present company excepted

今日の授業は高1のみの日。小雨の中、車で出勤。朝練の指示。担任の代わりに朝のHR。
進学クラスは、11月の歌から。空所の答え合わせと解説。合唱まで。昨年は高2で使った、Stephen Stillsの”Love the one you’re with”を使い回し。歌詞の中にも、 good times you’ve hadなど接触節が登場するので、授業での後置修飾の流れからここまでが伏線であると気づく感性が大切。
教科書本文では、範読を聞く際に、フレーズに鉛筆を当て、1行ずつスライドさせていく。続いて、裏面のフレーズ訳を聞きながら、字幕スーパーリスニングで同様に1行ずつ。
The development of soyfoodsという表現を取り上げ、名詞A of 名詞Bで名詞Aに用言(動詞・形容詞)が見いだせるときの処理を扱う。いわゆる名詞構文、久保野雅史先生も強調する<圧縮と解凍>の基本形ですな。高校英語で必ずクリアーしておかねばならない項目の導入にあたる。
本文の冒頭の the history of soyfoods、さらには本文には出ていないが、The development of soybeensとの違いを考えさせ、格関係を明示する前に developの語義を吟味させる。英語による定義で確認。
MEDから、”successfully create and use a new product or method”を引く。発展的な、”gradually add details to an idea, plan, story to make it more clear and complete” は次回に補足するので、今回はまだ出さない。
ここでのdevelopからは「成長」や「発達」ではなく「商品開発」「新製品導入」のようなイメージを持つことが大切。その部分が押さえられているのであれば、all (in) Englishでなくとも英語は英語で残せる。裏を返せば、「気づき」を仕掛ける、糊付け、ピン押しのごとくしっかりと根付かせる指導が加わらなければ、all (in) Englishで導入・解説をした教師の自己満足に終わりかねない。
再読の後、 the growth of soybeans の語義を問い、生徒の答えから発展させて、 the growth of population を問う。いくら格関係が分かったところで、結局は語義は一つ一つ確認なのだ、という現実を知ることが大切。次回は、 the invention of miso and soy sauceを問うて、本文中の “they invented miso and soy sauce about 2,500 years ago” の確認でもしますか。その他、新出語句の語義は英英辞典的定義、とパラフレーズ、類例での確認など。今日扱ったもののうち、(be) good to eat に該当する用例を辞書から抜き出す作業に思いの外時間がかかる。『ウイズダム』は情報量が多いので慣れが必要。
“Fish that are good to eat” を引いて、意味を確認させてから、「飲用に適した水」の英訳。案の定、呼応で間違える者多数。 “water that is good to drink” を引き出す。
サマリーに繋がる質問をグループでコンペにする旨を伝えて本時終了。
帰りのSHRも担任の代わりで登場。
放課後はエルゴ20分測定。少し進歩が見られたがまだまだ女子選手並み。
測定後、スライドピラミッドと、1分On1分Off。続いて体幹シリーズ。体幹種目は、全く形にならず。バレー部の女子が2名ほど私のデモを見て真似していた。彼女たちの方がよほどしっかりしている。

さて、except関連。メールをいただいて、ハンドアウトを送ったのだが、授業では辞書の用例を引いて観察させることが主眼。全部を教え込むことにそれほどご利益はない。英和辞典、英英辞典に収録されている例文は共通点も多いので、並べてみるといろいろと考える材料が得られる。
今回、気になった用例をいくつかあげる。
1. The house was empty except for Jane. (『ユースプログレッシブ』 小学館;以下YP)
2. There was silence (,) except for the sound of wind. (『ウイズダム2nd』三省堂;以下W2)
3. The classroom was silent, except for the busy scratching of pens on paper. (COBUILD Usage)
4. The building was darkened except for a single light burning in a third-story window. (COBUILD)
※1.では名詞と名詞の対比を読み取ることは無理ではないので、the house ≠ Janeであり、exceptは使えない、という判断でよさそうだが、2.や3.を見ると、silence やemptyといった陳述まで考慮に入れないと、soundやscratchingとの対比を生み出せない。単純に母集団からの除外や名詞の対比が読み取れない様な場合に、安全策としてexcept for を用いることが多い印象を受ける。
5. Your essay is good except for the first paragraph. (『レクシス』旺文社)
6. Your essay is fine except for one thing. (W2)
7. Your speech was good except for a few errors in pronunciation. (『ルミナス』研究社)
8. Your composition is good except for a few spelling mistakes. (『ハンディ語源』有精堂)
9. The thesis is finished except for the conclusion. (YP)
10. The dog was black, except for the legs. (『新グローバル』三省堂)
11. He is naked except for a shirt. (『新アンカー3rd』学研;以下NA3)
※ このような例では、陳述の「(唯一といっていい)例外」を指摘するものであり、慣用句で言う「玉に瑕」のような関係性で「腐っても鯛」「焼け石に水」のような意味だと理解をしておけばいいのではないかという気がする。
対比される名詞が同種・同レベルのものであっても、以下、12.のように文頭ではexcept単独で使えないので注意が必要。
12. Except for Bill, they were all in time. (『グランドセンチュリー2nd』三省堂;以下GC)
対比が見出しにくいものでも、文頭ではexcept forのみが可。
13. Except for her illness, she had had a particular happy childhood. (COBUILD)
14. Except for traffic noise the night passed peacefully. (COBUILD)
動名詞を取る際にはexcept forのみが容認される。
15. Jim looks just like my dad except for having no hair. (『ロングマン英和』ロングマン&桐原;以下LK)
16. She felt fine except for being a little tired. (LK)
17. I felt refreshed except for being a little sleepy. (『ジーニアス4th』大修館;以下G4)
以下、本来はexceptを使うべきところで、略式でexcept for を用いていると考えられる例。forを省略可能と捉えるW2の語法解説は再考を要するのではないか。
18. I can see you any day except (for) Sunday. (LK)
19. I ate everything on my plate except (for) carrots. (G4)
20. All students were able to answer the question except (for) me. (W2)
では、except本来の用法は?というと、
21. Everybody except him agreed. (GC)
22. Everybody was busy except Jane. (YP)
23. Nobody was invited except him. (NA3)
※ 「除外」が原義であるから、この 21.-23. の用法が最も基本的なもの。同種・同レベルの名詞に対して述べている。全または無を表す語句が先行していることに注意。上述の 18.- 20.も本来このように用いるべきものだが、同種・同レベルの場合には、話し言葉・略式ではどちらも広く正用法とされる。
MEDはやはり良い例文を載せている。
24. The store in open every day from 9:00 to 5:00, except on Sundays. (MED)
25. Not a sound was heard except the wind howling. (MED)
次の例は?を感じたもの。
26. The manager seldom praises players, except some exceptional ones. (『Eゲイト』ベネッセ)
※ この用例ではexceptとexceptionalで同語反復のようになるので、再考を要するのではないか。

というような考察を経て、教室で運用可能な指導方法は?
やはり金子先生ではないが、 A=B vs. C≠D という目安が一番使いやすいのではないか?
「網羅的」とか「体系的」な指導という言葉には懐疑的でありたいものだ。

本日のBGM: Return to Sender (Doug Powell)