぁ…。)
懇親会の席では、新英研でも活躍のH先生と先日、このブログでも書いた黒丸先生の実践について。プリントアウトしてご本人にお見せ頂いたとのこと。ありがとうございます。H先生も、私と同じような印象を持っていたようです。大先輩、先輩からしっかりと受け継ぎ、若手へと伝えることも我々世代の重要な役割なのでしょう。
会場校の責任者でもある石田雅近先生には非常勤時代から本当に心配して頂いていたので、近況報告ができて何よりでした。
今回の上京の目的の一つは果たせたかな、という感じです。
とんぼ返りで月曜日は県の高英研。
午前中は岩国地区の高校で公開授業。オーラルのTTでした。
生徒は素直で、グループ活動、ペア活動にも積極的に活動に参加しており、対教師、生徒間の人間関係は良好であるという印象。
空所補充の聴き取り活動での一コマ。ALTは米人らしく、顎の開きの大きな /e/ 音を用いていたのだが、

  • I don’t think we’ve met.

のmetを聴きとる際に、指名された生徒は「ァ」に似た音として聴いていたようで正しく聞き取れていなかった。その点に関しての指導がないまま正解を提示しスルーされたのが気になった。既習語で言えば、本時で扱う素材にも出てくる guessなどを取り上げて、 gasとの区別を指摘しておけば、後々聞き間違えや、迷ったときに「ひょっとして…」と選択肢が広がるのではないか、と思う。私自身、高校生の時に、米音のleftをlaughedと間違えて意味不明、ということがあり、それ以来気にし続けている。
子音連続では、いくつか気になった点が。

  • slowly and clearly

の部分が空所になっていたのだが、ワークシートを見た段階で、おそらくclearlyの方が聴きとりにくいだろうな、と思っていた。指名された生徒は案の定、聴きとれておらず、どうフォローするかな、と思ったら、ここも取り立てて指導はなし。clearlyでは、一般に/l/が先行する音に影響されて無声化するので、なんだかよく分からない音を聞いた、という感想を持つ生徒が多いのである。これも本時で扱う語のうち、gladとか glassesを取り上げ、比較することで注意を喚起できると思われた。聞き取れなかった /l/ を強調して発音を繰り返したり、繰り返させたりすることは好ましくないだろうと思う。
冒頭のペアワークでの音読練習で取り上げていた、

  • He has short straight brown hair.

でも子音連続の練習は重要である。ただ、brownを適切に扱っていたとしても、空所補充での blond の聴き取りを要求するのは酷な気がした。
授業公開であって研究授業ではないからなのか、授業後の質疑とか合評会のようなものはなしで、会場を移動し総会と研究大会。
指導主事の方にご挨拶して来月の講師の件で相談でも、と思っていたのだが欠席とのことで、研修担当主事の方にご挨拶。
総会の事業報告の際に、全英連のことがあがるか?と思っていたら、何の報告もありませんでした。東京の全英連の人はぼやいていたけど…。隣接県と共催とか工夫次第で突破口はあるような気がするのだけれど。よく分かりません。英語弁論大会と全英連のスピーチコンテストの関連については報告がありました。そうそう、総会は英語で行われていたことを付け加えておきましょう。
研究発表は2件。一件目は「自由英作文」に関して。発表者の英語も丁寧で適切なもの。最終的に3年間の長期スパンでライティングを捉えるべし、というのは大賛成。実際の授業でも丁寧な指導がなされていることが資料から窺い知れて良かったです。発表者の方にご挨拶して今後の情報交換の下地作り。
二件目はSELHi報告会のようなものになっていました。ここだけ日本語でのプレゼン。2回目の指定校とのことでしたが、このプレゼンには正直なところあまり好感は持てませんでした。口が滑ったのでしょうがセルハイの予算に言及して、「今年度もお金が余ったら、3学期に講演会を更に開く予定」などということはたとえオフレコでも言うべきことではないでしょう。SELHiでCan-Do Listを語るなら少なくともKCDSなどの先行事例は踏まえておかないと恥をかくのでは?自分のプレゼンもこうならないように準備をしっかりとして参加者に対するリスペクトを忘れずにいたいものです。
最後の講演は波多野五三(はたのいづみ)広島女学院大教授。display questionsとreferential questionsとの比較を踏まえ、IRF interaction/exchangeの中に、referential questionを取り込む活動を増やし、social negotiation for problem-solvingを目指す授業を、というような趣旨だったかと思う。
CLT再考、というテーマ設定で講演を依頼するのであれば、それを基調講演と位置づけて、他の研究発表や事例紹介を組むのが望ましいのだが、なかなかそうはなっておらず、初めての研究大会参加は消化不良で終わったのでした。
最も疲れたのは、土地勘のない岩国での車の運転。
帰宅したら、本当にほっとしました。

本日のBGM: Absent Friends (The Divine Comedy)